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2010.08.27

ストーリー・セラー

ストーリー・セラー  有川 浩 2010 新潮社

覚悟をしてからではないと、この表紙を開いてはいけない。
白地に青いリボンがかけられた、物語を売る人からのとっておきの贈り物だから。
特別な人に贈る、物語だから。

同名の雑誌に掲載された小説が、Side A。(雑誌掲載時の感想はコチラ
それに対を成すSide Bをあわせて、完全版として出版された。
Side Aについては、雑誌掲載時に号泣した。泣いて泣いて、読み直しても泣いた。単行本になって、もう一度読んで、やっぱり泣いた。
泣くのがわかっているから、一気には読まなかったけれども、泣くのは変わらなかった。
途中までは大丈夫だったんだけど、あの手紙を読んだらなぁ。
夫婦の情愛の濃やかさに、しんみりと心を動かされる。

そして、Side Bもやっぱり泣いた。
ただ単に立場をひっくり返しただけではない。
同じモチーフの、しかし、まったく別の物語だ。
対になった二つの物語は、どちらも対の物語だ。
けれども、どんなに強い対でさえ、永遠ではない。
わかっていても断ちがたい、強い強い憧れを見る。
いつまでも、二人で一緒にいたいという、ささやか願い。
それは途方もない願いになる。

Side Bを読んでいて、思いだした小説家がいる。
作家と、すい臓がん。ただそれだけの組み合わせが珍しいかどうかわからない。
親族のがん闘病の記憶と共に、『ガン病棟のピーターラビット』を思い出したのだ。
私の勝手な連想であるが、栗本薫/中島梓さんへのオマージュを感じた。
いまだ、『転移』は読めずにいる。

これまで著者の後書きやインタビュー、ブログなどを読んできたファンなら、これらの物語に描かれている夫婦は、作者本人の夫婦と容易に重なりあうだろう。
夫婦という対に憧れを持つ私には、ちょっと痛いときもある。パートナーとは仲良くしておこう……。
それでもなお、このような夫婦像は親密で素敵で、高らかに誇る姿勢がよいと思う。

まるで、作者から夫に宛てたラブレターだ。
同時に、読者にとってはミステリになる。
幾重にも仕掛けられた罠に、読み手は問わずにいられない。
「どこまで本当なんですか?」

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小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

読むのに覚悟がいったよねぇ^^;それも、今までの有川作品とは違った覚悟が。再読なのに感情を揺さぶられまくりで、しっかり泣かされました。
私も栗本さんに思いを馳せてしまいました。。。

すずなちゃん、ども。
SideAを既読だと覚悟がいりますよね。
泣かされるのを覚悟して、心の準備をしても、やっぱり泣いちゃいました。
そして、やっぱり、どう読んでものろけ話?と思わずにいられなかったという。
これぐらい堂々とだんなさんへの愛を語れたら素晴らしいと思う。

がんって病気は嫌い。

TBありがとうございました。
こちらからもお返しいたします。

雑誌で読んだ時もそうだったけど、いろいろ考えさせられるお話でした。
いろんな人の顔が思い浮かんだものですよ。

もし有川さんに会うことがあったとして、その時にこの物語のことだけは、僕はたぶん聞くことが出来ないと思いました。

白い怪鳥さん、こんばんは。
いろんな意味で、有川さんのプライドを感じる作品だった気がします。
それは作家としての矜持であると同時に、だんなさんを誇る気持ちであるような気がします。
生活の中で情緒面がしっかり安定していることが、有川作品の健康度のような気がするのです。
だからこそ、こんな展開を想像して、筆で描く強さをもっていらっしゃる。そこから目をそむけるのではなく。

末永く逆夢を起こし続けてもらいたいものです。

香桑さん、こんばんは(^^)。
覚悟してたのに、涙も鼻水も全開で、タオルをべしゃべしゃにして読んでました。
有川さんの作品を読み続けられることの喜びをかみしめた作品でした。
有川さんご夫妻の仲睦まじさ、それが作品に反映されることに、こっちが照れてしまうぐらいでしたネ♪

水無月・Rさん、こんばんは☆
これはもう泣かずに読めなかったです。泣く作品ランキングを作るなら、これか「植物図鑑」かって感じです。
有川さんのブログを読んでいると創作だということは瞭然なのですが、そこはだまされて、のっかっておくのが粋ですよね。

こんにちは^^お久しぶりです。
読みました~
本当に、最後の言葉がずっと心に残っています。
どこまでが本当なのか、気になってしょうがありません。
泣かずには読めなかったですね。
旦那様が病気と闘っている姿、奥さんが旦那さんの病気を覆そうと戦っている姿。
どちらもお互いのことを思っていて、深い深い愛情を感じました。
全てが有川夫妻の事ではないと思いますが、ご本人達も、素敵な夫婦なんでしょうねぇ。

苗坊さん、こんばんは。お返事遅くなりました。
こんなに素敵な夫婦の姿を見せつけられちゃうと、てれてしまいますよね。(^^;;
物語は物語として楽しみつつも、そこから透けて見える姿に、のろけを感じてしまいました。
でも、親密な関係であればあるこそ、いつか失うことが怖くなるわけで。
おとぎ話のHappy Endのその先を描いたところが、有川さんの着想の見事さですよね。

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