2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

著者名索引

香桑の近況

  • 2017.1.4
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計323冊
無料ブログはココログ

« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »

2012年2月

2012.02.29

性同一性障害と戸籍:性別変更と特例法を考える

針間克己・大島俊之・野宮亜紀・虎井まさ衛・上川あや 2007 緑風出版

付け焼刃的に勉強中。必要に差し迫らないと読まない本ってあるわけで。
人がよりよく生きるためのお手伝いとして、この領域の勉強を再びするのもありかなぁ、と思った。よりよく……というと語弊があるから、より生きやすく? よりハッピーに、というほうが、しっくりくるかな。
手元には日本精神神経学会の「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン(第3版)」もある。こちらはネットでダウンロード可能だ。

社会学的、心理学的な領域でのジェンダーの勉強ならしてきたが、法律や制度が絡んでくると知らないことも多い。
実際、改名の手続きは、戸籍の性別変更の手続きとは別で、よりハードルが低いことも、初めて知ったよ……。
Q&A形式なので、当座、必要なところだけを拾い読みしがちなのであるが、当事者も援助者も、通読が望ましいだろう。
知らないことがあるかもしれないし、知らないことで損をしてほしくないもの。

ホルモン療法も、手術も、どちらも身体的、心理的な負担は大きい。
望んですることとはいえ、身体はよくも悪しくも心に影響を与える。
更に、各種手続きはわずらわしいこともあるだろう。というか、この本を見ていると大変だろうと、理不尽さを感じた。
手術をしたから、戸籍を変えたからといって、人生のすべてがすぐさま思いとおりになるわけではない。
現時点では踏み出す人は、やはり相当の覚悟が求められる。気軽に取り組むことでもないとは思うが。
楽なことではないのだから、遠慮せず、適切で必要な援助を受けてほしい。

それでもなお、と、踏み出す人のお手伝いができればいいなぁ。

2012.02.27

女神の誓い

マーセデス・ラッキー 1995 創元推理文庫

愛は自由でなければ生きられぬ。

この言葉は出会ったときから深く私に刻まれるものになった。
愛は自由でなければ。私も愛を自由にしなければならないだろう。
愛する人を縛るのではなく。空に返すように。自由に。
手離さなければ、死んでしまうものなら。

あまりにも好きすぎて感想を簡単には言えない。私がマーセデス・ラッキーに出会った一冊目。
あまりにも長い時間をかけて読んできたシリーズであるから、私の価値観に少なからず影響を与えている。
子どもの頃から様々なファンタジーを読んできたけれども、今でも私の中のNo.1はこのシリーズ。
ヴァルデマール年代記と呼ばれる一連の異世界ファンタジーの、この最初のタルマとケスリーを主人公にしたシリーズが一番好きだ。
女の子(立派に大人の女性も含む)が戦う物語の中でも、この二人がどれだけ自立しており、魅力的か。余計な媚びや萌えは必要ない。彼女たちは誇り高い。
しかも、決して、男性対女性という構図になるわけではなく、脇の男性たちも多くは成熟しており、魅力がある。

一族を殺され、略奪され、自身も輪姦されたことから、復讐のために女神の誓いを立てた剣士タルマ。
シン=エイ=インという一族は、ネイティブ・アメリカンを彷彿とさせる生活文化を持っている。
彼らは格言好きで、「愛は自由でなければ生きられぬ」というのも、その一つ。
「願い事をするときは気をつけなさい。もしかしたら叶うかもしれないから」というのも、大好きだ。

貴族の生まれであるが、兄により金持ちのところに売られ、性的虐待を受けた心の傷を持つ魔法使いケスリー。
魔法使いといっても、かなり実践的で実戦的。負けず嫌いで、タルマの言葉を借りれば「強情でがんこで愚かでむこうみずでどうかしている」(p.402)。
圧倒的に、私が自分を投影させるなら、ケスリーだったなぁ。

ケスリーとタルマが出会い、「もとめ」という名の特別な剣があり、ワールという不思議な獣を召喚して、パーティができあがる。
最初は警戒し合っていたケスリーとタルマであるが、徐々にお互いに気遣うあまりにお互いを失うような危機に遭遇する。
後には息もぴったりの魂の姉妹になる2人が、この本ではまだまだぎこちなくて初々しい。
それぞれが心の傷を克服していくことが、誰かを信じ、誰かを愛するためには、不可欠だ。
どちらか片方ではない。双方が、だ。

