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2012.08.07

空飛ぶ広報室

有川 浩 2012 幻冬舎

久しぶりに有川さんが描く自衛隊。しかも、長編。
目次を見て、ああやっぱり、と思った。
「あの日の松島」
それを書く作家は有川さんしかいないだろうし、有川さんなら書かないわけがない。
ほんの少しでもむくわれてほしいな。いたわられてほしいな。
知らず知らず涙が出た。

有川作品を読んでいなかったら、ブルーインパルスが松島基地にいることを知らなかっただろう。
3.11の報道で松島基地の映像を見て、声にならない悲鳴を上げて、しかも、九州新幹線開通のためにブルーが福岡に来ていることを思い出して、いささか安堵して。
でも、一番近くにある基地が被災した時、どこをどう拠点とするのだろう、とか、素人ながら首をかしげたり。
もともとは私自身も自衛隊に対してネガティブな印象を持っていた。
小説という世界であるが、そこに一片の美化がないわけじゃないとしても、数々の災難救助活動に関する報道と、現在の国際社会の状況に加えて、有川作品を通じて、私の中の自衛隊に対する感情はずいぶんと様変わりした。

つまり、それが、広報の仕事だ。
主人公は不慮の事故でパイロット資格剥奪された空井。
パイロットでなくなった彼が配属されたのが航空幕僚監部広報室だ。
そこで空井がアテンドを任されたのは、記者からディレクターに異動させられたばかりの稲葉。
夢を断たれた2人が、自分の立ち位置を見直し、新しい目標を見つけ、プロとして成長していく物語である。
ほの甘いラブ要素は控えめぐらいでちょうどいい。この物語は甘すぎないところが逆にいい。
だって、「普通の人たち」の物語なのだから。

買ってすぐに一気読み。
読み始めてすぐに引き込まれて、進むんだけれども厚かった。
途中で仮眠を挟んで、仕事の合間も読んで、やっと読了。
最後の松島のくだりで、涙を禁じえなかった。

支援者支援という言葉がある。
災害支援の一領域だ。災害を支援する側も、二次的、三次的に傷つくことが知られている。
家族が行方不明でも活動をし続けた消防団の人たちを筆頭に、医療関係者、教育関係者、行政関係者、保健福祉関係者、宗教関係者、さまざまな領域で、自らも被災者でありながらも被災者の支援をしてきた人たちがいる。もちろん、自衛隊も。
彼ら自身、傷つきもするし、疲れもする「普通の人たち」であることを忘れないでほしいな。
傷ついたらその傷を治す努力をしてほしいし、疲れたらその疲れを癒す工夫をしてほしいな。
目に見えない傷や疲れや、その悲しみを、いたわってほしい。
人間なんだもの。普通の人なんだもの。人の子なんだもの。
機械だけじゃない。人間だってメンテナンスが必要なんだから。
助けを求める文化をあまり持たない人たちは心配になるなぁ。

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コメント

「あの日の松島」は涙なしでは読めないよね。この短編を読めて良かったなぁと思いました。書いてくれた有川さんと出版を1年延ばしてくれた出版社の英断に拍手を送りたいです。
確かに、この物語は甘すぎないのいいと思う。思うんだけど、甘味成分多めな有川作品に慣れていると、ちょっと物足りなさも感じてしまう自分がいます(笑)脇役カップルで甘味成分を結構、感じたハズなのになぁ^^;

すずなちゃん、こんにちは。
本編があってこその短編なのですが、あまりにも印象が強すぎて。
「特定の職業を紹介しつつの主人公の成長物語」は読みやすいし、面白いんですけれども、ほかの作家さんには書けないだろうなと思うのが、短編のほうだったんです。

普通の人の人生には、そこまで甘々なことも起きないかな?と思うと、これぐらいが程よい印象でした。
たとえ、多少、物足りなかったとしても。そこまで人生は甘くないもの。
とはいえ、べったべたに甘ーいのも読みたいですね。
シアター3で、甘くしてくれないかな?笑

こんばんは。
「あの日の松島」はリカがそのままきっと有川さんで、取材で聞いた事を書いてくれているんだろうなと思ったらとてもリアルに感じました。
私も短編の方は有川さんじゃないと書けないだろうなと思います。
有川さんと言えばベタ甘ですけど、この作品に関してはそれがなくて良かったと思いました。私も程よかったです。

苗坊さん、こんにちは。
小説じゃないときっと書けなかったであろう、松島基地の司令がかっこいい!!と思いました。
普通の人にとって、めったに劇的なことは起こらないので、恋愛も劇的でないほうがアクチュアリティがあってよかったんだと思います。
この物語は、夢物語になりすぎないことが必要だったと思うから。
甘いのは、別の作品で、味わえるといいですね♪

香桑さん、こんばんは(^^)。
有川作品の中でも、一番現実に即した物語になりましたね。
「あの日の松島」は、涙なくしては読めませんでした。
自衛隊という組織の広告にとられかねない物語だけど、そんな上っ面じゃなくて、自衛隊を構成する〈ひと〉の強さと温かさを感じてほしいなぁ…って思いました。

私、鷺坂室長の有能さに萌えました♪
「おいちゃん」って、いい響きだと思いません?

水無月・Rさん、こんばんは。
おいちゃん、素敵でしたねー♪ あんな上司、傍目には素敵です。自分の上司だと、ちょっときついかも、ですが……。

「自衛隊モノだから」と切り捨てる人は、これを読んでも切り捨てちゃうのが残念です。
水無月さんのおっしゃるとおり、〈ひと〉の強さと温かさを感じてほしいものです。

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