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香桑の近況

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2015年1月

2015.01.19

ねこまたのおばばと物の怪たち

香月日輪 2014 角川文庫

著者の訃報に驚いた。
これはその後に購入した。

幽霊アパートを彷彿とする筋立てである。
それをより児童文学らしく、要素をそぎ落とし、優しく穏やかに洗練させた佳品となっている。

主人公の舞子は小学5年生。
実母は死んでおり、父親が再婚した家庭で異母弟が生まれ、家の中に居場所がないと感じている。
学校では、3人組にいじめられている。勉強も運動もはかどらず、人見知りで、いじめられやすい要素を持っている。

きっかけはいじめだった。
主人公が入り込んだイラズの森には、ねこまたのおばばが住んでいた。
舞子はおばばと物の怪たちとの出会いで、心の友達を持つ。
信頼できる大人からの教訓と、安定した関係を与えてくれる。
美味しいご飯としっかりとした運動で、心も体も健やかに成長していく。徐々に自信を身につけ、表情が変わり、行動も変えていく。
いじめっ子たちも怖くない。人とも普通に話すことができる。
そして、継母とも……。

ファンタジーの世界は、子どもが大人になるまでの避難場所を提供する。
現実に疲れた時、現実に傷ついた時、現実に途方にくれた時、ファンタジーの世界が仮屋となる。
イラズの森へ行くのは、自由で柔軟な子どもの心、想像力さえあればいいのだ。
そこで傷を癒し、ヒントをもらい、元気を補充したら、きっと現実でもやっていける。
そんな物語の持つ力を、子ども達にストレートに分け与えてくれる優しい本だ。

優しい語り手だった。冥福を祈る。

2015.01.09

悟浄出立

万城目 学 2014 新潮社

実を言えば、中身を知らずに読み始めた。
近畿地方のあれこれから飛び出して、作者はついに中国大陸を舞台にするのか。
それも、西遊記に材を取るのかとわくわくしながら、ページをくった。

あれ?

次は、趙雲。三国志やし。西遊記ちゃうし。
二章目に入ってから、これは、中国の古典に題をとった短編集だと理解する。
これまでも、『鴨川ホルモー』を読んだときなど、この作者は中国の戦国ものと、日本の戦国ものが好きだと感じたものである。
そういった好きで親しんできたであろう古典のいくつかを、主人公ではない人物を主人公に据えて、傍らから語らせるという手法でリライトしたものである。
華やかさは少ない。だが、英雄ではないからこそ、身近にせまり、自分と重なりあうようななにかが描き出されているのではないか。

孫悟空ではなく、沙悟浄。
ただただついていくだけの消極的な人生から、一歩、先頭へと踏み出していく景色が鮮やかだ。
自分が行きたい方向へ行く。その転換の瞬間を切り取った手腕が見事だと思った。

趙雲。三国志の名だたる英雄の中で決して目立つほうではない。
戦いの勇猛さではなく、故郷を失ったことに気づく悲しみが胸を打つ。

項羽ではなく、虞美人。
覇王がかつて愛していた人の身代わりでしかなかった自分。
その自分を、自分こそが本物として覇王に迫る痛々しさ。
しかし、その女性に「いちいち意地を張るのも馬鹿馬鹿しく思わないでもない」と冷静な視線を与える作者が素敵だ。
私はこれはかなりの名品だと思う。

荊軻ではなく、同じ音の名前を持つ一役人。
秦の始皇帝暗殺と言えば映画を思い出すけれども、その宮城に勤めて一役人から見た事件の日。
歴史には残らないドラマが人の数だけあるということ。

司馬遷ではなく、その娘。
この章がまた圧巻だった。
書き手としての、書くという営みへの思いが叩き込まれている。
たとえ今、読み手がいなくとも、文字は300年後のその先の人々に物語を届けるかもしれない。
物語を書く使命感のようなものを感じた。

