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2012.05.08

レヴィ=ストロース入門

小田 亮 2000 ちくま新書

冒頭のデリダ批判がしびれる。かっこいいなぁ。
レヴィ=ストロースじゃなくて、小田さんがかっこいいなぁ。

私がレヴィ=ストロースに触れたのは大学のときである。
選択必修の第二外国語でフランス語を選び、二年目には、なぜか、テキストで「悲しき熱帯」を読むという恐ろしい講義を受けた。
翻訳書だって訳わからんのに、フランス語になったら訳がわかるかーっ。
そんな悲鳴を何度もあげたが、しかし、ある一文において、ひどく感銘を受けたことも記憶にある。

その一文を探すためには本人の文章にあたるのが一番だろうが、あいにく、どの論文かを覚えていない。私の理解力・読解力からいって入門がふさわしいだろう。
そんなわけで、買い溜めて積み上げていたちくま新書を手に取ってみた。

体系は変換しない。構造は変換する。
数学の行列みたいなもの~?と、読み進めるうちに頭の上の???は増えていくが、おおむねわかりやすい。
ジーン・アウルの「エイラ:地上の旅人」シリーズ(集英社版のタイトル、私が読んだ評論社版では「始原への旅立ち」)を読んでいたことが、婚姻システムの構造を想像する助けになったと思う。
そんなわけで、交叉イトコ婚のあたりで、多少、?を飛ばしても、そこを力技で乗り越えていくと、私の読みたかった神話の話になる。

一つ一つの神話は、だから何?とか、それが何?とか、わけがわからないことが多い。そこに象徴性を見出して/託して読み解く(と見せかけて他の何かを表現/理解するために援用する)やり方と、レヴィ=ストロースの方法はまったく異なる。
南米から北米にかけて採取された神話を、読み比べ、読み合わせ、折り重ね、継ぎ接ぎし、ブリコラージュしていく。
どれが一番古くて、正しいのかを探るのではなく、複数の素材を、砕いたり、裏返したりしながら、対立しながら共通する部分をすくい出し、並び替えていく。
その過程を通じて「神話の大地は丸い」こと、地理的に遠い神話に類似性が見られることを示していく。
しかも、多重コードであることを認めているからイメージは豊潤に象徴性は保たれたまま布置されていく。
このくだりはスリリングで、楽しくて、面白くて、わくわくした。世界が活き活きと蘇ってくるような魅力がある。

レヴィ=ストロースは「神話とは自然から文化への移行を語るものだ」(p.208)という。
自然という連続した体験を、文化という言語によって分節化された不連続なものに置き換えていく過程で、連続と不連続の対立を現実に解消することはできないが、神話はそこをなだめ、理解したり、納得できるようにするものだという。
その機能については腑に落ちるし、最初は奇妙に感じた『神話論理』の巻ごとのタイトルも、なるほどと思った。
レヴィ=ストロースは「私はただ神話群が通りすぎていく場であろうと努めるだけです」(p,206)言っていたのそうだ。まるで依巫のようだ。まるで、稗田阿礼みたい。
日本では神との出会いは、日常の景色がふとしたことで非日常の景色に「反転」する体験(菅野覚明『神道の逆襲』)なのだから、神話は何かひとつの根源にさかのぼるものではなくていいのだと思う。

私が学生時代に触れた論文は「神話の構造」だったみたい。
どれが一番古くて、だからどれが正しいのかを探ってみようとしても、それは無理なことなのだから、今残っているものを「束」にして考えてみないか?という提案が、ひどく新鮮だったのだ。
そんな理解の仕方は、今も私の中では大事なツールになっている。

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