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香桑の近況

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**趣味の食育・料理**

2017.12.04

奇跡のリンゴ:「絶対不可能」を覆した農家 木村秋則の記録

石川拓治 2013 幻冬舎

あー。このリンゴ、食べてみたいなぁ。
そんな気持ちでいっぱいになった。

もともとはNHKが「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組のために取材したことをベースにして書かれた本だ。
頭の中で、あの音楽やあのナレーション、テロップを追加しながら、読んでみたくなる。
なんとなく、番組として報道されているところが思い浮かぶような、景色や物事の描写が丁寧な記録だった。

リンゴは大量の農薬を必要とする農作物である。
たまたま木村秋則さんの奥さんが農薬を使うと気分が悪くなる人で、その奥さんが気分が悪くなるようなやり方はやめられないかという思い付きから始まったような試みだったという。
しかし、それだけ農薬が必要とされるのも理由があったわけで、そこから年単位で、極貧生活になりながらもあきらめきれない無農薬栽培との格闘が始まる。
格闘した相手が、農薬から病害虫被害になり、自然になり、人になり、やがては格闘そのものから解脱していく過程が圧巻だった。

それは解脱と言っていいのだと思う。
宗教的な悟りの域で、木村さんは人間と自然の対立を解消し、大きな自然の営みの中でリンゴを世話する自分という位置づけを見出していく。
彼の言葉、彼を取材しての筆者の言葉が力強いのは、苦しんで苦しんでおかしくなりそうな木村さんの人生に裏付けられているからだと思う。
Kindle版は、文中に何人の人がハイライトしたと傍線が引かれることがある。それがちょっとだけ、興ざめだった。
素敵な言葉がいっぱい詰まっているが、気に入った表現は自分で選びたいものである。

現在のようなリンゴに改良されてから、原種のリンゴがクラブアップルと呼ばれるようになったこと。
ヨーロッパでは加工品として食されることが好まれ、園芸改良品種が開発されたアメリカでは生食されることが好まれること。
アメリカでは丸かじりするが、日本では切り分けて食べるので、より大きく改良されたこと。
こういった、リンゴの歴史に触れられていることも、とても興味深かった。
ということは、日本でもお菓子に加工するなら紅玉が好まれるが、タルトタタンやアップルパイなども、作られた頃はクラブアップルが使われていたのだろうか、などと、想像が膨らむ。

おりしも、この本を読み終わった日に、長野の友人からリンゴがひと箱届いた。
農薬の使用を訪ねるような野暮はしない。ワックスがついておらず、樹上で熟して蜜がいっぱい詰まった、私には上等のリンゴである。
丁寧に育てられたリンゴである。育てた人の苦労に感謝しながら、いただこうと思った。

2015.01.09

英国一家、ますます日本を食べる

マイケル・ブース 寺西のぶ子(訳) 2014  亜紀書房

前書『英国一家、日本を食べる』で省略された章に特別番外編を加えた一冊。
旅の記録であるということを考えれば、章の構成を大きく入れ替えるよりは、最初から前後編にしたほうがよかったのではないかとも思うが、一冊目が当たったので残りも出すことができたということか。
そんな大人の事情を勘ぐりながら手に取った。

一冊目では割愛された部分を読むと、一冊目は比較的お上品な部分を残したのかな、と思わないでもない。
こちらのほうに収められたのは、偏見に満ちた無礼な外国人としての振る舞いをしている主人公家族らだ。
異文化の中で冒険をしている彼らは、郷に入れば郷に従えというわけには簡単にはいかない。
郷が未知であるが故に発見があり、従うも何もよくわからないんだからしょうがない。
特に子ども達は、干し貝柱をお菓子と思って口にして吐き出しちゃったり、枯山水の庭にブーブークッションと一緒に飛び降りちゃったり、やらかしてくれる。その無邪気さには、笑うしかない。

インパクトは一冊目に劣るものの、苦笑交じりに笑えた本である。
読む価値は、著者自身が書いている。
「普段あたり前と思っていることのよさを、外部の人に教えられることは多い」(p.202)
それって違うかも?そうじゃないよと思う部分もあれば、そんな風に見えるのかと驚くこともあるだろう。こんな風に紹介されてしまっていいのだろうか、と思ったり。
いずれにせよ、和食という文化が衰退しつつあることを感じて、もう少し自分が和食を大事にできればいいなと思ったことを最後に書いておく。