英国一家、ますます日本を食べる

マイケル・ブース 寺西のぶ子(訳) 2014  亜紀書房

前書『英国一家、日本を食べる』で省略された章に特別番外編を加えた一冊。
旅の記録であるということを考えれば、章の構成を大きく入れ替えるよりは、最初から前後編にしたほうがよかったのではないかとも思うが、一冊目が当たったので残りも出すことができたということか。
そんな大人の事情を勘ぐりながら手に取った。

一冊目では割愛された部分を読むと、一冊目は比較的お上品な部分を残したのかな、と思わないでもない。
こちらのほうに収められたのは、偏見に満ちた無礼な外国人としての振る舞いをしている主人公家族らだ。
異文化の中で冒険をしている彼らは、郷に入れば郷に従えというわけには簡単にはいかない。
郷が未知であるが故に発見があり、従うも何もよくわからないんだからしょうがない。
特に子ども達は、干し貝柱をお菓子と思って口にして吐き出しちゃったり、枯山水の庭にブーブークッションと一緒に飛び降りちゃったり、やらかしてくれる。その無邪気さには、笑うしかない。

インパクトは一冊目に劣るものの、苦笑交じりに笑えた本である。
読む価値は、著者自身が書いている。
「普段あたり前と思っていることのよさを、外部の人に教えられることは多い」(p.202)
それって違うかも?そうじゃないよと思う部分もあれば、そんな風に見えるのかと驚くこともあるだろう。こんな風に紹介されてしまっていいのだろうか、と思ったり。
いずれにせよ、和食という文化が衰退しつつあることを感じて、もう少し自分が和食を大事にできればいいなと思ったことを最後に書いておく。

2014年読了

ハウス加賀谷・松本キック 2013 統合失調症がやってきた イースト・プレス
高田 郁 2014 美雪晴れ:みをつくし料理帖9 時代小説文庫(ハルキ文庫)
新野博子 2013 更年期以降を元気に生きる女性ホルモン補充療法 海竜社
有川 浩 2012 旅猫リポート 文藝春秋
岳 宏一郎 1997 群雲、関ヶ原へ(下) 新潮文庫
小早川明子 2014 「ストーカー」は何を考えているか 新潮文庫
牧村朝子 2013 百合のリアル 星海社新書
シンシアリー 2014 韓国人による恥韓論 扶桑社新書
井上和彦 2013 日本が戦ってくれて感謝しています:アジアが賞賛する日本とあの戦争 産経新聞出版
中野京子 2007 怖い絵 朝日出版社
和田竜 2013 村上海賊の娘(上・下) 新潮社
マイケル・ブース 寺西のぶ子(訳) 2013 英国一家、日本を食べる 亜紀書房
最相葉月 2014 セラピスト 新潮社
有川 浩 2014 明日の子供たち 幻冬舎
高田 郁 2014 天の梯:みをつくし料理帖10 時代小説文庫(ハルキ文庫)
鶴岡真弓 2011 阿修羅のジュエリー イースト・プレス
穂村 弘 2013 絶叫委員会 ちくま文庫
冲方 丁 2013 はなとゆめ 角川書店
有川 浩 2014 コロボックル絵物語 講談社
有川 浩 2014 キャロリング 幻冬社
上橋菜穂子 2000 月の森に、カミよ眠れ 偕成社文庫
高山トモヒロ 2009 ベイブルース:25日と364日 ヨシモトブックス
安澄加奈 2013 いまはむかし:竹取異聞 ポプラ文庫ピュアフル
マイケル・ブース 寺西のぶ子(訳) 2014 英国一家、ますます日本を食べる 亜紀書房
万城目 学 2014 悟浄出立 新潮社

計26冊。
みをつくし料理帖を最後まで読み終えることができたこと。
有川浩さんの旅猫レポートのあたりが記憶に残っている。
意外と、新書も読んだなぁ。

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