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2012.01.10

空の彼方

菱田愛日 2010 メディアワークス文庫

「いってらっしゃい」と「いってきます」。
「ただいま」と「おかえりなさい」。
この言葉を繰り返すことで、そこが居場所になる。
その相手との関係が居場所になっていくのだと思う。
私の好きな言葉達だ。

王都の賑やかな通りから入り込んだ路地。見落としそうな地下への階段。目立たない防具屋「シャイニーテラス」。
店主ソラが、客を「いってらっしゃい」と送り出し、「おかえりなさい」と迎え入れる。
ソラ自身は太陽のもとを歩けないから、防具となって人を守り、人と歩き、人と戦う。その人の旅の土産話から世界を知り、世界と関わる。
客にとっても、ソラとの会話が、一種のディブリフィーングになっている。
世界は穏かではないが、人の心が温かい、美しい物語だった。
続きも買ってみようかなぁ。

私の仕事も「待つ」ことが大きな比重を占めているので、主人公のソラにすんなりとなじんでいった。
待つことに徹して、自分は動いてはいけない。自分が動いたほうがどんなに早いとしても、自分から駆けつけたいとどんなに願ったとしても、その手を取り、抱きしめたいとしても、ここから出てはいけない。自分から動いてはいけない。
基本、待つ。
短気な私は時々行動しちゃうけれども、動ける範囲であれこれ画策はするとしても、とりあえず、待つ。無事をただただ祈りながら。命が消えないことを願いながら。
いつでもここにいるという安心感や信頼感を持ってもらうためには、それしかない。
そして、いつもここから現実に送り出す。再び訪れたとしたら快く迎え入れ、そしてまた送り出す。
私は、ここにいる。いつも、いつでも。
私の場合、「おかえりなさい」が「いってらっしゃい」で完結するのが、ソラと違うところだろう。

体験を過去の思い出にするには、なにか終わったという出来事が必要だ。
けりがつく、言葉なり、儀式なり、体験が必要になる。
行方不明のままであるなら待ち続けてしまう。死を受け入れるには、その死を事実として認識せざるえないような現実が、どうしてもほしくなる。否定しきれないほどに現実を見せ付けられてしか、人はあきらめられない。
私自身が、綺麗なまま、曖昧に誤魔化した終わりでは納得できない。傷ついても、傷口を押し広げる勢いで、終わりは終わりだと確認しないと気がすまない性質である。付き合わされた方はきつかっただろうと思うけど。
終わりは終わり。そう思い知らされないことには、希望をつむがずにいられないのだ。どんなに空虚なことだとわかっていたとしても。
このあきらめの悪さがあるから、待ち続けることもできるのかな。多分、今も、よきことの訪れを待っているように。

素材屋のハンター達もソラの客で、そこからモンハンを思い出した。
深沢美潮がドラクエからフォーチュン・クエストのシリーズを生み出したように。
RPGでは旅人は次の町から次の町へ行ってしまうけれど、モンハンなら同じ街から出かけては帰ってくる……んだよね?

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