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2010.06.21

道徳という名の少年

道徳という名の少年  桜庭一樹 2010 角川書店

豪華であやうい。
野田仁美による装画や挿画に惹かれて手に取る人もいるだろうが、私は桜庭の小説だからこそ手に取った。
ちょっと皮肉な文章を書く、この小説家が、タイトルに道徳とつけるなんて。
どんな風に裏切ってくれるのか、楽しみになる。

およそ6世代になるか。
町で一番の美女から始まる不道徳の歴史だ。
ある者は娼婦になり、ある者は姉弟で愛し合い、ある者は夫の父親と愛し合い、ある者は人と愛し合うことができず、ある者は愛に出会う前に死ぬ。
世代を重ねるごとに、愛する者との距離が疎遠になっていく。
愛する営みすらできないほどに疎遠になると、その一族は滅びるほかない。
不思議なことに、彼らの一族は人目を引くほど美しいが、どうやら愛し愛されると醜くなる定めらしい。

美しくて残酷。
そんな御伽噺の形式美を踏襲している。グロテスクで、ブラックで。
耽美的になりそうでいて、むしろどこかユーモラスに感じてしまうのは、登場人物たちのネーミングであったり、その醜さの描写であったり、緊張をどこかで緩める装置があるからだ。
少女達のエロティックなイラストによる過剰な演出でさえ、かえってユーモラスに思えてくる。
独特の雰囲気を作り上げることに成功しており、是非ともにんまりと黒い笑いを浮かべながら読んでもらいたい。

20世紀の初頭から現代にかけての、フランスあたりを思い浮かべながら読んだが、しかと文章に時代と地域の設定がなされているわけではない。
御伽噺のように、昔話のように、想像に任せて読めばいい。

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コメント

こちらにも^^
ありがとうございました。
大人の御伽噺を読んでいるようでした。
官能的で、濃厚な。
短い作品だったのに、とても心に残っています。
面白かったです^^

こんばんは☆
文章量は短いのに、一つの世界がある感じで、独特でした。
6世代じゃなくて、5世代になるのかな。
一気に時間が流れていく感じにも驚きました。

薄い本ながら桜庭ワールド満載の作品でした。まさに堪能したな~という感じ。
「美しくて残酷」まさにそんなお話だった。それでいて、どこかしらユーモラスを感じさせる。ホント、緩急のほどよく効いた作品だったね。

すずなちゃん、ども。
ワールド堪能の一冊でしたねー。
これも、桜庭ファンじゃない人には好き嫌いが分かれるだろうなぁ。
桜庭ワールドには毒があるもの。その毒を笑える人じゃないと。

香桑さん、こんばんは(^^)。
>世代を重ねるごとに、愛する者との距離が疎遠になっていく。
・・・確かにそうですね!
そこに悲しさを見るか、現代の人間関係の希薄さとそのラクさを見るか・・・というのは意見が分かれる部分だと思います。
いずれにしろ、失われゆく〈美しいもの〉に、読者それぞれに投影するものがありそうですね。

水無月・Rさん、こんばんは♪
水無月・Rさんの記事を読んで、「愛し愛されると醜くなる」理由に思い至った気がします。
思い返すと、結婚(愛する人との身体的な接触)が主人公を現実に向かい合わせる契機として作用していました。
言いかえれば、<「結婚する=現実に戻る」→醜くなる>という構図です。
もしかしたら、子どもという一人の世界では美しいファンタジーを観ていただけで、最初から醜かったのかもしれません。
大人になって、人と対になって、一人だけではいられなくなって、他者の目線を気にするようになって初めて、自分の醜さに人は気づいていくのですから。

今、くるくると連想が働いていて、面白いです。
いい刺激をいただきました!

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