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2012.01.11

セレモニー黒真珠

宮木あや子 2009 メディアファクトリー

大好きだった男が死んでしまうのと、他の女と結婚するのを見るのとでは、どちらがつらいか。
なかなか考えさせられる問いである。
つらいのは前者だなー。つらいけど、立ち会いたくなるだろう。後者は、立ち会いたくないけれども、立ち会わずに済むなら前者よりはつらくない。
いいよ。好きな人が幸せなら。その時に隣にいるのが自分じゃなくたって。でも、この世からいなくなっちゃうのはつらいなぁ。

部下からもっと楽しい本を読むように言われて、小説を数冊買い足した。その一冊。
よくよく考えれば葬儀屋さんが舞台。
……楽しいかなー?と心配しながら読んだら、おおむね楽しかった。時々、切なかった。うるっときた。ちょびっと泣いた。また少し元気になった。

セレモニー黒真珠という地域密着型の小さめ葬儀屋さん。好きな男が他の女と結婚するのを見せられた笹島、幽霊が見えるメガネ男子の木崎、大好きな男の死に水を取るために働き始めた妹尾。
笹島も、妹尾も、それぞれ人生が大変な上に、毎回、死者が登場する(当たり前だ。葬儀屋さんの話なのだから)にも関わらず、あんまりウェットじゃない。
過度に情緒的にならずに、いやらしく泣かせようとするんじゃなくて、それぞれが当たり前にお仕事をしている感じが、いい。
とっても現実的で、ほっとする。ラブコメとまでは言わないけれども、ほのぼのと甘い感じも、後味がいい。
あと、干からびたマンドラゴラのような社長が素敵。またも、おじさんに惚れ込むか、自分。

死が、これだけ物語に扱われていながら、ドライ。
どうしてかと考えてみたが、主たる登場人物が葬儀屋さんというお仕事の立場から死に関わっているからだろうか。
これから死を迎える当人の物語でもなく、大事な人を死で亡くした遺族の物語でもない。すると、第三者的な死になる。
対して、私が関わることができるのは生きている人だけなので、死にゆく人か、残された人を支えることになる。

距離感を保てないと、仕事であれ、死に関わるのはしんどくなりそう。少なくとも、今のようなやり方では私はやっていけないだろう。そう思って、死に直接立ち会う職場は避けてきた。
それでも、プライベートでも何人かを見送ってきた。仕事でも担当している人の訃報を聞くことはある。
この指の隙間から洩れこぼれるように、命がすり抜けていく喪失感に、私は慣れることができない。
できることがあるなら、まだいい。疲弊しようが、消耗しようが、できることがある限り、それをする。避けられないなら、一日でも先に送りたい。
でも、できることなんて何もなくなり、その時が来る。避けられない死がある。その後の、遺体に触ることや焼き場のにおいや焼かれた骨を砕くときの音にも、やっぱり慣れない。
見守る者=残された者の苦しみも知っているから、私は大事な人たちよりはなるべく長生きしたい。あんな思いはなるべくさせたくないものね。

しおしおしている場合じゃないのだ。がんばろー。

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コメント

香桑さん、こんばんは(^^)。
うう・・・同じ本を読んだ感想とは思えないような、ぶっ飛び萌え萌え記事を書いてる自分が、すんごく恥ずかしいです…。
笹島・木崎・妹尾の3人に、それぞれ訳アリな過去があり、それでも真摯に筋を通して生きているところもよかったんですが、なんせトホホ系眼鏡美男子のインパクトが強すぎて(笑)。
マンドラゴラな社長・ゴロー、登場シーン少ないけど、私も好きです!