片方が片方を庇護しなければならないのではなく。
片方が片方に追従しなければならないのではなく。
お互いが対等に尊重しあい、信頼しあい、愛し合うには。
束縛でもなく、執着でもなく、未練でもなく、愛を愛のままにしておくために。
ただただ愛し続けたいから。愛を送り続けよう。
愛は自由でなければ生きていられないのだ。

本を読むと余計なことばかり考えてしまうから、新しい本に手が出ない。
しばらく、懐かしい本を読み返すにとどめておこうかな。

2012.02.21

ふがいない僕は空を見た

窪 美澄 2010 新潮社

大声をあげて泣き出したい。
主人公たちと一緒に泣き出したくなった。
泣かないと、心の中の水位を下げてしまわないと、これ以上、涙を溜めていられない。
手を噛んで、嗚咽を殺す。残った歯形を見て、自分の歯並びが不揃いだと思う。
どうしよう。恋人に会いたくなる。忘れられるわけがない。忘れたふりをしなくちゃいけないのに。
大声をあげて泣いてしまいたい。

5つの連作短編集。主人公が入れ替わっていくことで、それぞれの立場からの切なさがこみあげてくる。
恋は一人では成り立たない。しかし、「ミクマリ」と「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」の対で終わらないところが、いい。
「ミクマリ」の初々しさや瑞々しさを感じる少年と関係を持っていたあんずの「世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸」の救われなさ。芥川の蜘蛛の糸とは違い、その糸は地獄からの救いではなく、雁字搦めに現世に縛り付ける糸だ。
あんずはいい。自分の行為で自分だけが嘲笑われるならいい。覚悟の上に引き受けることだ。そのとき、なぜ、斉藤までも巻き込まなくてはならないか。そうやって繋ぎとめておきたくなる気持ちもわかるが、それはしてはならないと思う。
「2035年のオーガズム」を読んで、やっぱりと惨憺たる気分になった。自分の妻を繋ぎとめられないからって、よその男の子を貶めるなよ、と、あんずの夫に腹が立つ。主題は、斉藤の恋人になりかかっていた少女の家族の再生の物語なんだけど。
「セイタカアワダチソウの空」は、性のことは横に置き、斉藤の友人であるはずの福田のなんとも苦々しい日々を描く。貧困の皺寄せは、いつも子ども達に来る。こんな生活をしている子達を、こんな思いをしている子達を知っている。福田のラストの気持ちを応援したくてたまらない。
そして、「花粉・受粉」。斉藤の母を主人公にした、いい作品だ。仕事に逃げ込みながらも一生懸命に生きてきた感じが、好き。なんだけれども、その感想の前に、あんず夫ーーーっ!!と怒りのほうが大きかった。あーもー、こういう男、大っ嫌い。
自然って。人の思いとおりにならないものなんだけどな、とつぶやく。
だから、神さまって祈りたくなるんだ。

「女による女のためのR-18文学賞」の受賞作は、なんでこんなにざらざらとするんだろう。
去年の「偶然の息子」も、ざらざらしていた。母性と言い切ると語弊が生じるが、性行為だけを純粋に楽しむだけでは、なにかを描き損ねてしまうのだ。
このざらつきは、川上未映子『乳と卵』とか、三浦しをんや山田詠美にも垣間見られるわけで。
男性向けのエロやBLでは、こういう卵を抱える苦さは描かれないところが非対称だと思う。同性愛の場合もどちらかと言えば薄い。
性は生であることをしっかりと見据えている男性もいるが、そのあたりの温度差というか、こだわりが面白いな、と思った。

幸福の絶頂。もろくて儚い絶頂だ。
何度も何度も味わい続ける人もいるだろう。
失って二度と味わえぬ人もいる。もとから味わうことのない人もいる。
そういえば、「一緒にイキタイ」というのはダブルミーニングだと思ったことを思い出す。
「一緒に生きたい」と祈るように口にした。彼の腕の中で、幸福なまま、一緒に生きたいと祈っていた。