2014.08.19

英国一家、日本を食べる

マイケル・ブース 寺西のぶ子(訳) 2013 亜紀書房

東京、横浜、札幌、京都、大阪、広島、福岡、沖縄を縦横に食べ歩いた100日間!と、帯に書かれている。
イギリス人のトラベルジャーナリストが、奥さんと2人の幼い息子さんたちをつれて日本に滞在し、食べ歩いた旅のエッセイだ。

住んだことのある都市の名前が半分、どの都市にも行ったことがある。
パートナーが遠距離に住んでいることもあって、今後も通う回数が増えそうな都市も複数ある。
その上、私は食いしん坊で、食べることが大好きだ。旅行の楽しみとは食べることにある。
更に、海外から日本がどのように見られているか、とても興味がある。イギリスにも行ったことはある。一応ある。
これだけ条件が揃ったならば、買わねば読まねば。
本屋で出会ってすぐに開いてみると、すぐに引き込まれてしまい、慌ててレジに持っていった。

それにしてもよく食べる食べる食べる。
来日は初めてだという筆者の好奇心や皮肉な物言いすら、にやにやしてしまう面白さだ。
軽妙な口調につられて読んでしまうが、コルドン・ブルーで学んだ筆者は、食文化や歴史について、日本人でもこうはなかなか説明できないというぐらい、解説をしてくれる。
日本人には当たり前すぎて解説の対象にならないものが、外国の人には解説が必要になる。
だから、外国からの目線は読む価値がある。

この本は食文化に限定しているけれども、そうやって外側の他者からはどのように見られているかを知る機会は、自分自身を再発見、再検討する好機であり、客観性や公平性を磨く貴貨である。
この本は、いろんな人に勧めたくてしょうがない。国内旅行が好きな人にも、食べることが好きな人にも。
と言っても、日本人でもそこにはおいそれとは行けないよってお店も出てくるが……。あるいは、もっとほかのお店を勧めたくなったり。
自分自身が、もっともっと味わいたいなぁ。

残念なのは福岡についてほとんど触れられていなかったり、広島はまったく出てこなかったりと、旅の記録が飛び飛びでどうにもすわりが悪い感じがしたこと。
どうやら、原著から幾分割愛されて、構成も変えられているとのこと。
納得。

2012.05.18

みをつくし献立帖

髙田 郁 2012 時代小説文庫

『みをつくし料理帖』の献立帖。
お澪ちゃんの作る料理を家庭で再現できるように、著者自身も包丁を握りながら作ったという料理の並ぶレシピ本。
料理はどれもほっこりとして美味しそうで、器まで物語そのままにカラーで写真におさまっている。
既出のレシピは紹介されていないが、料理だけは写真で紹介されていることもある。
合間には、内緒話というエッセイ。著者の人となりが感じられると同時に、これまでシリーズを愛読してきた読者への感謝状をいただいたようなくすぐったい気持になった。

また、巻末には、澪と野江の幼い日を描く短編が記されている。
新旧つる家の間取りのイラストを見ながら、この人はあの人で……と推察するのも楽しい。
これはこれで満足な一冊。シリーズと一緒に並べておきたい。
本編の続きを読みたいとか、お澪ちゃんを幸せにしてくださいとか、読者の欲はつきないけれど。

あの人がもういないんだよなぁ。
そこで、しんみりした。
あの人。
又次である。
又次によく似た人である。
どちらも、もういないんだよなぁ。

恋人が又次に重ねたくなるようないい男だった。とても素敵な人だった。
料理が得意な人で、私よりもはるかに上手に包丁を使う人だったから、きっとこんなレシピも彼なら軽々と再現してくれただろう。
鮪の浅草海苔巻きを見ながら、そんなことを考えたら、久しぶりに涙が出てきた。
その後の、p.88の文章を読むと、『夏天の虹』を読んだ時のつらさを思い出して、また、涙がじんわり出た。
まさか、献立だけでも泣けるとは。
帝釈天に連れて行ってもらったのだから、一粒符をいただいておけばよかった。

