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2012.05.21

日本神話の女神たち

林 道義 2004 文春文庫

うーん。
うなってしまった。
どうしよう。

自分自身のパートナーシップの問題を考えるとき、「見るなの禁止令」はひどく現実味を帯びてくる。
ここ最近、鎌田東二『超訳 古事記』に出会ったことをきっかけに、神話関係を続けて読んだり、読み直してみた。
私が「見るなの禁止令」を学んだ北山修さんは精神分析の立場であるが、本書の著者はユング派。
両者による神話の取り扱いの違いは、かなり際立っている。同じ素材でも、ここまで変わるか。その違いを味わうのは楽しい。

本書を読む前に、『日本神話の英雄たち』を再読した。
著者は、古事記・日本書紀が成立したときの集合的無意識の在り様や社会の在り様に寄せつつ、神話的・元型的な読み方をしていく。
そこに読み解かれるような政治的な時代背景、編纂者の思惑といったあたりが、鎌田さんが知ってがっかりしたという古事記の大人の事情に重なるのだと思う。
私としても、知りたいのはそこではない。
今に活かせるような読み方のバリエーションであり、イメージのふくらみなのだ。
古事記から読み解く過去の現象と無意識も面白いけれども、それが今も活きている力に変えていく作業のほうが私は好きなのだ。

そういう意味では、アニマとアニムスをバランスよく育てていくことを、成功例としてオオクニヌシとスセリヒメ、失敗例をヤマトタケルとオトタチバナで説明している箇所が面白かった。
禁止令を超えて、カップルがどのようにすれば長続きできるか、示唆している。
同時に、人の意識と無意識との折り合いの付け方が示されている。これは、ユング派ならではの視点なのだろう。
また、古事記はわりと母親不在であるという指摘も興味深い。母親不在と言うか、「父-娘」もしくは「母-息子」の組み合わせで登場しやすいってことだと思うのだが。
母は時に代理母(タマヨリヒメやヤマトヒメ)になるので、出産時の母親死亡率も高かったんだろうなぁ、なんてことを、考えてしまった。

総じて、『英雄たち』ではさほど感じなかった違和感が、『女神たち』では感じてしまった。
自分が女性であるため、どうしても女神のほうに、自己を投影させやすいからだろう。
重ね合わせようとした自分の気持ちが、どこかに置いてきぼりになるような、もやもや感が残った。
また、「このことは次著で書く」という言葉が数回出てきた。
次著ってどれ?

そこは女性の心理としてそうじゃないよ~と言いたくなる。特に、イザナミにおいて。
女性の気持ちはこうなんだよって、誰か書いてくれないかなぁ。
好きで好きで好きでたまらないから、いざなわれて理を曲げようとしたのに、「やっぱ無理」って断られてもねぇ。
なんで約束を守ってくれなかったの? 恥ずかしい。悲しい。腹が立つ。
なんで逃げ出すの? なんで置いていくの? そんなものだったの?
追いかけるよ。ちょっと待ってよ。まず、話をしようよって言っているのに、なんで逃げるかなぁ。
そこで、「ごめん」って言ってくれたら、それですむじゃない。「約束を破ってごめん」「逃げ出してごめん」って言ってくれたらよかったのに。醜いところも含めて、どーんと引き受けてくれたら、もっといい男だって惚れ直したのに、全力で逃げるか?
そりゃ怒るわな。怒るけど、許しちゃうんだよ。好きだから。
怖がらせるためにつきあったわけじゃない。好きな人を苦しめたいわけじゃない。ここまでこじれてしまったら、どうしようもないのもわかっている。
だから、「1500の産屋を立てよう」と誓いの言葉を引き出せたことで満足しよう。これからさきのあなたの行動のすべてに、私の痕跡が刻まれているのだから。私はなかったことにはならないのだから。
そうやって、あなたは光の下で輝いていてくれればいい。
私は無意識のかげりにひそみ、あなたが幸せに向かうよう、支えていくことができれば、それで満足だ。
こんな感じで。

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