入院間近な日、とても優しい小包が届いた。
小包に、ぎゅうぎゅうに優しいいたわりが詰め込まれていた。
手術が終わった後、まだ気力も体力も赤点滅だけど、これなら読めそうと思って読んだ本は、その小包に入っていたものだ。

茜音ちゃん。19歳の真面目で健気で働き者でまっとうなお嬢さんだ。笑顔で大事に商品を扱い、接客し、アルバイト先にも可愛がられてきたような。
夜分に迷子を見かけたら放っておけず、きちんと連絡をとった上で送り届けるような。
ちょいとばかし不幸か要素が多い生い立ちでも、すれず、ひねくれず、根をはって倒れぬように踏ん張ってきた苗のような。

しかし、どんな苗でも、土と水と光を必要とする。
茜音ちゃんがたどり着いたかなりや荘という場所。
この物語はこれから育っていくので、この一冊目は主人公と、かなりや荘と、そこに住む人々の紹介になっている。
だから、そこはこれ以上触れずに、サブタイトルの意味を読み取ってほしいとだけ書いておく。

茜音ちゃんが風邪を引いて寝込んでいるところを、私は病院のベッドの上で臨場感を持ちながら読んだ。
まだ、絶飲食だったので、そのお粥美味しそう…メロンパン食べたい……と、欲望を刺激してもらった。
欲望は回復へのモチベーションになるから、いい。
そして、主人公の回復やこれからの成長や成功の予感が、私にも未来への希望をともしてくれた。
一人きりで過ごす病室で、不必要に落ち込んだり、暗くならずに済んだのだ。

もしかしたら、ミルトン・エリクソンのトマトの話のようなもの?

今、院内を歩き回れるようになってきて(というか、歩くべしと奨励される)、給湯室でお湯を汲んで美味しい紅茶を1日1つずつ楽しんでいる。
今日はデカフェのアップルティ。薄めに香りだけを楽しむようにして。
ゆっくりゆっくり、私もまた、自分の目指すところへ羽ばたくための力を回復させねばならない。
と同時に、この物語の、茜音の伴走者になれたら嬉しい。

なお、この本は集英社オレンジ文庫からの移籍になり、PHP版だけのおまけの短編が付け加えられている。
これがまた、違うクリスマスの違うプレゼントであり、あの人もこの人もみんな幸せにな~れ☆と祈りをこめて閉じる仕掛けになっている。

村山さんに心から感謝。