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2020.11.20

約束の猫

村山早紀 2020 立東舎

5000年の時をかけて、この膝の上に来たと思えば、どっしりとした丸い温もりがますます愛しくなる。
猫にまつわる美しい物語が四つ。その物語それぞれにあわせたページのデザインが、これまた美しい。
こういうページの上下を縁取るように飾られていると、とても特別な本に触れている気がしてくる。
表情豊かな少女たちのイラストも、愛らしい猫たちも、げみさんならではの豊かな色彩で目を楽しませてくれる。
心の中で、猫の温もりを感じ、毛並みのふわふわを感じ、生まれたての子猫の心もとないような柔らかさを感じながら読みたい。
優しく低い喉音や、すぅすぅという寝息や、時折こぼれるぷしゅぅという溜息が聞こえてくるかもしれない。
とてとてという軽い足音と、なにかの荷物を崩すときの大きな音、びっくりして斜めに飛び上がる姿。
小さな命への愛と、その命が人に注ぐ愛とがみっちりと詰まっている。

七日間のスノウ。
命はもろくてはかない。
それは人も、猫も変わらないのだけれど。
たとえ、短い命であったとしても、その命は大事な命。
病がちの兄弟がいる人なら、より一層、主人公の気持ちに寄り添えるのではないか。

五千年ぶんの夜。
冒頭、一瞬、これはスノウが主人公なのか?と疑うほど、捨てられた孤独感がリンクした。
不安な時、想像力は現実からちょっと離れて暴走する。
子どもならではの自由な想像力は、現実感を伴うから、怖い時は本気で怖い。
まるで世界の終わりを体感しているような孤独感をやわらげて、今ここの現実にひきもどしてくれるのは、温もりだったり手触りだったり、ごろごろと穏やかで低い喉音だったりするわけで。
猫という存在は確かに魔法の塊のようなものかもしれないなぁ。

春の約束。
外で生きる猫たちは、決して楽な生き方をしていない。
庭先や道端に猫のいる景色は好きだけど、今よりもっとのどかな時代に比べると事故だって多いし、猫を嫌う人もいればいじめる人もいる。家のなかでいじめる人もいるけれど。
猫ならば気楽というわけでも幸せというわけでもないし、かといって、人は人でなにかと生きることが難しいことがある。
それでも、猫であれ、人であれ、親は命を生み出すときに、幸せを祈るものだと思いたい。
すべてではないにしても。
それでも、そこに幸せを祈る気持ちがあることを信じる物語。

約束の猫。
何度だって、帰ってきてほしい。
羨ましくなる。
でもほんと、猫って律儀だから、きっと約束は守るんだと思う。
何度だって。

 

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