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2012.11.09

霊性の文学 言霊の力

鎌田東二 2010 角川ソフィア文庫

言葉には力がある。
言葉は時に非力であるが、力がある。
日々に使う言葉はすべて、呪文であり、魔法を持つ。
それが文学として形をなしたとき、どんな力を持ちうるのか。

流れるようなすべらかな現代語で紡ぎなおした『超訳 古事記』の著者が、どんな言葉をほかにも紡いでいるのかを知りたくて購入。
ネット買いだったので、手元に届いてから目次を見たのであるが、そこで取り上げられている人物は幅広く、見ようによっては雑多に感じるかもしれない。ある時代を背負っている人々。
宮沢賢治、折口信夫、三島由紀夫、中上健次、高橋和巳、ドストエフスキー、ニーチェ、バタイユ、ロートレアモン、寺山修二、美輪明宏、宮内勝典、山尾三省、出口王仁三郎。
私にとってはなじみのある人もいれば、なじみのない人もいる。というか、なじみのない人のほうが多い。

本書の中でとりわけ印象深かったところといえば、美輪明宏による信仰と宗教の違いの指摘である。
そこを踏まえたうえで、宮沢賢治『銀河鉄道の夜』でジョヴァンニがキリスト教者との会話で戸惑う場面を読む。
宗教は対立するが、しかし、対立するのではない道があるのではないか。

文学を紐解きながら、底に流れる霊性を掬い出しつつ、信仰とはなにか、宗教とはなにか、神とはなにかを問うていく。
それは聖なる高みばかりではない。なにかしらの越境や断絶、解体あるいは混沌を含みうる、ほの暗い深みを覗き込むような作業だ。
かといって、小難しいわけではなく、むしろ読みやすい。引き込まれるように読み、ここから読んでみたい本が更に増えもした。

呪われているということ。それは不可抗力的に悪に直面せざるをえない魂と運命をもっているということにほかならない。言い換えると、人類文化の“闇”を視る“眼”をもって生まれたということである。その呪われた者だけが、呪いの渦中に自らを投げ出すことによって、「至高性」に到達することができる。(p.140)

思考は言葉を媒介にして成立するので、動画ばかりでは思考は鍛えられないんだよね。
上質な表現としての動画の存在を否定しないが、具象にばかり偏っては、ますます感覚優位になり、不安耐性が低く、衝動の制御が難しくなることだろう。反省的思考も抽象的思考も低下して、現実検討が働かず、被暗示性や高くなることだろう。
白か黒かとスプリッティングしやすい認知では、世界の深みを覗き込むことは決してできない。覗き込んでなお引きずり込まれずに耐えることができない。
深みから高みへと飛翔する力であり、毒にもなり薬にもなる文学の力を、私は信じていたいと思う。祈っていたいと思う。

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