2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

著者名索引

香桑の近況

  • 2017.1.4
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計323冊
無料ブログはココログ

« 空の彼方3 | トップページ | 女性のための漢方生活レッスン »

2012.01.24

沖で待つ

絲山秋子 2009 文春文庫

明日で仕事を辞める。そんな日に、なんで読んでしまったんだろう。
星型ドライバーはわかるけど、コーキングはわからなくて首を傾げた。
それでも、「沖で待つ」の過ぎてしまった時間の愛しいけれどもばかばかしいような、でも二度と持てない時間が過ぎていく切なさは感じた。
と、解説を読みながら思った。

この本には「勤労感謝の日」「沖で待つ」「みなみのしまのぶんたろう」の3つが収録されている。
表題作と「勤労感謝の日」は、女性総合職という立場で働いてきた女性たちの、あの時とその後を描いている。
私より幾つか年上の先輩たちの体験談を聞いているような気分になる。

就職したてのあの時の高揚感と不安感。その時を一緒に過ごした人たちとの関わりは、ほかで再現されるものではない。
決して恋愛にはならない男女を描くところは絲山さんらしいが、それだけではなく、大事な瞬間が過去になってしまっていく時間の経過を描くところも、絲山さんならではな気がする。
「沖で待つ」
筋には触れないでおくけれど、この言葉を作中で読んだときの、なんとも言えない響きに、やられた。
意味もなく、泣きそうになった。不意打ちのように、深く揺られた。

また、この表題作は私にはとても馴染みのある地名がいくつも出てきた。
そうなのだ。九州に来たことのない関東の人って、福岡をものすごく隔たった場所のように感じていることがある。
とりあえず、福岡に来てよ。来てみてよ。そんな誘い文句として、東京から離れたことがない人に読んでほしくなった。

そして、その後。
企業から離れ、次の就職が見つからず、未婚であるとしたら。
「勤労感謝の日」の主人公は、「三十五を過ぎたらただの扱いにくいおばさんだ。どれだけキャリアがあろうが、社会常識に長けていようが却ってそんなもんは徒になるだけだ」(p.40)と自ら言う。
しがらみで見合いすれば負け犬を語らせるような男が相手では、やさぐれてもいいと思う。
心の中の声がざっくばらんで、うまくいかない日の、やりきれないようなじくじくとした気分が、真に迫る。
今後のためにも、一緒に飲みに入ってくれる年下の友人と、できれば話を聞いてくれる行きつけの店は確保しておきたい。
すっかり扱いにくいおばさんだもの。私も。まぁ、しゃあない。

「みなみのしまのぶんたろう」は感想が非常に難しい。
ひらがなばかりで読みづらいが、皮肉たっぷり。
現実に存在する人を連想するが、怒られないのかな。大丈夫なのかな。
でも、笑った。

« 空の彼方3 | トップページ | 女性のための漢方生活レッスン »

# 九州縦横」カテゴリの記事

小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは^^
この本、大学生の時に読みました。なので、今読んだらきっと感想は違うんじゃないかなと思います。
大学生の時に読んだ感想では確か出てくる女性たちが葛藤しながらも社会人として働いて、生きている姿にかっこよさを感じていた気がします。
もう少し経ったらまた読み返したい作品です。
「みなみのしまのぶんたろう」は多分単行本に入っていなかった気がするので気になります。

苗坊さん、こんばんは。
確かに。学生さんが読むのと、働くようになってから読むのとでは、かなり違うかもしれませんね。
同じ本でも、読み直すと、感じることが変わってくるのが、読書の面白いところの一つだと思います。
この本は三十路以降にお勧めしたい。もう少しオトナになったらねってことで。

「みなみのしまのぶんたろう」は、ブラックな笑いですねー。
最近、芥川賞が話題になっただけにタイムリーで笑っちゃいました。
やっぱり、ここだけでも先に読んでみませんか?

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/183237/43861898

この記事へのトラックバック一覧です: 沖で待つ:

» 沖で待つ 絲山秋子 [苗坊の徒然日記]
沖で待つ 「勤労感謝の日」 恭子は36歳。只今失業中。 近所の長谷川さんの紹介で、見合いをすることになった。 しかし、来たのは仕事を愛する最悪の男。 恭子はその場から逃げ ... [続きを読む]

« 空の彼方3 | トップページ | 女性のための漢方生活レッスン »

Here is something you can do.

  • ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン
    子どもとともに途上国の地域開発を進める国際NGO

最近のトラックバック