子どものために祈る。
私が産みたかった子どものために。私が産めなかった子どものために。かつて子どもだった人のために。
今、私が関わっている子ども達のために。これから関わりゆく子ども達のために。
子どもを育てたいなぁ。自分の収入が安定しないのでなかなか踏み切れなかったが、私が子どもを持つ方法がある。特定の子どもを支援する。私だけの子ども、じゃないけれど。私と彼の子どもでもないけれど。
私は誰かのために、じゃないと、がんばれないのだ。がんばれるけど、力半分になってしまうから。

2012.02.19

ガラシャ

宮木あや子 2010 新潮社

人はそう簡単には狂えないのです。
……と冷静に見てしまうと、物語が楽しめないのはわかっているが。
私自身も思いつめる性質ではあるが。恋で苦しんでいるが。
ガラシャにほとんど共感しないまま物語が終わってしまった……。

恋の部分では、一瞬、盛り上がれるかと思ったんだ。歴史小説というよりも、ラブ度高めの小説を期待して読み始めたのだし。
ただ一人を、会うこともなく、声を聞くこともなく、ただ記憶のみで慕うことぐらいできる。軽く10年ぐらい、やってみようと思っている。
会いたくて会いたくてたまらなくて、欲張りになる心があることを知っているけれども、なんだかガラシャとはベクトルと純度が違うんだよなぁ。
ガラシャの物語はとても若いお嬢さんって感じがして、恋についての語りも含めて、自分と重ね合わせることに無理を感じてしまったのだ。
作者の若さを感じてしまったと言ってもいいかもしれない。書いててへこむなぁ。

この肩すかしは、忠興の所為か!? 忠興って、もう少し描きようがないのかなぁ。
この忠興だと期待が盛り上がらないんだもの。顔がいいだけの困ったちゃんとしか描きようがないのかなぁ。
忠興は母親不在の家庭で育ち、母親の愛情に強い憧れと執着を持つ男。癇性なところがあったことは記録があるから仕方がないのか。
37歳になり、白髪が少し生え始めた頃の、落ち着いた忠興だったら、もっと玉子と睦まじくなれなかったのだろうか。
同い年の玉子も、もっと成熟することはできなかったのだろうか。

自分にできないことを物語に求めてみる。
このままだと、忠興より興元のほうが素敵やん。
糸の、ちょっと支えてもらいたくなった、よろめき具合にはかなり共感。
弱っているとき、ここぞというときに、助けてくれた男の人は、何割増しどころか、何倍増しにも魅力的になっちゃうよね。
ガラシャは途中、顔が綺麗な男はこの世のものではないと思おうとするけれど、ガラシャだって顔にばかり惚れていたわけではなかろうに。
その大きな手の温もり、心根の美しさに惹かれるからこそ、選んだ道だったのではないか。
というか、顔ならば忠興だって綺麗だったのだから。
それぞれ登場人物の姿かたちの綺麗さだけが際立ちがちな語り口だったからこそ、興元の穏やかな笑顔が魅力的に感じた。

歴史を題材にした小説は、既存のイメージがある上に、大きく物語の筋を変えるわけにはいかないところが難しいと思う。
それでもガラシャ夫人というのは魅力的な素材であるから、読み手の期待も大きくなるのかもしれない。
なお、九州国立博物館で現在、「細川家の至宝」展をしている。少し前までは京都国立博物館で行われていた。その京都でのフライヤーのコピーが最高だった。
「美の世界では、天下人」
このトホホ感が、やっぱり幽斎より忠興……。

2012.02.18

BUTTERFLY

L'arc-en-Ciel

この流れです。もちろん、これも買いましたとも。
通して聞くチャンスがまだない……。

同僚がライブにもよく行っている人で、買ったよって話をしたら、「出勤の時にテンションを上げるのにぴったりな曲が多いでしょ?」と言われた。
歌詞で微妙に凹む曲が多いんです……とは言えず、「そっかー。そーだねー」とごまかす。
その後、いろいろと愛を語ってくれたのが楽しかった。彼女はどうやらデビュー当時からのファンらしく、今まで知らなかった一面を見ちゃった。

CDの感想にならないなぁ。
好きと嫌いでいえば、好き。
歌い方も聞きなれたし、耳に残る歌が多くて。
うん。好きだな。末永く聞いているかもしれない。
これも思い出のCDになるんだろう。
TVでPVをチェックしていた彼の横顔を思い出すから。

