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2017.12.01

日本の近代とは何であったか:問題史的考察

三谷太一郎 2017 岩波新書

選挙前に読み終えたかったが、時間がかかってしまった。

政党政治、資本主義、植民地帝国、天皇制の四つの観点から描かれており、明治以降の日本の歩んできた道が有機的に絡み合っている。
それぞれの観点ごとに、順を追って語られるため、慣れない分野であっても理解しやすく、また、わかりやすい説明となっていた。

著者が50年の研究生活の成果として、日本の近代についての総論となるように企図して書かれたものだ。
ヨーロッパの近代化について研究していたバジョットの研究に基づき、ヨーロッパ的な近代を目指しつつもヨーロッパにはない日本の問題を俯瞰する。
著者の長い研究のキャリアの成果を惜しみなく分け与えてもらった感じがする。
手に取りやすい新書であることもありがたい。

日本の近代の全体像を追いかけていくことで、現代の状況をはたと考えさせられる。
なかでも、天皇制の位置づけの章で教育勅語の成立過程が出てくる。
明治国憲法は天皇の超立憲君主的性格を明確になしえていなかったのに対し、憲法外で「神聖不可侵性」を体現する天皇の超立憲君主的性格を積極的に明示するものだった。
この流れを切り離して、教育勅語の中身はいいからと現在の教育の教材に安易に持ち込んでくることは、前近代からの揺り返しであることがはっきりとわかる。
少なくとも、現政権の人々が天皇の意志を尊重しないことから、その存在を尊重していないことがうかがえる以上、そこで成立せしめようとする神聖不可侵なものの得体は知られず、いかがわしいこともわかる。

近代化は、それに伴って固定された「慣習の支配」によって抑えられてきた前近代の深層に伏在する情動を噴出させます。それは議論を許さず、ひたすら迅速な行動へと駆り立てる原始社会への突然の回帰です。バジョットはこれを「先祖帰り」(atavism)と呼びました。(pp25-26)

今、日本は先祖帰りを起こそうとしているのではないか。
その危険性は常に社会は有している。
警句に満ちた、とても現実的な一冊だった。
現代の日本がどうやって成立してきたかを学ぶときに、真っ先に選ぶことを勧めたい。

これぐらいのことは常識として学んでおくべきであると貸してくれた父を、改めて尊敬した。

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