世界 魔法道具の大図鑑
バッカラリオ他 著/ソーマ 絵/小谷真理 日本語版監修/山崎瑞花 訳
2020 西村書店
マラクルーナという人が集めてきた魔法の道具。
彼の家は二階建てで、地下室つき。ベッドルームやキッチン、バスルームといったどこの家にもありそうな部分に、書斎や温室まである。貯蔵庫、物置小屋や屋根裏部屋などなど、部屋には一つ一つ名前がついている。
そんな、いかめしく、ちょっと古そうなお宅を、自由に探検させてもらえるような絵本になっている。
シックな色合いが大人っぽくて好みだ。
その上、衣服のデザインであるとか、細かな模様の壁紙だとか、細かいところまで、じっくりと何度だって見たくなる。
宝物庫があるのは、見逃せない。
けれど、家全体が宝物庫のようなものだ。
ページを開いた時から、ワクワクが止まらなくなる。
マラクルーナは、読者を最初に書斎に案内する。
床にも本が積み重なり、紙が散らばっているような書斎だ。
壁の一面に作り付けの書架がある。壁にはろうそくのブラケット、机の上にランプと羽ペン、砂時計。ふかふかクッションの肘掛け椅子に、なんだかよくわからないものもいっぱいある。
そのなんだかよくわからないもののなかに、いろんな魔法の道具があることを、ひとつひとつ教えてくれる作りになっている。
これが興奮せずにいられようか。
あれもこれもそれもあれもこれも!!
聞いたことある。知っている。知っている。と、ドヤッとしたくなる人もいるに違いない。
その中で知らないものがあると、ちょっと悔しくなって、調べたくなることだろう。
ファンタジーを読み始めたばかりの年若い人であるなら、この図鑑を片手に、それぞれの財宝を求めて、いくつもの本の渡り歩く冒険者となれる。
どんなアイテムが出てくるか、御自分の目で見て確かめていただきたい。
これは、ファンタジーが好きな人の頭のなかにある城だ。
あの物語、この神話、そのゲーム、あのマンガ、このアニメ。
古くて忘れられそうになっているものもあれば、最近になって知られたものも、分け隔てなく集められたコレクション。
いつかどこかで触れた魔法の道具、噂に聞いた不思議な道具が、ぎっしりに詰め込まれている。
きっと私のなかにも私の城があり、書斎があり、戸棚があり、倉庫があり、陳列室がある。
ファンタジー好きな人はそれぞれの城で、それぞれのコレクションを展開しているはずだ。
子どもの頃からのワクワクを取り戻してくれる素敵な本。
#NetGalleyJP さんで拝読。
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