おそらく大方の本よりもファンが明らかに多いであろうことを考えるとCDの感想は迂闊なことは言えない緊張感がある。
やっぱり読書の感想に戻ろう……。

TWENITY 2000-2010

L'arc-en-Ciel

Neo Universeが好きだったんだ。CMの影響。
RIALを買ったけれども、この一曲しか聞かないまま、いつか棚に並べていた。
久しぶりに聞くと、やっぱり好きだなぁと思った。泣きそうなぐらい好き。というか、涙が出た。
最初に聞いた頃は自分に言い聞かせるように聴いたけれども、今は彼に伝えたい言葉がここに全部入っているなぁって思ったら、運転中にぼろぼろ泣いた。私のつたない言葉では、彼を怒らせるだけだもの。
笑顔でいてほしい。自由でいてほしい。輝いていて。優しい人。巡り合えてよかった、から。

この一曲だけしか聴かないと、新しくCDを買った意味がないので、ほかのもちゃんと聞いてみた。
ファンの間でも人気が高い曲、低めの曲ってあるんだろうなぁ。
声の響きが少しずつ変わっていくのがわかっちゃうのも面白かったり。
たまには違う人たちのCDを聴くのも楽しい。

さすがにこういうのは職場でかけるわけにはいかない。書類はさくさくさばけそうなんだけどなぁ。
運転中に聞くとしても、普段の通勤では2曲ずつぐらいしか聞けない。
遠出する仕事を辞めてなければ、もう少し聞けるのに。
雪がやんだら、ただ声を聞くためだけに、出かけてみようかな。

TWENITY 1997-1999

L'arc-en-Ciel

昨年の12月のある日を境に、その後の記憶がない。
最近、メールを書いているときに気づいて困った。
その前の11月中旬以降もかなり欠けている。
私の脳みそは相変わらずご都合主義だ。

というわけで、このCDをいつ買ったかが思い出せないが、恋人が歌っていた曲を探して買ってみたことは憶えている。
なので、ファンではないので、ファンの人は読まないほうがいいかもしれない記事です。ファンでない人にとっても、いつも以上にぐだぐだなので失礼。

彼がラルクを好きだった。彼の声に似ている。だから、聞いてみた。
うん。似ているのは中音から低音。高音が少し、彼のほうが。
似ている音を探して聞く。彼の声、彼の姿をなぞるように。
繰り返し、繰り返し、骨身に刻むように、忘れっぽい自分の脳に叩き込む。
この曲を聞いていたであろう頃の、今よりも若い彼も思い浮かべてみながら。

忘れない。忘れたくない。忘れないように努力する。
忘れてしまえば楽なのかもしれないが、少しも薄れさせたくない。
ひとつ残らず刻み込んでおきたい。

でも、わかっている。
そのうちに、彼の声がわからなくなるだろう。
hydeの声はhydeの声にしか聞こえなくなる。
そうして、私は忘れていくのだろう。忘れてしまうのだろう。
今の、この、強い気持ちとは裏腹に。
そんな予感を持ちながら、聞いている。

……なんてことを考えていたら、ミラン・クンデラの『笑いと忘却の書』を思い出した。
タミアの真似は止めておくこと。ほかの男には用がない。記憶の書き換えは容易であるが、そのほうがものすごーく後悔するのだから。
保っておきたいだけ、この記憶は抱えておけばいいのだから。好きな人は好きなだけ好きでいようと決めたのだから。
こうやって文章に起こすことも、記録であり、記憶の磨滅であり、憂さ晴らしになるからなんとかなる。なんとかできる。なんとかする。なんとか。

和スパ-ZEN

Shinji Kinoshita

ヒーリング系のCDは職場のBGMに使えるので、よく買っているが、これが一番気に入っている。
鳥の声、水の音、カエルの声などに加えて、しっとりと夜のような雰囲気がエスニックで好きだ。
和ではなくて、もうちょっとアジアン。ヴェトナムやカンボジアのスパを思い出す。
明るく青い水面を思い浮かべる曲もあれば、黒い水面、闇の中に赤い蓮が咲いている景色をイメージする曲もある。
暗く混沌とした中から鮮やかな色彩が浮かび上がるイメージが豊富で、トランスに入ると気持ちいい。
ゆったりとくつろぎたいときにお勧め。ほわぁっと広がる空間を感じたい。

