2023年5月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31      

著者名索引

香桑の近況

  • 2022.2.25
    2021年 合計28冊 2020年 合計38冊 2019年 合計55冊 2018年 合計33冊 2017年 合計55冊 2016年 合計50冊 2015年 合計32冊 2014年 合計26冊 2013年 合計32冊 2012年 合計54冊 2011年 合計63冊 2010年 合計59冊 2009年 合計71冊 合計596冊
  • 2019.1.25
    2018年 合計33冊
    2017年 合計55冊
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計475冊
無料ブログはココログ

« 死者の民主主義 | トップページ | 天空のミラクル »

2019.08.20

イナンナの冥界下り

安田 登 2015 ミシマ社

漢字発生時の「心」の作用、すなわち「時間を知ること」と、そしてそれによって「未来を変える力のこと」(p.5)

イナンナの冥界下りに興味を持ったのは、M.マードック『ヒロインの旅:女性性から読み解く〈本当の自分〉と創造的な生き方』がきっかけだ。
イナンナがエレシュキガルに会い、Black Motherの顔を得ることが、女性の回復であり成長に不可欠であることを描く下りで、イナンナが登場するのだ。
女性の深い傷つきを語る上で、一度きちんと触れておきたいと思うようになった。

そのうち、この神話が能として演じられたことを知り、ますます興味が惹かれるようになった。
そして、手に取ったのこの本だ。

シュメールの神話は、ギリシャ神話のように物語(登場人物の感情や行動に因果がある)になっておらず、10代の頃にはよくわからないままだった。
それを、こころ=言葉以前の時代の名残として位置付ける解釈に納得した。作者は「あわいの時代」と表現する。
現代とはものの見方や価値観があったことを汲み取るように、最も古い時代の神話を読み解く過程は興味深い。

「死」こそが「心の時代」の最大の産物のひとつなのです。(p.85)

こころを表す言葉を発明してこころを獲得してから、人は過去と未来を認知し、後悔と不安を抱くようになった。
それは極めて男性的な(男性性的な、のほうがよいかな)時代である。
こころと言葉を扱う仕事に就く者としてスリリングで刺激的で、どう受け止めてよいのか。
私の冥界下りを思い出さねば。

これは本屋さんで買うべき本。
手触りの良い、素敵な本だ。

« 死者の民主主義 | トップページ | 天空のミラクル »

専門書」カテゴリの記事

**女であること**」カテゴリの記事

**死を思うこと**」カテゴリの記事

**物語を読みとくこと**」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 死者の民主主義 | トップページ | 天空のミラクル »

Here is something you can do.

  • 25作品のレビュー
  • 80%
  • グッドレビュアー
  • プロフェッショナルな読者

最近のトラックバック