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2011.08.10

災害の心理:隣に待ち構えている災害とあなたはどう付き合うか

災害の心理―隣に待ち構えている災害とあなたはどう付き合うか  清水將之 2006 創元社

5年前の出版である。
ということは、2011年3月11日の東日本大震災を踏まえたものではない。
著者の体験した主たる災害は阪神・淡路大震災である。阪神・淡路から11年が経ち、中越地震やアチェの津波を経た上で、記されたものである。
このような経験がこれだけ記録されておきながら、警句を放たれておきながら、どれだけ活かされているのだろうか。
勉強は平時に積んでおきべきことであると、自戒を込めて思う。
しかし、遅すぎることはない。災害のその後については、今から役立つ情報も多かった。

何をどう災害として捉えるか。
災害によって、どのような心の傷を生じたか。
そして、ボランティアを含めて、どのように支援できるか。
この3つが本書の柱になっていると思われる。
全体を俯瞰する良書であった。

第一の何をもって災害とするかについては、地震のみならず、災害、児童虐待、犯罪など、多岐にあげて共通項を浮かび上がらせている。
そのため、震災後の心理についてのみ興味がある人にとっては散漫に感じるかもしれないが、これらは逆説的に、第二点目の「その後の心の傷」のありようが共通しているところから挙げられていることに注目すべきだ。
「戦闘要員のために企画・作成されてきたPTSDは、非戦闘市民にも適用しなければならぬよう、誰かが歴史をねじ曲げてきました」(p.43)という記述は、日頃から疑問に思ってきただけにひきつけられた。
PTSDはベトナム戦争帰還兵に対する国家補償という政事的な意図からDSMに加えられた経緯があり、当のベトナムの人々は置き去りにされている感がしていた。だから、私はベトナムに、ついでカンボジアに行ってみたのだから。

「時間が経つにつれて大変な出来事を忘却に追いやったり、記憶を加工してしまったりすることがあります。重要なことを忘れる場合もあります」(p.106)と、当時から記録をとることを重視したところが、さすがに精神科医であると思う。
神戸や中越の事例から、震災直後は医学的治療を必要とする児童が減少し、一年以上経ってから様々な訴えを示すことは参考になる。臨床家や教育者は心しておかねばならない。
長期支援についてはまさに今考えていくことであろうし、ボランティアが「困ったお客様」にならないようにすることは文化として成熟していくために知っておきたい。

いくつも付箋を貼りながら読んでいったが、最後に、どうしても気になった箇所を引用しておきたい。
当事者ではないがメディアで情報には触れる者が、そのメディアの情報に対して批判的であるために知っておきたい現状である。
これは、今回もまた繰り返されてしまっているところが残念でならないことであり、だから、こういう物語を喜んでもらいたくないという、私からの願いを込めての引用である。

マスコミがお涙頂戴物語を探し回るために苦労させられたのは、メンタルヘルス・ケアの対極であった。無断で実名報道されて新聞から新たなトラウマをプレゼントされたり、テレビ報道の餌食となった被災児・者も沢山あった。(p.102)

風評被害が次々と批判されている時代です。この報道は本当だろうかと再点検する習慣を、市民は身につける必要があります。(p.181)

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