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2010.10.13

考えない練習

考えない練習  小池龍之介 2010 小学館

読み終えて一週間以上経ったが、まだ考えている。
この本の感想、どう書いたものか。
こうやって考えること自体が思考のノイズだと著者には批判されそうだが、しかし、私にとっては考えることもまた味わうことであり、手離しがたいものである。

「感じる」と「思う」と「考える」の使い分けが難しい時がある。
英語では日本語よりも使い分けがなされているように思うのだが、そのニュアンスを翻訳する時に困る。
外界の刺激からなにものかを感じる。想念が思い浮かぶ。情緒が揺れ動く。そして、思考する。
この本で遣われている「考える」と、私の「考える」はどうやら違うらしい。そこに思い至るまで、馴染みづらさを感じた。

内省と内観の文化の違いがあるんじゃないか、などと、考えてみる。
内省というのはreflectionだ。反省的思考ならreflective thinking。
これは自分自身を鏡に映すかのように振り返る思考のことであり、刺激に対して反射的に思考する意味ではない。
私にとって「思考する」というのは、自律的な、能動的な、積極的な営為である。
だが、この本で扱われている、タイトルの「考えない練習」にある「考える」は、それが勝手に思い浮かばれるもののような、私なら想念や思念といった言葉をあてそうな、思考の材料になるような考えに過ぎない。
つまり、この本はおおむね、セルフ・モニタリングの勧めであり、一種のCBT(認知行動療法)である。

勝間和代と対極にありそうで、似たような匂いを感じるのは、なぜだろう。
例や説明を読みながら、あれもこれも、そんなにネガティブに解釈しなくてもよかろうに……と思ったりもした。この人は、皮肉屋さんなんだろうか。
ならば、著者は、どういった人を念頭に置きながら書いたのだろうか。
おそらく、不安に駆られやすい人、被害的に物事を受け止めやすい人や他責的になりやすい人、まだ「自分は自分」という安定感を育てきってはいない人になるだろうか。想像するなら、20代から30代前半のヤングアダルト層だろうか。
気になるところ、苦手なことに関わる方法を試してみるのはいいのではないかと思う。
「食べる」項目は過食嘔吐の人に役立つかもしれないし、「捨てる」ところは強迫傾向の高い人に参考になる気がする。
なにかに依存しやすい人にとっては、自分と対象、自分と自分自身の間に「間」を設けるこのような技術は有益だろう。

でも、全部を自分だけで試そうとすると、しんどいんじゃないかな。
徹底したい人、あるいは著者が述べている自分が変わっていくような体験を望む人は、専門家の門を叩くことを勧めたい。
というのも、自分の試していることが適切であるかどうか、自分で判断することは難しいからである。最初は他者がモデルになるし、他者のモニターがあるほうが行動の修正がしやすいからだ。
自分自身と対峙する時間は、それがつらく感じる可能性を孕む。ゆえに、見守る他者がいるという安心感、刺激が統制された環境の持つ安心感がある中で、挑戦するほうが望ましいと思うからである。

個人的には巻末の対談は面白かった。
どうやら、私は科学の言葉のほうが馴染み深いことがわかった。ほっとした。
多分、著者も実際に会って話すのと、本を読むのでは、印象が違うんだろうな。

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