2017年3月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31  

著者名索引

香桑の近況

  • 2017.1.4
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計323冊
無料ブログはココログ

« 2013年9月 | トップページ | 2013年12月 »

2013年11月

2013.11.30

サムライ・ダイアリー:鸚鵡籠中記異聞

天野純希 2011 人間社

時は元禄。綱吉の時代。
場所は尾張藩名古屋。

100石取りの藩士の息子が18歳になり、日誌を書き始めた。
以来、26年間。
とにかく酒はよく飲む。朝からトイレで吐いている日ばかりだ。
生類憐れみの令は横において、鴨を鍋にする、猪を鍋にする。宴会の献立も必ず書き留める。
浄瑠璃のために町人のふりをしてみたり、心中のような事件の噂話を好んで書き留めたり。
浮気もしたりされたり、離縁もしたり。
武芸はからきし苦手で、今年こそがんばると言いながら、がんばれた試しがなかったと最後に振り返るような26年。

他人の日誌を読む楽しみが以前はわからなかった。
平安時代の日記魔である藤原実資を取り上げた『かぐや姫の結婚』を読んで考えが変わった。
文化史として、これ以上の資料はない。
名古屋は私には馴染みが薄いけれど、元禄時代なら興味がある。

大きなドラマがあるわけではない。
くすくすと笑うことが多かった。
異聞とすることで、最後にほっこりするような、物語としての仕掛けが成立している。
実際の鸚鵡籠中記にも興味が向く。手は出さないけど、興味は湧く。
特に、当時の食文化はとても興味が湧くし、調べて見たくなるけれど。
人々がいきいきとしていて、よかったなぁ。それが一番魅力だった。

ほんっと、ダメダメな男なんだけど、憎めない、愛嬌のある、羽振りの悪い2代目若旦那って感じの主人公だった。
さすがに26年も、日誌を書き続けられないよ。そこはすごいよ…。
実際はどんな人だったんだろうね。

2013.11.25

くるすの残光

仁木英之 2013 祥伝社

本屋さんで三回迷って購入。
著者デビュー作の『僕僕先生』は一冊目しか読まなかったけど、一冊目は面白かったし。

天草四郎の残した遺物と、遺志を受け継ぐ能力者達が、幕府側の忍と戦うという伝記時代小説。
荒唐無稽を楽しめる人向けですな。
人情ものの要素があるのが仁木さんらしいかなぁ。

なんとなくライトノベルの勢いで読めました。
あれですあれ。
三田誠『イスカリオテ』になんとなく似てるの。
アイテムが近いからイメージが似るのだろうけど。

3冊で終わるようなら続きも読むか、どうするか。
まぁまぁってとこでした。

これを読んだから、忍者続きで、風太郎を読んだという。
近頃読んだ忍者ものでは、和田竜『忍びの国』が面白かったけど、物語として風太郎はよかったなぁ。

とっぴんぱらりの風太郎

万城目学 2013 文藝春秋

1人対10万人。

最初は分厚さにおののいたものの、通院のよい友になると読み始めた。
この厚さにして、無駄が一切ない。むしろ、もっともっと書き込んでだらだらしそうなものを削り混んだ様な感があった。

『プリンセス・トヨトミ』から遡ること400年。
豊臣の時代は終わろうとしていた。
戦国武将が華々しく活躍する時代は終わろうとしていた。
そして、忍びもまた。

主人公の風太郎は、伊賀ものの忍として育てられた。
伊賀を放逐される憂き目にあい、吉田山の麓のあばら屋に住み着く。吉田寮の名前はまだない。
放逐されたのであるから、無職だ。日雇いだ。いわゆるフリーターである。むしろ、元祖プー。
彼の名前は「ぷうたろう」なのである。

田中芳樹さんに『とっぴんぱらりのぷぅ』という小説があるのね。
タイトルはここからなのかな。

黒弓、常世、百市、蝉といった忍たち。
月次組を率い、美形のバサラものの風情の残菊。
名もなき素破に混じり、ねね様や本阿弥光悦らが登場する。
これは、最初のトヨトミのプリンセスの物語だ。

そこは後に鴨川デルタと呼ばれる場所でない?
そこのあぶり餅はうまいんよ。
お馴染みの京都の景色が透けて見えつつ、町衆の生活がいきいきと描かれている。
いつも通りの軽妙な語り口に反して、後半になるにつれて、重みが加速する物語だった。

読み終えて一息。
主人公に、よくやったね、がんばったねって、伝えたくなった。

合言葉は、金角銀角でいかがだろうか。

2013.11.05

兵士は起つ:自衛隊史上最大の作戦

杉山隆男 2013 新潮社

自衛隊員を兵士と呼ぶことに、私はいささかのためらいを持つ。
このタイトルゆえに、イメージ戦略としてはネガティブ評価をつけつつ、すずなちゃんのブログで気になっていた本をようやく読んだ。

2011年3月11日の自衛隊の記録だ。支援者支援に興味がある私としては、支援対象となる支援者の記録は読まないわけないには。
72時間のラインを超えるまでの前半は、テレビで特集番組に紹介されたエピソードもあった。人が救われていく話には達成感がある。
しかし、72時間を越えてからの記述には、ページをくることがためらわれ、時間がかかってしまった。
72時間というのは、災害救助の際に、生存者の救出から遺体の回収へと切り替わるラインである。
原子力発電所の対応については、非常に興味深かった。専門家であることの矜持が素晴らしい。

読み終えて、読んでよかったと思うんだけどさ。
「勇猛果敢」と聞いたら「支離滅裂」と合言葉のように思い浮かぶようになったけれども。
書き手の方の世間の不理解に対するもどかしさを、後半になるに連れて感じられた。
ここまで献身的に救助する人たちへの評価の不当さをもどかしく思うのは、わからんでもない。
しかし、この本がもう少し膾炙されるには、もう1クッションというか、すりあわせがほしいようにも思った。
兵士っていうかさ……。

ただ、ほんとに、初期型いなぴょんみたいな発言が減るといいのにね。

« 2013年9月 | トップページ | 2013年12月 »

Here is something you can do.

  • ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン
    子どもとともに途上国の地域開発を進める国際NGO

最近のトラックバック