最近になって、よく寝れちゃうから職場に持ってきたと言ったら、それは間違っていると上司に笑いながら怒られた。職場で寝てどーする、と。
言い方、間違えた。お勧めなのに。うぅむ。

Takamiy Classics

オムニバス

たまにはCDの感想でも書いてみようと思う。
このブログ用に一番最初に書いた記事はCDだったと思うから。
アフィリが使えなくて、画像が使えなくなったのが、ちょっとね。

Nessun dorma。
一時期、恋人からの着メロにしていた。
寝てはならぬ。寝てはならぬ。寝てはならぬ。
彼からの宿題が出るたびに、あうーとうなっていた頃。
考えてははずすことのほうが得意な私であったから、考えては眠れないこともあった。
そのうち、Nessun dormaを聞くと動悸がするようになったから、着メロにするのはやめてしまったけれど。音は常に消すようにしてしまったけれど。
黄金龍王を思い出の曲と思うといくらなんでも微妙なので、せめてこっちを思い出の曲にしておきたい……。

このCDは去年の夏に買ってから、よく聞いた。
誰も寝てはならぬ~アルビノーニのアダージョ~ジュピター~ワルキューレの騎行~新世界より~第九とメドレーでアレンジした、Takamiy Classics Fantasy op.1 が聞きどころ。新世界では拳をふりあげたくなる感じ。笑
ああ、たかみーのギターだなぁって感じで、好き。嬉しそうに弾いているところが想像できる。
10分ぐらいあるのかな。しっかり長さがあるので、おまけという感じがしない。このままアルバムにしちゃえばよかったのにと思っちゃった。
その一曲以外は、聞く機会の多いようなクラシックの名曲集になっている。

2012.02.17

にょにょっ記

穂村 弘 2012 文春文庫

『絶望名人カフカの人生』を嬉しそうに買っている私を哀れに思った職場の人が貸してくれた本。
幸せにはなり損ねたが、私はそこまで不幸じゃないぞ。失礼な。
でも、楽しかったからいいや。ちなみに、頭木さんはカフカの解説のなかで穂村さんを引用していたんだよ。
期せずして、本と本が繋がることがあるから、面白い。ほかにも、穂村さんが『私の男』のタイトルに触れていたり。確かに、「俺の女」とはインパクト違うよねぇ。

かなり読み進んだところで、ふと、自分の誕生日には何が書いてあっただろうと思って、ページを遡ってみた。
……抜かされていた。

ついでに、好きな人の誕生日を探してみた。こっちはあった。タイトルは「タクシー」(pp.52-53)

 タクシーに乗る。
 お金を払って降りるときに「ごちそうさまでした」と云ってしまった。
 あっ、と思う。
 間違えた。
 車が去ってからもしばらくどきどきしている。

こんな日々の出来事とか、その出来事から無限に広がる想像を、流さずに書きとめるところが詩人の才能。
日記形式なので読み方自由だ。順番に読んでもいいし、開いたページを読んでもいいし、遡ってもいいし。
くすっと笑ってみたり、ふふっと笑ってみたり。
ゆるゆると脱力しながら、お茶を楽しむ午後。

おい。仕事は?

なお、解説の代わりに、西加奈子さんの偽ょ偽ょっ記。ごとびは五十日だよ、と教えてあげたい。

2012.02.14

絶望名人カフカの人生論

フランツ・カフカ 頭木弘樹(訳) 2011 飛鳥新社

私は愚痴っぽい。弱音も吐くし、言い訳がましい。
が。
カフカには負けるなぁ。ここまで突き抜けたら、いっそすごいと思うんだ。
この本が、最近の一番のお気に入りで、一押しだったりする。

誰でも、ありのままの相手を愛することはできる。
しかし、ありのままの相手といっしょに生活することはできない。(p.148)

