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2015.08.25

ふるさと銀河線:軌道春秋

髙田 郁 2013 双葉文庫

漫画原作として書かれた短編連作。
その漫画のほうを知らないことで、どんな風に紙面で描かれたのだろうと想像しながら読んでいく。
現代を舞台にし、時にどこかですれ違うように繋がる短編たち。
ひっそりと胸に隠した悲しさや、じんわりとにじみ出るような寂しさ。
切なくなるような心に寄り添う佳品ばかり。

中でも「ムシヤシナイ」がいい。
いつか親に暴力を振るってしまうのではないかと泣き崩れる孫に、祖父が包丁の使い方を教える。
包丁の正しい使い方を教えるところが、みをつくし料理帖を描いた作者らしいと、頬が緩んだ。
もう大丈夫。
この一言があれば、こんな教えがあれば、正しくない使い方で自他を傷つけることもなかったろうにと思わせられる事件は枚挙に暇がない。
ふんわりほんのり、頬を緩むような作品が続く。

それがふと、胸を突かれた。
縁側で老女がくたびれた大学ノートをぽいと放り出す。
その景色が目の前に浮かんで、胸を衝かれた。
「晩夏光」という作品は、私が一番恐れていることが描かれている。

これは、近いうちに訪れる母である。その次に訪れる自分である。
今日あったことを忘れないようにノートに書くことを癖としはじめた母の、丸めた背中が悲しくなる。
その営みすら、彼女がどうでもよくなる日は、遠くない。
その時になって残された息子のように、わんわん泣くしかできないのかもしれないけれど。
自分はこうなる時に、晩夏光のように穏やかな気持ちになれているのだろうか。
いつか来る日が怖くて仕方ない。
怖くて怖くて、泣いた。

身につまされるぐらい、日々に寄り添うような小説ばかり、柔らかで穏やかで、とても静かに描かれている。

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