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2014.09.10

明日の子供たち

有川 浩 2014 幻冬舎

舞台は児童養護施設。
そこで生活しているからといって、可哀想だと思わないでほしい。
そう胸をはる高校生女子の言葉に、戸惑いながらへこみながら成長していく新人スタッフが主人公。

よく取材してあるのだと思う。
現場でありがちな心のすれ違い、言葉の行き違い。
スタッフを志しそうな動機、心折れてしまいがちな人のタイプ、やっていける人との違い。生ぬるく甘ったるいボランタリー精神ではなくて、職業としてのプロ意識がほしい。
支援の限界、そもそもの施設の目標、現実の壁。義務教育が終わった時点で、高校に進学できなければ、施設を出て就労することが求められる。まったはない。
不自由はあろう。でも、子ども達だってばかではない。子ども達なりに現実を見て、学んで、考えている。

だってさ。
これだけ虐待死のニュースがあるんだよ?
それなのに、どうして、実の両親と生活することだけ幸せだなんて言えるのかな。
どうして、そんなに無邪気で、無責任に、見当違いの同情や正義を振りかざせるのだろう。
相手を可哀想だと決め付けることは、時には上から目線だ。対岸の火事だ。遠見の見物だ。相手を可哀想だと思う自分の優しさに陶酔する響きと、自分の優位を確認する作業が潜むことがある。そうじゃないこともある。
誰も、その人の親ならばできた以上に愛情を注ぐことはかなわなくても、暴力や苦痛の中に子どもを無理に押し込むことはないんじゃないのかな。
残念だけど、離れて初めて平和でいられる関係もあると思うのだ。

こういうシビアな社会問題を扱うとき、過度に感傷的にならない有川さんの語り口に好感を持つ。
決してお涙頂戴にせず、現実の厳しさを織り交ぜながら、叱咤激励と問題提起を同時に行う。
児童臨床や児童福祉に関わる人が読んでも、違和感は少ないと思われる。
お涙頂戴ではないのだけれども、最後は泣いてしまったけどね。

可哀想の言葉が、単なる上から目線の同情ではなく、がんばっている子がいるんだなぁという驚きや励ましとして響けばいいのだけど。
悪いことばかりじゃなかった、嫌なことばかりじゃなかった、自分を思ってくれた大人もいたんだという体験が、その子の明日を支える糧になるといいな。
施設=可哀想と決めてかかっている人の目に、手にとまればいいな。

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コメント

こんにちは。お久しぶりです。
お元気ですか?
ようやくこの本を読めました。
私は大学生の時に実習で2週間児童養護施設に泊まり込んでいたことがあったのですが、その時、私は子どもたちを可哀想と思っていたのではないか?とこの本を読んでいて思いました。
家族と過ごすことが必ずしも良いというわけではない、家族と住んでいるから施設の子供に対して上から目線で良いわけでもないのに、無意識にそう発言したり思っているというところは私もそうかもしれないと思いました。
この作品は児童養護施設の職員側からの目線だったのがとても良かったです。有川さんが丁寧に取材されて書き上げた作品なんだろうなと思いました。
綺麗事だけではなく問題となる部分も書かれていて、この作品はいろんな意見を持ったたくさんの人に読んでほしいなと思いました。

お返事が遅くなりました。見落としていました><
苗坊さんのお住まいのところでは、もう寒くなっているでしょうねぇ。
有川さんが読みやすく書いている本ですが、実際に自分が同じ場面に放り込まれた時、どのように振舞えるか、難しいものです。
可愛そうという言葉を封じ込めてしまうと表せないような感情もあるわけですが、適切な言葉や行動を選べるか、私も自信はないです(^^;;;
どの子ども達にも分け隔てなく幸せな明日があってほしいものです。

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明日の子供たち著者:有川 浩幻冬舎(2014-08-08)販売元:Amazon.co.jp 諦める前に、踏み出せ。 思い込みの壁を打ち砕け! 児童養護施設に転職した元営業マンの三田村慎平はやる気は人一倍 ... [続きを読む]

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