こんな日(2月14日)にこんなこと言われちゃったら、しばらく浮上できなくなりそうだ。既に似たようなことを私は言われているような気はするが……。
カフカの場合、これは日記の中の言葉であるから、相手というのは自分であって、自分に言い聞かせていると読むことができるだろう。
3度も婚約して、3度とも結婚に至らなかったカフカの、恋愛の空回り具合が身に染みる。他人事には思えなくて、遠い目をしてみた。
普通に憧れるのだ。それが手が届かないぐらい、高みにあるように感じる。ほかの人にとっての普通が、どうにも難しく感じてしまう。
比べるならば、ダンテの愛は持続的に空回って他者に大盤で振る舞われたが、カフカの愛は急速に自己の内側へと奥底へと空回る。

この本は、カフカの手紙や日記からの引用に、訳者が解説を加えている形式だ。
私はカフカの小説も読んでいないし、人となりを知っていたわけではないけれども、愛すべき人物像が解説によって思い浮かぶ。
働くのが嫌いと言いながら仕事は有能だし、ひきこもりたいと言いながら遅刻はするけど出勤しているわけで、死にたいと言いながらも自殺企図は一度もない。
なんとなく、こう、最強のヘタレ男子的な魅力が湧き上がってきて、カフカという人が可愛くなってしまった。
カフカの『変身』も何度となく借りては返して読みおおせていないが、もっとこの人の残した言葉に触れてみたいと思う。

なにしろ、カフカの悩みは非常に現代的なのだ。びっくりした。
あまりにも的を得た比喩や表現が多くて、さすが小説家は上手なのだ。
特に父子葛藤のところは、同じ19世紀後半に同じくオーストリアのユダヤ系の家庭に生まれているところで、フロイトをすぐに想起した。
ダブルバインド理論なんか出てくるのはもっと後の話だが、フロイト以上に父子の間でなにが起きているかを明瞭に表現している気がした。
父への手紙は全文を読んでみたいなぁ。でも、これは、お母さんがお父さんに渡すはずがないよねぇ。
こんなことを言いながらひきこもっている人、実際にいっぱいいそう……。

読んでいて何度も思わず笑ってしまった。緊張がふっと緩んだ時の、そういう笑いだ。
力んでいたものや張り詰めていたものがすうっと抜ける感じがいい。
自分が思いつめていたことも、カフカに比べたらまだまだだなぁとか、同じようなことで悩んでいるやつがいるなぁとか、思えてくる。
そうやって、もの思いから少し距離を置くことができたときに、緊張は緩み、少し楽になることができるだろう。
その点、通して1度読んだら終わりにするのではなく、思い出したときに手にとって、いくつか読み返してみるような本だと思う。

ぼくはひとりで部屋にいなければならない。
床の上に寝ていればベッドから落ちることがないのと同じように、ひとりでいれば何事も起こらない。(p.42)

それでも、普通に、結婚に、恋愛に、友人に、人生に、憧れずにはいられない。誰かを愛さずにはいられないんだよね。何度だって。

2012.02.13

やさしいダンテ<神曲>

阿刀田高 2011 角川文庫

やっと終わったー。長かったー。
「ダンテ君の天界うるるん旅行記」@『聖☆おにいさん(6)』。
河出文庫だったら3冊編成、平川祐弘訳の完全版なら6090円。
地獄篇から始まるという、興味はもっても、はなはだやる気を殺ぐ名作。
古典中の古典として、図書館で借りては開くことなく返していた学生時代。
そんな話をしたら、後輩がこの本を貸してくれたわけであるが……。

ダンテ、話が長いよ。地元の人の噂話をされてもよくわかんないよ。
この本ではそういう面倒なところを程よく割愛し、わかりにくいところに程よく説明を加えている。
たとえば、天国の至高天で聖者達がどのように座しているか、東京ドームにたとえてあるのは、かなりわかりやすかった。
だから、優しい。易しいじゃなくて、優しい。ダンテじゃなくて阿刀田さんが優しい。
こういう気遣いのある翻案がなされていないと、原作はかなり読みづらいだろうってことは、よくわかった。
『神曲』それ自体が、小説にしたからよくわかる入門書、マンガにしたからわかりやすい解説書みたいな役割を持っていたにしても、ここまで噛み砕いてもらわないと、私は読みおおせなかったな。

