バルサの食卓
上橋菜穂子・チーム北海道 2009 新潮文庫
レシピ集、兼、料理エッセイ。
「守り人」シリーズを全部読んではいないが、長く積んでいた山から、薄そうな本を引き抜いたらこれだった。
お料理にはカラーで写真と、簡潔にレシピが書かれている。
自分で作るのはちょっとハードルが高いのだけれども、どれもこれも美味しそう。
架空の世界の物語が、姿かたちだけでなく、味とにおいと温度を伴って眼前に現れる。
これって、もう、魔法じゃないかい?
それぞれのお料理が出てくるシーンが引用されており、再び、物語世界そのものを味わいたくもなった。
「獣の奏者」はまったくの未読であるが、「守り人」シリーズや「狐笛のかなた」の登場人物たちが懐かしい。
上橋作品の登場人物たちは、ちゃんと傷つくし、疲れるし、老いる。なくしたエネルギーを補充するのが、ご飯だ。
体を温め、心を落ち着かせる。美味しいご飯の数々に、過酷な運命に翻弄される登場人物たちは慰められ、力づけられ、励まされてきた。
また、料理ごとに書かれた著者のエッセイが面白いのだ。
料理に限ることなく、著者のエッセイをもっと読んでみたいな、と思ったぐらい、フィールドワークでいろんなことを見聞きされており、興味深かった。
自分のイメージしていたものと違っていたものもあるかもしれない。
その違いもまた面白いんじゃないだろうか。
違っていたとしても、やっぱり美味しそうであるし、再現できるものなら味わってみたいと思うのが人情だと思う。
レシピがわからないなら推測で補いながら、材料が手に入らないならそれっぽいのを集めながら、料理本ではない本を片手に料理するのも一興。
そんな遊びをシェアしてくれる仲間に恵まれたら、ぜひ挑戦したい。
« 古代ポンペイの日常生活 | トップページ | 愛がなくても喰ってゆけます。 »
「**趣味の食育・料理**」カテゴリの記事
- トラネコボンボンのお料理絵本:旅するレストラン(2020.11.19)
- 世界一美味しい煮卵の作り方:家メシ食堂ひとりぶん100レシピ(2019.04.05)
- 常備菜(2019.03.29)
- つくおき:週末まとめて作り置きレシピ(2019.03.29)
- ラクうまごはんのコツ(2019.03.29)
「# ここでないどこかで」カテゴリの記事
- フェオファーン聖譚曲(オラトリオ)op.3 鮮紅の階(2020.12.30)
- 世界 魔法道具の大図鑑(2020.06.19)
- 異世界居酒屋「のぶ」6杯目(2020.04.14)
- 白銀の墟 玄の月 第1巻・第2巻(2019.10.15)
- フェオファーン聖譚曲(オラトリオ) op.1 黄金国の黄昏(2019.07.08)
コメント