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2015.07.06

黄泉坂案内人

仁木英之 1994 角川文庫

これは好きだなぁ。
小説の感想を頭の中でまとめる時、どんな本を読んでいる人に勧めたらいいだろう?という視点で考えてみる。
この本の世界は、香月日輪さんの妖怪アパートに似ている。少し懐かしい景色と美味しいご飯、生活の中に当たり前のように存在する妖達。
この本の世界は、恩田陸さんの常野物語にも通底しているようにも思えるし、村山早紀さんの風早町シリーズのような優しい空気が流れている。

この世とあの世の境。
六道の辻のある辺り。
黄泉坂を上った先、川の手前に、その集落はある。
かつて奈良県にあったという入日村。玉置神社に見守られる山裾の村だ。
村長大国の取り仕切るもと、村人達は黄泉坂を上りかねている人を励ましてきた。
成仏しきれない魂はマヨイダマとなってしまうから、そうならないように成仏を手伝ってきた。
そんな村に、主人公は引っ張り込まれる。名前まで盗まれて。
この世とあの世を繋ぐ案内人になるように。

道案内をする三本足の烏は、やったんというからには、八咫烏に違いあるまい。
鍛冶の神様であり、特別製のクラシックカーまで作り出したのは、だいだらぼっち。
河童が釣竿を肩にかついで道を歩き、神社の禰宜を天狗が勤める。
神様と妖たちと共存する世界で、主人公のハヤさんはこの世に残した妻と娘を思いながら、死者たちの心残りに触れていくのだ。
その死者一人一人のドラマが、どれもまた珠玉の味わいで、しんみりとしたり、ほろりとしたり。
けれども、ハヤ君の相棒を勤める彩葉という元気のよい少女のおかげで、決して暗くはない。

この二人の名コンビの設定でいくらでも死者達のドラマをつむげそうなものを、作者はそうしなかった。
これはこれで終わり。続巻は彩葉の物語になるようだ。
言い尽くさなかったところに、想像の余地が残るのもよいと思う。切ないけれど。
ハヤさんの物語として読むと、大好きな山之口洋さんの『天平冥所図会』を思い出した。
要は、とても私の好みの本だったということ。

自分が最後にひとつ、思い残すとしたらなんだろう。

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