水無月・Rさん、こんばんは☆
いつも小説の感想から話が離れてしまいます。そんな感想にコメントありがとうございます♪

途中までは、素敵眼鏡男子ににまにましていたんですよー。彼はいいやつです。おいしいキャラです。どこか性根の腐った感じが、かなり好みです。
でも、紫色のスーツを着た妖怪にがつんとやられてしまいました。笑 
笹島も、妹尾も、木崎妹も、女子がどの子もいい子たちでしたね。
プロポーズのシーンとか、さんざん噴き出す笑いをもらいました。
『花宵道中』も魅力的でしたが、こういう元気な系統の作品を、宮木さんにこれからも書いてもらいたいものです。

うむ。水無月・Rさんに同意。私も同じ本なのになぁ…と思っちゃったよ^^;
楽しくって、最後はラッパの音が響いてジーンと沁みる物語、という感想だった。で、確かに死を扱ったお話なんだけど、自分が持つ”死”に対する思いとか考えなかったなぁ…。同じ作品でも、どっちに思考が広がるかでこんなに違った感想も持てるもんなんだなと、今更ながら思ったよ。そして、私が持つ死に対する思いは…と改めて考えてみたりした。
こうやっていろんな方の感想を読んで、作品に対する思いがまたそこで増えていく。今年も、沢山の人の思いに触れていきたいと改めて感じたのでした。

改めて、今年も沢山の刺激を宜しく☆

すずなちゃん、ども。
うーん。ほんとに、ちょうどいいタイミングで、死や自死のことを考えていたものだから。それだけだよー。だって、私のお仕事ですもの。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。すずなちゃんや皆さんのブログから、読みたい本が増えていくの。
私は読書が遅いから、追いつくのは難しいけど、読書って楽しいなって刺激をいっぱい受けています。

最後の短編は、ほろほろ泣いてしまいました。同じラッパの曲なのに、『しゅららぼん』とは全然印象が違うの。
それにしても、読み直してみると、妹尾の恋人はともかく、笹島の元恋人はなんなんだ。ぷんすか。

こんにちわ。いそいそお邪魔させていただきました^^;
香桑さんの感想は、いつも凛としていて気持ちがいいなーと、なんか今日、しみじみ感じたりしています。

感情移入に押しつけがましさがないところがとても読み易かったです。
葬儀屋さんという第三者から死を捉えてるから、メロ的要素も薄く、ドライでありながら、それが全く不自然ではなく、むしろ美質として描けていたのかもしれないですねぇ。

susuさん、こんにちは。揃ってお褒めいただいて、なんだか恐縮のいたりでございます。もごもご。
ありがとうございます!

妹尾の恋人だったり、木崎の友人だったり、笹島の元恋人だったり、3人のうちの誰かが当事者として関わりながらも、仕事という縛りがかかる上に、残りのメンバーがプロだからよかったんだと思います。
ところどころのコミカルさも、ウェット感をきれいに吹き飛ばしてくれましたねぇ。絶妙のバランスだと思いました。

こんにちは^^
本当に香桑さんの本の感想はしっかりと書かれていて、凛としているというのに激しく同意です。私もそんなふうに書けるようになりたいです。
と、皆様に便乗して書いてみました^^でも、思っていることは本当ですよ。

「死」と関わっているお話でしたけど、誰かが思い悩んでいても誰かが助けてくれるあの関係性が良いなと思いました。

苗坊さんまでーっ!
時間差攻撃にすっかりやられてしまいました。笑
お褒めいただき、ありがとうございます。

この本は、自分自身が結婚しそこねてすぐの時期に読んだこともあり、なんとも印象深いです。笹島が他人事に思えなかったのですよね。
苗坊さんのおっしゃるとおり、思い悩んでいるときでも助けてくれる人は周りにいるわけで。
いつまでも思い悩んでばかりいられなかったと、今だからこそ、思い返すことができました。

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す・・すみません、多分全編にわたって、人格崩壊バージョンだと思います。 ・・・て言うのもさぁ! この『セレモニー黒真珠』に出てくる、眼鏡男子・木崎がもう~、水無月・Rの萌え心を刺激しまくりで、愛情もって語らねばっ!という気合いがあふれてきちゃうんですよねぇ・・・。 ああ、いい年して何やってるんだろう私(笑)。... [続きを読む]

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うわー、面白かった! [続きを読む]

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