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2017.10.05

御松茸騒動

朝井まかて 2017 徳間時代小説文庫

シンプルな表紙が印象的だ。
松茸が一本と、すだちが一つ。
そして、このタイトル。
気になって気になって、タイトル買いした本だ。

江戸詰めの尾張藩士の小四郎。
小さい時から算術が得意で、同僚や上司のやる気のない仕事ぶりに不満たらたら。
その態度が煙たがられて、国元に異動させられてしまう。
松茸不作の原因を探れと、御松茸同心なる職を拝命する。

腐りそうである。
でも、腐らない。
それが、堅物のきゃた郎とまであだ名をされる小四郎なのだ。

早くに死んだ父親。その父親の古くから友人の三べえ。
松茸のとれる御林のある山を守る山守の老人。
何年も前に同じ御松茸同心に拝命されたまま、山で生活しているという栄之進。
彼ら年上の男性たちに微笑ましく見守られながら、小四郎が骨太な男に成長していく。

立身出世のような成功はない。
しかし、成長はある。
その成長ゆえにかなえることのできたクライマックスは、胸が熱くなったり、目頭が熱くなったりするかもしれない。
一生懸命な小四郎が、山に関わる男たちを動かしていく様子に、読み手までひきこまれて応援せずにいられなくなった。

突拍子がないように見えた松茸をめぐる物語は、能率の悪い職場であるとか、借金をくりかえしてばかりの国家予算であるとか、伝説の上司であるとか、今時の世情とぴたりと重なる。
そのくせ、しかつめらしくならずに、くすくすと笑いながら読み進めることができる。
家族にも貸したが、まるで同じ様子だったようで、私も家族も、一気読みした本だった。
たった一冊のなかにおさまる物語であるが、爽やかな感激を味わうことができた。

この物語より、さかのぼること、何年ぐらいだろうか。
小四郎の父親や三べえが現役だった宗春公の時代の尾張は、天野純希『サムライ・ダイアリー:鸚鵡籠中記異聞』に描かれている。
見える景色は少し違うが、作者の違う二つの作品がぴたりと結びついたようで、それもまた楽しかった。

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コメント

香桑さん、こんばんは(^^)。
読み始めて速攻左遷させられてしまった小四郎に、「やっぱりな・・・(笑)」と思いましたが、そんな不遜な若者が、地元で苦労しながらも地道な努力を続け、成功するという成長物語、大変清々しかったですね!
とってもも、楽しかったです♪

こんにちは。
小四郎があまりにも堅物で、物語になじめるかが最初は心配になったのですが、どんどんかわいくなっちゃって。
成功や成長の方向性がとても素敵で、読んでいてすうっとしましたね。
まかてさんの小説、引き続き、追いかけていこうと思いました。

コメント&TBが大変遅くなりました。すみませんm(__)m

職場環境についてとか、いつの時代も変わらないなぁとアレコレ思いながら読みました。と同時に、小四郎の成長や奮闘ぶりに声援を送りながら読んだりして楽しかった♪まぁ、そんな活躍も最後は宗春公にかっさらわれた気もしないでもないけどね(^-^;
天野さんの作品が気になります。読んでみなきゃ~!

すずなちゃん、どうもどうも。
宗春公、かっこよかったですね。あれはもうずるいぐらいの勢いでした。
タイトルのインパクトが強くて、なんの話だろう……?と怪訝な気持ちで読み始めましたけれども、まっとうな時代小説。
時代小説なのに現代的なトピックで、上手に題材を選んであるなぁとうなりました。

天野さんの『サムライ・ダイアリー』も、よかったですよ。
江戸時代のお侍さんたちの生活が、リアルに見えてくる感じでした。

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» 『御松茸騒動』/朝井まかて ◎ [蒼のほとりで書に溺れ。]
徳川御三家の惣領家でありながら将軍相続に負けた過去から、「尾張のしなび大根」と揶揄される尾張藩。 若き藩士・榊原小四郎は、幼少より才覚優れいずれは藩の財政立て直しをと夢見ていたのが、平生の態度が災いし、〈御松茸同心〉として国元勤めになることに。 彼は着任して初めて、尾張の名産品「松茸」をめぐっての『御松茸騒動』を知ることになる。 いやぁ、やっぱり朝井まかてさんは面白いですな! 小四郎と尾張の領民たちがどうなってしまうのか、とてもドキドキしながら、ぐいぐい読めました♪... [続きを読む]

» 御松茸騒動(朝井まかて) [Bookworm]
面白かった。 [続きを読む]

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