中世のイマジネーションってすごいよね。世界観を知る上では興味深い。歴史上の有名人が次々に登場するのも面白い。
どちらかというと、地獄のほうが興味深く、煉獄、天国と進むに連れて、だんだん興味がさがっていった。
先導役がウェルギリウスからベアトリーチェに交代したのは、私にとっては痛恨。
興味が下がるにつれ、現実的に忙しかったのもあるが、読むスピードも落ちていってしまった。

ベアトリーチェ、どこがいーんだろー?
美人なのはよくわかった。わかったけど、彼女が死んだ後に書かれた作品とはいえ、こんな風に神格化されちゃうのは居心地悪くないかな。ベアトリーチェの親族の反応を聞いてみたい。
それに、ほかの女性をべた褒めに誉めて見つめて見惚れている場面ばかり書いているダンテは、少なくとも、ダンテの奥さんや子どもにとっては嫌じゃないかなぁ。
というか、ベアトリーチェを美化することで、自分の恋心を正当化しているだけでは……。
男の人ってアニマを本当に大事にするよねぇ。だから、アニマなんだけれども。

キリスト教の知識は少しはあります。でも、私には信仰はないのです。時代も地域も違うので常識も違うのです。
だからもう、読むのが苦痛になるのです。そんな天国、行かなくていいからさ~、みたいな。
取り急ぎは原典にはあたらなくていいやって、よくわかったです。
とはいえ、地獄の第二層ぐらいでとどまれるよう、身を慎むべし。

2012.02.09

屋久島・鹿児島・指宿・霧島(タビハナ)

JTBパブリッシング

読書に入れるのか?>お前とツッコミを自分でいれつつ、イメトレ中。
B6よりやや幅広の、この手のガイドブックは装丁も可愛いし、見ていると楽しくなる。
タビハナとかことりっぷとか。行かない場所でも、つい集めたくなるような風情がある。
東京下町さんぽとか、横浜中華街とかのを見ていると切なくなるので、目線をそらして、今回は屋久島。

外枠はパックを使うからホテルは選べないとして。
どのエリアに行こうかなー。
何を見ようかなー。何を食べようかなー。
5月はパッションフルーツとトビウオが旬らしい。
初心者向けにヤクスギランドと白谷雲水峡が妥当か。レンタカーを借りて、滝を見て回るのもよさそう。浜辺でまったりもいいなぁ……。

行くと決めたら現実にうつしていかないと、去年みたいに行きそびれちゃう。
行きたい場所は、体力が必要そうな場所から行っておこうかな、と思って。
これでしばらくがんばる楽しみができた。それまで、体力作りと倹約を心がけたいと思います。がんばる。

2012.02.08

女性のための漢方生活レッスン

薬日本堂(監修) 2011 主婦之友社

久しぶりに記事を書くので、ちょっと緊張。
辞めた仕事の後片付けがやっと終わり、ようやく読書も再開できそう。今は逃避じゃなくて、楽しむために本を読みたい気分。
と言っても、読書はダンテに足止めを食らいっぱなしなので、最近のお気に入りから紹介したい。
これを記事数稼ぎとも言うが、ちゃんと生きているよー、ここを忘れていないからねーのサインなのです。

この本、「養生」をキーワードに、季節ごとの生活の心得に始まり、諸症状についての対処を体質ごとに解説してあるところが特徴。
日常生活の養生、食養生、ツボやよく使われる漢方薬も示されているので、いろいろと参考になるのだ。
お茶や料理のレシピも載っていたので買ってみた。

たとえば月経前症候群など、月経のトラブル。チェックリストで、血不足タイプ、血がドロドロタイプ、ストレスタイプ、冷えタイプのどれかを探してから、それぞれの食事や生活の工夫のヒントを読むのだ。
私だったらストレスタイプ。青物野菜や香味野菜、柑橘類を積極的に摂るのがいいそうです。ふむふむ。

こういう健康維持の本を手に取りたくなるところが、自分が中年になったことを示していると思うのだが、こういう雑学っぽい本も好きなんだもん。
健康オタクになって長生きするのもいいんじゃないかな。できるだけ、元気に。なるべく、ハッピーに。

« 2012年1月 | トップページ | 2012年3月 »

Here is something you can do.

  • ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン
    子どもとともに途上国の地域開発を進める国際NGO

最近のトラックバック