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2013.02.18

その日東京駅五時二十五分発

西川美和 2012 新潮社

「壊れるときは、始まるときだ」(p.74)

その言葉に、はっとした。
様々なことが壊れてしまった1945年8月15日。
その日の東海道本線始発は東京駅を5時25分に出る。

主人公は電車に乗り込みながら、西へ向かう。
一足早く解散した隊の特殊な事情を背負いながら、誰よりも早く敗戦を知り、誰とも共有できずに、西へ帰る。
故郷である広島へ。

その「現在」と、出征前から出征、訓練と、「過去」が入れ替わりに語られていく。
電車が進むにつれて、主人公の心もまた進んでいくのだ。
それは小説でありながら、現在進行形の手記であるかのような、現実感がしっかりとあった。
先の戦争を語りながら、懐古的にもならず、劇的になることもなく、むしろ日常的すぎるぐらいに過ぎていく。
その日の記憶。

どことなく、リービ英雄『千々にくだけて』を思い出す。
すべてが壊れてしまった。変わってしまった。
9.11の記憶。
3.11の記憶。
それが、8.15の記憶の通底音として立ち現れてくるのだ。
自分は知らないはずのその日が、自分の知っているあの日に、重なっていく。

これは、とてもいい小説だ。
久しぶりに本屋さんで、呼ばれて呼ばれて連れて帰った。
味わい深く、深く低く、体の芯に余韻が響く。
中編ぐらいの、どちらかといえば薄くて、すぐに読める本だと思う。
多くの人に読んでもらえたらいいな。
いつか、その日の記憶として。

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