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2010.09.05

エンド・ゲーム:常野物語

エンド・ゲーム 常野物語 (集英社文庫)  恩田 陸 2009 集英社文庫

シリーズ3冊目が文庫化されたと喜び勇んで買ったが、いくつかの書評を読むうちに、どうやら期待するものとは違うかもしれないと思った。
タイトルもなんだか不穏な響きを持ち、表紙はどこか不吉な色合いを帯びる。
後回しにしながらも、気になってはぱらぱらとめくり、めくり、しているうちに、ようやく最初からきちんと読もうという気になった。

「裏返す」力を持つ家族が主人公となった長編だ。拝島時子と、その母である瑛子の物語が、交互に語られ、一本になっていく。
ここでは、「裏返す」「包む」「洗濯する」というのが、キーワードになっている。通常の意味合いとは少し違う、特別な行為を示す。
本書は単独でも読めるが、一風変わった力のことを知りたければ、「光の帝国」と「蒲公英草紙」を読むとよい。

常野一族の中で、常に戦ってきた家系。
拝島家の短編は、「光の帝国」の中でも異色で、一つだけ浮いているような感じがした。
だから、その拝島家についての長編であるこの本も、これまでのシリーズと一線を画していても当然なのかもしれない。

裏返されて、裏返された、なにが表だったのか。
正直なところ、よくわからなくなった。結局、何が起きたのか。
これまでの経緯ではなく、あの大きな建築物から出たときに、裏返されたのは誰なのか。
裏返されたとすら微塵も思っていない人物は、本当に無事であったのだろうか。
あの柱の中の、ほかの人々はどうなったのだろうか。輪回しをしながら駆け抜けていった少年は。
ここから先、どんなことが起こるのか。

最後にざらりとした感触が残る。
ざわりと、胸底でなにかが身じろぎするような。
暗い時代の予感が今こそ現実になる。

終わりの始まりの雨が降る。

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