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2016.01.31

神田川デイズ

豊島ミホ 2007 角川書店

今年になって本を一冊も読み上げていない。
ふと気づいて、積んで積んでところどころ崩れ落ちた本の山から取り上げた一冊。

ある大学に通う学生たちを主人公にした連作オムニバス。
今度の主人公はさっきの短編の通行人で、その次の主人公はその前の小説の友人で、という具合に、同じキャンパスの中のあちらこちらにスポットをあてるかのように、進んでいく。
ひとつひとつの話がコンパクトであるので、思いのほか、するすると読み進めることができた。
この積み上げていた時間はなんだったんだ。一体。

神田川から連想されるこの大学を私は知っている。
私がこのキャンバスに足を踏み入れることは2度とあるまいし、こんな甘酸っぱくも気恥ずかしくもがきまくる日々も2度と来ない。むしろ、なくていい。
私の知っている時代から時間が経ち、この本が執筆されてからも時間が経っているから今現在とは違うのかもしれないけれども、違うのは服装や小物やいくらかの言葉遣いであって、心根はきっと変わっていないのかもしれない。
万能感に満ちた自己愛の傷つきを通して、等身大の自己を引き受けるしかない。他人事だから微笑ましい、そんな日々。

 *****

私は、本当は、面白くない。色んなことが。勉強をこつこつやって、合間に趣味らしきもので埋めていくこと。わざわざ空を見上げて星や月を探して、きれい、なんて確認すること。ネットの友だちと自虐ネタで笑い合うこと。ちょっとでもよりよいものにしよう、って努力が実はもう嫌だ。この世とかみんなとか自分とか、なるべく良いフィルターかけて見ていこうなんて、生ぬるいやり方はもうごめんだ。(p.221)

花束になる人もいるだろう。はちきれんばかりの花束になって、世間に捧げられ、自分の選んだ道を間違いのないものと思える人たち。そういう花の降る世界で、俺は泥にまみれるように惑い、上を見上げては途方に暮れる。「才能」も「夢」も「やりがい」も、俺の世界にはない。この先も、それがたまらなく悔しくなる日は来るだろう。
それでもいつか、やっと一輪の花を咲かせることができた時、それを誰かに拾ってもらえればいいなと思う。(p.275)

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