2012.02.08

女性のための漢方生活レッスン

薬日本堂(監修) 2011 主婦之友社

久しぶりに記事を書くので、ちょっと緊張。
辞めた仕事の後片付けがやっと終わり、ようやく読書も再開できそう。今は逃避じゃなくて、楽しむために本を読みたい気分。
と言っても、読書はダンテに足止めを食らいっぱなしなので、最近のお気に入りから紹介したい。
これを記事数稼ぎとも言うが、ちゃんと生きているよー、ここを忘れていないからねーのサインなのです。

この本、「養生」をキーワードに、季節ごとの生活の心得に始まり、諸症状についての対処を体質ごとに解説してあるところが特徴。
日常生活の養生、食養生、ツボやよく使われる漢方薬も示されているので、いろいろと参考になるのだ。
お茶や料理のレシピも載っていたので買ってみた。

たとえば月経前症候群など、月経のトラブル。チェックリストで、血不足タイプ、血がドロドロタイプ、ストレスタイプ、冷えタイプのどれかを探してから、それぞれの食事や生活の工夫のヒントを読むのだ。
私だったらストレスタイプ。青物野菜や香味野菜、柑橘類を積極的に摂るのがいいそうです。ふむふむ。

こういう健康維持の本を手に取りたくなるところが、自分が中年になったことを示していると思うのだが、こういう雑学っぽい本も好きなんだもん。
健康オタクになって長生きするのもいいんじゃないかな。できるだけ、元気に。なるべく、ハッピーに。

2011.10.04

バルサの食卓

 上橋菜穂子・チーム北海道 2009 新潮文庫

レシピ集、兼、料理エッセイ。
「守り人」シリーズを全部読んではいないが、長く積んでいた山から、薄そうな本を引き抜いたらこれだった。

お料理にはカラーで写真と、簡潔にレシピが書かれている。
自分で作るのはちょっとハードルが高いのだけれども、どれもこれも美味しそう。
架空の世界の物語が、姿かたちだけでなく、味とにおいと温度を伴って眼前に現れる。
これって、もう、魔法じゃないかい?

それぞれのお料理が出てくるシーンが引用されており、再び、物語世界そのものを味わいたくもなった。
「獣の奏者」はまったくの未読であるが、「守り人」シリーズや「狐笛のかなた」の登場人物たちが懐かしい。

上橋作品の登場人物たちは、ちゃんと傷つくし、疲れるし、老いる。なくしたエネルギーを補充するのが、ご飯だ。
体を温め、心を落ち着かせる。美味しいご飯の数々に、過酷な運命に翻弄される登場人物たちは慰められ、力づけられ、励まされてきた。

また、料理ごとに書かれた著者のエッセイが面白いのだ。
料理に限ることなく、著者のエッセイをもっと読んでみたいな、と思ったぐらい、フィールドワークでいろんなことを見聞きされており、興味深かった。

自分のイメージしていたものと違っていたものもあるかもしれない。
その違いもまた面白いんじゃないだろうか。
違っていたとしても、やっぱり美味しそうであるし、再現できるものなら味わってみたいと思うのが人情だと思う。
レシピがわからないなら推測で補いながら、材料が手に入らないならそれっぽいのを集めながら、料理本ではない本を片手に料理するのも一興。
そんな遊びをシェアしてくれる仲間に恵まれたら、ぜひ挑戦したい。

2010.12.16

薬膳漢方の食材帳

毎日役立つ からだにやさしい 薬膳・漢方の食材帳  薬日本堂(監修) 2010 実業之日本社

レシピ集ではなく、食材の本。
この食材には、漢方の見地からはこういう効能があって、こんな風に取り入れてみるといいかもよ。
と、アイデアを提供する辞書的な本だ。

最初に体質のチェックリストがあり、こういう体質の人にはこういうものを、というアドバイスの提供にもなっている。
いまいち、自分ではどのタイプがわからないと首を傾げていたら、一人で複数のタイプを持っていたり、時と場合によって変わってもいいものなんだそうだ。
西洋的なタイプ論は3か4が多いが、漢方は五行にしたがったタイプ論で、そのタイプ分けの個性がまた興味深かったりする。

紹介されている食材は、乾物として漢方の生薬に始まり、普段、口にしているような野菜や果物、肉魚類、調味料までにいたる。
身近な食材197種類について書かれているので、今まで口にしていた食材にどんな働きがあるのかを探すのが面白い。
自分が好きな食材は、なぜか自分にぴったりの効能だったりして、体が無意識に必要としていたらしい。

