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2012.04.19

きみはポラリス

三浦しをん 2011 新潮文庫

最近、うちの猫ががんだということがわかった。
部位は違うが二度目のがんだ。
年が年だから、今度は麻酔ができない。手術ができない。
飼い始めて19年。来年は今頃はいるのだろうか、と思いながら過ごしてきた。
いつかその日が来るとわかっていても、近づいてきていることを確かめることは、切ない。
だから、「春太の毎日」を読んでしんみりした。

好きな人が望むなら。
ずっと一緒にいるよ。(「永遠に完成しない二通の手紙」)
裏切らず、本気を貫く。(「裏切らないこと」)
死ぬまで、全部忘れて楽しく暮らす。(「私たちがしたこと」)
私は行く。求めても与えられず、探しても見いだせず、門をたたいても開かれることのない道を。(「夜にあふれるもの」)
私は小さなその土地に踏みとどまって、あらゆる移ろいを見つめ続ける覚悟をつけた。(「骨片」)
すべてを飲みこんで生きていく。(「ペーパークラフト」)
もしもいつか、私たちの心が遠く隔てられてしまう日が来ても、この笑顔はいつも私のどこかにあり、花が咲いて散って実をつけるみたいに完璧な調和のなかで、私の記憶を磨きつづけるのだ。(「森を歩く」)
まったくもって、生活からは逃れようがない。(「優雅な生活」)
ああ、いつまでもこうしていたい。ずっと仲良く暮らしていたい。(「春太の毎日」)
何度聞かれても、私は信じると答えるだろう。(「冬の一等星」)
好きなんだ。(「永遠につづく手紙の最初の一文」)

それぞれの短編から一節ずつ引用してみた。もっと美しく胸打つ文章もあるが、ここはあえて流れ重視で選んでみた。
このように、いつも心の中で輝くポラリスのように、その場所は変わらず、私の目指すべき位置を教えてくれる存在として輝き続けるような恋や愛ばかりが集められている。
本数が多い上に短編から中編ぐらいの長さばかりで、読みやすいけれども全体はしっかりとボリュームがあった。
また、三浦さんのその後の作品の登場人物のプロトタイプになっているのかな?というキャラクターも散見して面白かった。
もっと面白いと思ったのは、巻末にお題もしくは自分お題が記されていたことである。短編のタイトルとは別ものの、依頼時、執筆時のお題を見ると、なるほどと興味深かった。
ちなみに、解説は中村うさぎ氏。この取り合わせが素敵であり、中村さんの文章によって、私の恋も愛に認定してもらえたような喜びをかみ締めた。

好きな人が望むなら。望まなくても。それは自分が望むことだから。
ためらいがなかったとは言わない。ためらっている間に、彼の本気はすり抜けてしまった。
本当に本気なら、本物なら、ちょって待てと言いたくなるが。
男ってばか。
女はそんなことを望んでいないよってことを、先回りしてかなえようとして空回りするからばかって言いたくなるんだ。
女の恋は上書き方式って誰が決めた。
恋はそんなものではない。
たった一つ。決めてしまったら、それを抱いて生きるしかない。
あなたが望むなら。忘れたふりを私はしよう。してあげよう。
あなたが見ているところでは。見ていないところでも。
そう思いはしたが、忘れられるものではないんだよ。そう簡単にはね。

忘れたふりをしてあげてもいい。そうすれば、あなたは「この女もか」と失望を再確認して安心することができただろう。
あなたは過去の憂鬱と未来の希望から目をそむけることしかしないが、しかし、私はここに踏みとどまっていよう。
踏みとどまることで、あなたにそんな安穏とした臆病な平和に逃げ込むことを許さず、私は自分の心を裏切らずにいよう。
呼ばれたら応じる。助けを求められたら駆けつける。そのためにここにいる。私はそういうものだ。そういうものがいるという安心感が、私の供するものだ。
忘れない。裏切らない。そこに常にある。そんなものがあることを、あなたがいつか信じられたらいいのに。愛されているということを。
祈りは、まだまだ続くのだ。

だって、あなたが私を守る星なのだもの。
いつも心の中で輝く、導く、励ますもの。
忘れられるのはあきらめてくれ。

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コメント

こんにちは。
それぞれの愛の形が素敵でした。
同性でも異性でも家族でも、いろんな愛がありました。
恋愛小説は受け入れられないものや共感できないものもありますが、しをんさんのは自分の体験とは違うものでもするっと入って読むことが出来ます。不思議です。

苗坊さん、こんばんは。
世代が近いこともあるのか、なんだか読みやすいんですよねぇ。すんなりと馴染んでいくような感じがします。
この短編集はいろいろと実験的な面もあったと思うのですが、そこが単一にならずにすんで、面白みとなっているのでしょう。

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