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2010.06.18

ダーティ・ワーク

ダーティ・ワーク (集英社文庫) (集英社文庫 い 66-1)  絲山明子 2010 集英社文庫

「誰しも、かけられたい言葉を音楽に求めるときがある。」(p.36)

あっさりと見抜かれてしまう一文にしびれる。
切れ味が鮮やかで、悔しいぐらいに、すとんと腑に落ちる。
絲山さんの小説のそんなところが、忘れられない一冊になっていく。

『ダーティ・ワーク』は、7つの短編が収められている。
それぞれがストーンズのタイトルにインスパイアされているそうだが、私にはよくわからない。
ただ、そういう短編集なのだろうと思って読んだ。
読んでいたら、ひっくり返った。
構成が巧妙なんである。

これは、多少のネタバレになる。
最初の3つは、別々の人物が独立して語られている。
それぞれ、口調も色調も違う、3人の人物。
共通しているのは、パートナーシップというテーマだろうか。
ほかに共通項が見つけられずにいたところ、4つめの短編でひっくり返った。
まさか、登場人物に相互に関係があるとは。
別々に用意されていた縦糸に、俄然、横糸が絡みつき、一枚の模様を織り上げていく。

これってあの人?
あれがこの人だよね?
一つ読んでは、ページを戻して、前の短編の中に名前を探してみる。
ああ、ここがこう繋がるんだ。ほえー。
そういう作業を何度も繰り返したくなった。
どこがどう繋がってくるのか、後半になるほど楽しみになる。
映画『マグノリア』を思い出した。単なる短編集ではなく、そんな群像劇になっている。

そういう構成の妙もあるが、描かれている人物達の情緒や、物語そのものが魅力的だ。
彼らは、みんな一人だ。自分が一人であることをよくわかっている。
心で思う人がいたとしても結ばれえず、落ち着いた生活とやらに落ち着くこともできない。
誰かに関わりたい寂しさや愛しさと、誰かと関わってしまうことへの不安感やためらい。
一歩を踏み出す勇気が出ない、その片思いのような物思いを、登場人物たちは抱えている。

絲山作品は読み終えたあとに、余韻が長く響く。『海の仙人』がそうだった。
『ダーティ・ワーク』の余韻も、静かに落ち着いた、美しいものだ。
目を閉じて、余韻をゆっくりと味わいたい。とても素敵な小説だった。

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