食物はすべて薬剤であると考えると、毎回の食事を今までより少し大切にできるんじゃないだろうか。
食事の意義、役割の重要性を見直すために、よい教材となるだろう。
特に、食べたら太ると思い込んでいる人には、こんなところから食事の意識を変えていくのもいいんじゃないかな、と思った。

2010.06.08

韓国の食堂ゴハン

韓国の食堂ゴハン  島本美由紀・北村俊寛 2007 ピエ・ブックス

つい、こういう本を買っちゃうところ、自分は食いしん坊だなぁと思う。
ピエ・ブックスが出しているだけあって、写真がいい。どれもこれも美味しそう。

旅行のたびに、今度の旅は何回食事のチャンスがあるから、あれを食べて、これを食べて……と考える時間が一番長くて楽しい。
そういう人にぴったりの一冊。こういうのを夜中にぼんやりと眺めていると、旅に行きたくなる前に、お腹がすいちゃいそう。

ソウルを中心に、お料理ごとにお店も紹介されており、巻末にはいくつかレシピも載っている。
韓国に行き慣れた人には物足りないかもしれないし、ガイドブックともレシピ集とも違う趣がある。
たとえて言うならば、自分がいつか行った旅の写真アルバムを開くような気持ちになる。
友達の旅行記を通じて食の楽しみを幅広げるような、そんな感じ。

2009.08.19

里山のレシピ:益子・スターネットの台所暦

里山のレシピ―益子・スターネットの台所暦  星恵美子 2008 文化出版局

栃木県益子町というところは、里山なのだそうだ。
そこに、スターネットというギャラリーや治療院を併設する食堂があって、地元のお野菜を使った料理を供していると最初に書いてある。

中身は5月から始まり、月々の野菜や山菜を用いたメニューが、季節をじゅんぐりと回りながら紹介されている。
見映えは豪華というより、素朴で温かみがある。器の選び方や盛り方ひとつで料理の見映えなんて変わってくるものだと思うが、その温かみこそ里山のタイトルにふさわしい。
家庭で作れるようで、手がかかっているものの多い印象。手間を惜しんでいては供することのできない料理もある。
お惣菜という言葉がぴったりする気がした。御馳走なんだけど、なんだかあったかい感じがして、作るよりも作ってもらいたくなる。

一晩かけてつくる豆腐のサラダが美味しそう。豆腐をハーブとオリーブオイルに漬け込むんだって。
落花生御飯のおむすび、バジルのすいとん、太白いものポタージュあたりが食べてみたいかな。
焼きアケビってどんな味なんだろう。きのこまんじゅうも美味しそう。お稲荷さんも素敵。
セロリと落花生のきんぴらは作れるようになりたいな。これぐらいならなんとかなりそう。
食材とか色味とか、北関東だなぁ、と感じた。特に、御雑煮はまったく我が家のものとは違っていて、興味深かった。

表紙に山菜に引かれて、有川浩『植物図鑑』の後に買ってみた。ふきみその作り方も載っている。来年に頑張る……つもり。

2008.02.08

ひとり暮らしの息子へ:元気のでる韓国レシピ

ひとり暮らしの息子へ―元気のでる韓国レシピ  ジョン・キョンファ 2003 講談社

ページを開くたびに、大興奮。
どうして、赤という色は、こんなに食欲をそそるのか。
決して辛いものが得意なほうではないけれど、この本のお料理は見ているだけでよだれが出てくる感じ。

こんなに美味しそうなお料理は、母から息子に伝える皿だ。
お料理ごとの効用の説明は、話しかけるような口調になっている。
複雑な手順のものはなく、どこかに一工夫を加えてみたら、すっかり韓国風になることがわかる。
いつもの材料しか冷蔵庫になくて、だけど、いつもとは一味変えてみたいときの参考になるだろう。

今度の週末は、フライパン焼きナスと、鳥クッパブを作ってみようかな。
オイキムチは夏のお楽しみに取っておいて、カブのキムチも添えてみたり。
もやしだけじゃなくて、きのこのナムルや小松菜のチョレギも副菜にぴったり。
カムジャ(じゃがいも)チヂミは、自分で作るよりも、作ってもらいたい、食べに行きたい一品かな?

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