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2010.05.11

旅する前の「世界遺産」

旅する前の「世界遺産」 (文春新書)  佐滝剛弘 2006 文春新書

旅行の予定を立ててから、行き先に関わる本を集める。
この著者の言葉を借りれば「予習の美学」は、私の行動パターンにもある。
もっとも、予習にならずに復習になることも多いのだが。

著者はNHKで世界遺産の番組制作に関わっていたのだそうだ。
もともと旅行が好きだった人が、いつの間にか世界遺産を訪ね歩くのがライフワークになったという。
一人の人が数多くの世界遺産を尋ねた体験をもとにして、横断的な視線で世界遺産なるものについて語るところが興味深い。
文章も平易で読みやすく、押し付けがましさもない。情報としては紙面が限られているとしても、著者の驚きや喜びが伝わり、あっちもこっちも行ってみたくなった。

ひとつひとつの世界遺産の写真集や解説集と違って各論の集積ではなく、また、国境線で区切られたガイドブックとも違う。
世界遺産の背景にある文化や歴史を見直す視点を含みつつ、世界遺産は多重に多元に見直されていく。
著者の視線は、多様な文化、遠隔の文化に見られる思いがけない類似性や共通性を見出している。
たとえば、その国にたった一つしかない世界遺産という観点。あるいは、かつての殖民地であったという理解や、オスマントルコという土壌。そして、戦争や内乱の爪跡からいかに守るべきか。

また、世界遺産を礼賛するのではなく、暫定リストまでを視野に入れて、世界遺産を選んだり、有りがたがる文化まで俯瞰する。
と同時に、海外旅行時のノウハウもいくらか紹介されている。その中に「予習の美学」という言葉が出てきたのだが、それよりも印象深かったのは「旅をするなら、今」という見出しである。
現在は、ある程度までは、日本の経済的状況、多くの国の治安や観光客を受け入れる態勢が、かろうじて整っているからだ。
著者も書いているが、10年後にどうなっているか、まったくわからない。

2009年7月現在で890件。世界遺産のすべてを、一人の人間が一生の間に全制覇するのは難しそうだ。
この世界遺産ブームも国によって温度差があるのは予想がつくが、著者は日本での盛り上がりを「お墨付き・目標達成型」の旅の系譜に位置づけており、なるほどと思った。こういう旅文化論としても、この本は面白かったのだ。
確かに、日本人はマニュアル好きとも言われるが、お墨付きであることを有りがたがる文化だよなぁ。
お遍路さんや東海道五十三次など、「与えられた有限の目標を一つずつ訪れて、目標達成をなしとげる」(p.36)旅は、伝統と言っても差支えがない気がする。
そうか。昔からフルコンプが好きな人がいたわけか。強迫傾向が高い民族性と言われたら、そのとおりって感じ。
私も嫌いじゃない。多分、何かを揃える、成し遂げるのは好き。でも、達成する前に飽きちゃったり、無理~って投げ出すほうなんだよ……。だって、お財布が許してくれないもん。
しかも、890件の名前を記憶するだけでも無理無理無理……と、ひいちゃうのに十分な数があることにも驚いた。

ふと気付くと、世界遺産を避けて海外旅行に行くのは難しい事態になっている。
国内旅行ではそうでもないが、海外で有名な観光地に行こうとすると、当然のように結果として世界遺産も訪れたことになりがちらだ。
この本を読んでから、世界遺産認定前後を関わらず、自分が行ったことのある場所がいくつあるのか、数えてみた。
嬉しがって下記に挙げてみたわけであるが、行ったことのある国でも世界遺産をはずしていたり、世界遺産がそもそもなかったり、という、各国の事情のようなものを改めて感じることもできた。
( )の中は自分が行った時期である。アメリカのLiberty Bellは近くは通ったはずなんだけど、お土産に小さなレプリカのベルも持っていたんだけど、見たのかなぁ?という具合に古い記憶はかなり曖昧。この調子だと、ここから先も、たとえ世界遺産に行ったとしても、行った人が私じゃありがたみが薄れそうとも痛感。
でれきば、一つ一つの場所を、空間を、世界を、世界遺産だろうとなかろうと、じっくりと味わって、自分の糧にするような旅をしたいものである。

アメリカ:エヴァグレーズ国立公園(1983)
アメリカ:自由の女神像(1983, 1992)
アメリカ:シャーロットヴィルのモンティセロとヴァージニア大学(1992)
イギリス:ストーンヘンジ、エーヴベリーと関連する遺跡群(1990,1992)
イギリス:ウェストミンスター宮殿、ウェストミンスター大寺院及び聖マーガレット教会(1990, 1992)
イギリス:ロンドン塔(1990, 1992)
インドネシア共和国:ボロブドゥル寺院遺跡群(1992)
インドネシア共和国:プランバナン寺院遺跡群(1992)
大韓民国:宗廟(2005, 2006)
大韓民国:昌徳宮(2005, 2006)
大韓民国:華城(2006)
ベトナム社会主義共和国:フエの建造物群(2006)
日本:法隆寺地域の仏教建造物(何回か)
日本:姫路城(ずっと前)
日本:古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)(それなりにしばしば)
日本:原爆ドーム(3回以上)
日本:厳島神社(3回以上)
日本:古都奈良の文化財(何回か)
日本:日光の社寺(かなり前)
日本:琉球王国のグスク及び関連遺産群(恐ろしく前)
日本:紀伊山地の霊場と参詣道(1994)

カンボジア王国:アンコール(2010予定)

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