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香桑の近況

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2017年8月

2017.08.29

レッド・クイーン

V・エイヴヤード 2017 ハーパーBOOKS

これは面白い。

レッドとシルバーの二つの階級に分かれた世界。
レッドは働いたり、戦うことを求められる下層の階級で、赤い血を流す普通の人間。18歳になって職業についていないときには、徴兵されて5年の軍役につくことになっている。
シルバーは恐怖でレッドを押さえつける上層の階級で、銀色の血液が流れている。王侯貴族から、町の中に住む市民層まで。彼らは冷酷であると同時に、不思議な力を持っている。

シルバーの持つ力は様々で、炎を燃やすバーナー、緑を育てるグリンワーデン、水を操るニンフ、影を操るシャドウ、金属を思い通りにするマグネトロン、腕力をアップさせるストロングアーム、どんな傷も治すヒーラーなどなど。
魔法使いのようにも見えるとこれはファンタジーだし、超能力者だと思うと途端にSFのように読むことができる。
彼らの戦いはビジュアルに訴えかけてくるものであり、描写は読みながら映像として目の前に立ち現れるようだった。

そんな階級社会のレッドに生まれた少女メアが主人公だ。18歳の誕生日を間近に控え、兄たちと同じように徴兵されるだろうとあきらめている。
メアが村で出会った青年がきっかけで、シルバーの中でもハイクラスのシルバー、よりにもよって王宮で務めることになり、メアが特別なレッドであることがわかる。
そんなあらすじだ。

Kindleで無料試し読みになっており、無料というところにつられてダウンロードして読み始めた。
この試し読みは冒頭の数章のみで、続きを読ませろぉぉぉっというところで、上手に「続きは製品版で」となっている。
本屋さんに探しに行くのももどかしく、全体を購入し、ダウンロード。
うまい商売である。
続きを一気に読んだところ、やっぱり、続きを読ませろぉぉぉぉっ!はよ!!ってところで終わっていた。
どうやら三部作とか四部作になるらしい。

戦う女の子を応援したい読み手としては、これはかなり美味しいシリーズになる予感。
粗野な下層階級出身でスリで糊口をしのいでいたできそこないの娘であるメアが、この先、どんな大人の女性になっていくのだろうか。
クイーンにふさわしい女性となっていくことを期待する。

2017.08.18

わたしのげぼく

上野そら 2017 アルファポリス

猫と別れた記憶のある人、猫と長い時間を過ごしてきた人には、たまらない一冊だ。
私の友人知人たちで猫好きな人たちを、巻き込みたくなる涙腺破壊力だ。
猫じゃなくてもいい。犬でもいい。うさぎでもいい。鳥でもいい。
人ではない家族とかつて一緒に住んでいたことのある人たちに贈りたい。

主人公は表紙の偉そうな猫さん。ハチワレのオス猫さん。
飼い主家族の少年を「げぼく」と呼びながらも、愛情たっぷりな猫さん。
その猫さんの紡ぐ言葉が、いつの間にか、自分の愛した猫たちの言葉に重なり、心の柔らかなところをわしづかみにして、ぐいぐいと涙をしぼりとられた。

昼休み中の職場で、上司の目の前だというのに、止まらなかった。
思い切り不審な目で見られたが、この絵本ならば仕方ない。
泣くとわかっていても再びページを開けてしまうような、中毒性まで有している。

これはどう考えても、大人向けの絵本だ。
ティッシュペーパーを先に用意してから読むことをお勧めする。

おじいちゃんとパン

たな 2017 パイインターナショナル

祖父と孫の微笑ましいやりとりに、ほっこり。
おじいちゃん特製の美味しそうなトースト、にっこり
途中、ぎょっとして、びっくり。

ささやかで穏やかで優しい気持ちになれるおいしそうな絵本。
Twitterで好評だったので購入してみたが、あたりだったと思う。
ここの出版社、印刷が綺麗なので、そこもじっくり見てもらいたいポイント。

2017.08.16

いじめのある世界に生きる君たちへ:いじめられっ子だった精神科医の贈る言葉

中井久夫 2016 中央公論新社

いじめには「立場の入れ替え」がない。
いじめの進行過程は、「孤立化」「無力化」「透明化」の三段階がある。

わかりやすい説明は精神科医の中井久夫さん、絵はいわさきちひろさん。
絵本のような外見で、心理や教育の専門家でなくとも読みやすく、わかりやすい一冊となっている。
小学校高学年でも読めるようにと配慮されているとのこと。

解説というと、上から目線のようだが、著者自身のいじめの体験をベースにしたフラットな目線、語り掛けるような言葉遣いは、そっと寄り添うようだ。
自分の心のなかに何が起きているのか、体験を整理することに役立つと思う。
また、誰にも言えずにきたこと、誰にもわかってもらえずにきたことを、ちゃんとわかってもらえると感じられるのではないかと思う。
いじめ被害者が自殺を選ぶ理由のみならず、加害者の過剰に残酷になるメカニズムもわかる。

裏返せば、いじめであり、権力掌握のためのHow Toになってしまうことを、著者は恐れながら書いている。
いじめる子どもが、そのいじめの仕方を大人から学んでいることも、鋭い指摘だ。
大人にとっても、家庭内や会社、地域、国家で同様の現象に遭遇している可能性は高い。
だから、二重の意味で、大人には読んでおいてほしい。
予防としても、対処としても、対応しならければならないのは大人のほうである。

なかなかこちらのブログを更新する余裕がないのだが、素晴らしくよい本だったので慌てて書いた。
夏休みも終盤に入り、そろそろ、二学期が近づいてくると感じ始めるころではないか。
宿題なんかできていなくてもいい。友達がいなくてもいい。ちゃんとしなくちゃと、自分を追い詰める子が少ないといいな。
どうしても学校に行きたくない子が、生きたくないに転じてしまうことを心配している。
生きていることから逃げ出してしまうぐらいなら、学校から逃げ出してしまっていいんだよ。
今は見えない気持ちでいっぱいかもしれないけれど、生き延びる道はいくらでもあるからね。

すべての子どもと、かつて子どもだった人が、安心で安全で過ごせるように、今日も祈りたい。

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