2017年9月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

著者名索引

香桑の近況

  • 2017.1.4
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計323冊
無料ブログはココログ

« 2014年6月 | トップページ | 2014年8月 »

2014年7月

2014.07.10

村上海賊の娘(上・下)

和田竜 2013 新潮社

確かに面白い。

美人の感覚が時代や地域によって変わるならば、醜女の基準も変わる。
主役の景は、目鼻立ちがはっきりしており、筋肉質で長身の女性だ。
立ち居振る舞い、海賊働きを好む気性や所業などを含めて、姫らしくない。
その村上海賊の姫が鬼手となる。

悍婦にして醜女。
そんな女性が主人公であることに期待して読み始めた。
和田竜の小説は、読みながらにして映像が目の前に浮かぶようだ。
景を演じるなら誰がいいか。
若い頃の浅野温子とか。デビューした頃のアンジェリーナ・ジョリー。実写化すると残酷になりすぎるので、ジブリにアニメ化してもらいたいかも。
そんなことを思いながら、世界に引き込まれていった。

ところが、この景は、女性として共感しづらいというか、同調しづらいというか、非常に残念な美女。
がんばる女の子の物語は大好きであるし、成長物語として気持ちが揺れ動くのはわかるけれども、それにしても浅はかである。
直情的で衝動的であろうと、夢見がちなお嬢ちゃんであるだけならまだしも、情けなくなるぐらい浅はかである。
もっと言えば、おばかさんである。
外見に対するコンプレクスの持ちようだって、もうちょっと描いてあげようがあったと思うのだ。

それに対して、敵方である泉州の海賊の頭領、眞鍋七五三兵衛の男ぶりは見事で、惚れ惚れとするかっこよさだ。
むしろ、主役はこっちじゃないか?というぐらいである。
いや、男達はかっこいい。途中で命果てる一百姓の源じいでさえかっこいい。下間頼竜以外は、だいたいかっこいい。
能島、来島、因島の村上の3人の当主や、景の兄の元吉と弟の景親はそれぞれいい味を出している。
出番は少ない毛利勢のなかの乃美宗勝や七五三兵衛の父親である道夢斎といった、おっさん達は豪放磊落な古武士としてきわめて魅力的に満ちている。
雑賀衆の鈴木孫市も異彩であるし、児玉就英は美丈夫である上に文句なしにかっこいい。

男性陣はこれだけ活き活きとして魅力的であるのに、その物語の中央にある景が、ただのわがままなおばかさんでは、ちょっと残念に思えてしまう。
もっとも、少しでも賢しいと、こんな馬鹿なことはやってのけられなかっただろう、という物語なのであるが。
綺麗事など一切通用しない戦場を描いており、その分、残酷な表現もある。
しかし、戦争とはそういうものだ。そういうものだと教える点は力強い。
海戦の描写が圧巻であったことを付記しておく。

くしくも、今年は福山や広島を訪ねることがあった。
もともと、神戸や大阪、京都にもなじみがある。
舞台に馴染みがあると、やはり、景色が思い浮かべやすくて読みやすくなる気がする。
おまけに、大河ドラマでも、本の中でも、毛利はまだか!?いつ動くのか??と言われていて、笑っちゃった。
関ヶ原に至るまで、日本の政権は上杉と毛利の動かなさに動かされたような気がした。

« 2014年6月 | トップページ | 2014年8月 »

Here is something you can do.

  • ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン
    子どもとともに途上国の地域開発を進める国際NGO

最近のトラックバック