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2014.11.19

月の森に、カミよ眠れ

上橋菜穂子 2000 偕成社文庫

神話が神話になる前の物語。
むしろ、民話か昔話。
主人公は人間であり、人間の生活から神々の息吹が失われていく瞬間が、見事なファンタジーとして結実されている。
人々の気持ちのありようを描くだけではなく、まさにこんな風であったかもしれないと思わせる生活のありようの具体性は、著者が文化人類学者であるからこそ。
日本の古代、律令が敷かれていく時代をモデルにしつつ、熱や匂いを感じるような活き活きとした物語になっており、気づけば主人公達と一緒に深い森の空気を感じることができるだろう。

裏切られ、殺されていく神々。
時に自然は荒れ狂う恐ろしいものとなるが、人間は実に自分勝手に自然から奪い放題、壊し放題にしてきた。
そういうマクロな物語を描くのが神話であるが、一人一人の人間の生活に即した人生や心情を描くとなれば民話に近い。
文庫も子ども向けにルビがふられてはいるが、物語は大人であるこそ、感じる部分もあるのではないだろうか。

カミと人の物語であり、同時に、母と息子の物語でもある。
ナガタチの母子葛藤がキシメとの対話によって解消されるプロセスが見事だと思った。
こういう物語で、ナカダチの父たるカミをうけいれられなかった母親の弱さのみならず、タヤタを思いやることができないキシメの幼さを取り上げたところが、秀逸な物語だと思ったのだ。
受身的な人生を送るのではなく、自らの過ちを背負い、自分でで自分の運命を選んだホオズキノヒメの美しさが際立つ。

思いがけず美しい物語に出会った。

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