2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

著者名索引

香桑の近況

  • 2017.1.4
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計323冊
無料ブログはココログ

« 魔法の誓約(上・下):最後の魔法使者2 | トップページ | 好き、だった。:はじめての失恋、七つの話 »

2011.01.02

愛という病

愛という病 (新潮文庫)  中村うさぎ 2010 新潮文庫

週刊誌に連載されたエッセイを集めたもの。
2006年から2010年にかけて書かれたものだ。
したがって、私がこれまで読んできた本の中と重複する文章も散見する。
『「イタイ女」の作られ方』を読んだ人には、あわせて読む必要はないかもしれない。もともとの論の原型を読むことはできる。

しかし、メディアに対する批判はこの本がこれまでに増して厳しく痛快である。
名付けて「オヤジ原理」。「『欲望に負けた男より、男を欲情させるような服装やしぐさを見せた女のほうが悪い』という男性特有の屁理屈」(p.174)のことである。
不倫騒動でも女性が被害者の事件の報道でも、「欲望に負けた自分を正当化するために、女を悪者にして逆ギレする『オヤジ原理』」(p.174)が働いていると看破する。
あるよねー。こういう報道。
セカンド・レイプを起こすのも、こういう思考が内在化されている人だろう。
オヤジ原理は男性がすべて有しているわけではないし、女性が内在化していることもあることを、うさぎさんは自らの内側にもゼロではないことを認めつつ、描き出す。

男女の非対称を、二元論的に語っているかと思えば、時々まぜっかえすから思い白い。
その辺りが著者自身の姥皮であろう。自らは「オカマ女」と称したりもする。
どっちつかずであることは、どちらにも与しうるということであり、どちらにも紛れ込むことが難しいということである。
その女性らしい女性に、母性をためらわずに引き受けるような女性になりきれなかったひっかかりが、著者を突き動かしているように見える。
愛し、愛される自分でならなければならない限りは、母性を引き受けて恋愛の舞台から降りることは難しい。
産まない性を選んだ先達の思索は、私にとっては参考になる。似たようなことで悩む日もあるからだ。

「言葉のDV男」や「似非セラピスト」の「どちらのタイプも、女を壊すだけ壊しといて、手に負えなくなると放り出す」「自分はマトモだと思ってるから、反省もなく同じことを繰り返す」(p.86)とあるが、そういう男がいたなぁ、と遠い目になった。
異性に嫌われる(=暴力をふるわれる)ことが怖くて、過度に迎合的になりうることは、なかなかわかってもらえないことだ。
ナウシカ・ファンタジーは私にも多少はあったし、異性関係にぎこちない若い人にはしばしば見られる気がする。
「子を産む性」としての義務を果たさなかった事に「罪悪感」や「不全感」を抱いていたときもあった。
うさぎさんの取り上げるトピックは、いちいち、我が身に引き寄せて嘆息をついたり、苦笑したりしたくなる。

私自身は、随分ともがくことからは楽になった気がしている。そのプロセスにおいて、うさぎさんの著書からもヒントをもらった。
なぜ、女性は「愛し愛される事」に固執するのか? その固執が幸せを阻んではいないだろうか。
その問いの先にうさぎさんが見つける答えを、私はまだ待っていたいと思う。

そういえば、うさぎさんがよしながふみさんのマンガ『大奥』の感想を書いていた。
吉宗編は口当たりのいい、いわばツカミ。家光や綱吉の2人が骨頂だと思われる。
家宣も魅力的な人物であったが、私は綱吉が一押しである。
再生産を強いられる存在であること、女性であることの一致と不一致。
うさぎさんが読んだら、どんな感想を語ってくれるのだろう。

読み終えたのは大晦日だったが、うさぎさんだから卯年最初のレビューに丁度いいだろう。

« 魔法の誓約(上・下):最後の魔法使者2 | トップページ | 好き、だった。:はじめての失恋、七つの話 »

**女であること**」カテゴリの記事

エッセイ/ルポ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/183237/38313208

この記事へのトラックバック一覧です: 愛という病:

« 魔法の誓約(上・下):最後の魔法使者2 | トップページ | 好き、だった。:はじめての失恋、七つの話 »

Here is something you can do.

  • ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン
    子どもとともに途上国の地域開発を進める国際NGO

最近のトラックバック