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2010.03.20

片耳うさぎ

片耳うさぎ (光文社文庫)  大崎 梢 2009 光文社文庫

主人公は小学校6年生の奈都。
大人の世知辛い事情により、父親の実家に母親と二人で身を寄せている。
そこは昔ながらの大邸宅。もとは庄屋だった、地元の名士のお屋敷だ。
親戚はよそよそしく、ただでさえ馴染めなくてつらいのに、母親まで留守することになったところから、なっちゃんの苦悩の日々が始まる。
あんなにだだっ広くて、なんだか怖いお屋敷で、一人で夜をどうやって過ごすのか?

これもいろんな人のブログで見つけた本だと思う。
大崎さんはもういいかな?と思っていたけれど、小さな女の子が頑張る小説を読みたいと言っていた子を思い出し、勧める前に自分で読んでみた。

大崎さんのミステリは、書店を舞台にした成風堂シリーズでも、死人が出ないミステリだった。出てきたとしても、それは既に時効を過ぎたような大昔の死者である。
事件はある。でも、それは警察が犯人を逮捕してめでたしめでたし、になるような事件ではないのだ。
蔵波屋敷の中では、幾つかの時代で事件が繰り返されてきた。
江戸時代だろうか、昔々に1つ目。70数年前に2つ目。そして、今回も繰り返されるのか。
キーワードになるのが「片耳うさぎ」だ。

蔵が3つもあるような屋敷。跡継ぎ問題だって起きそうな家族構成。伝承を口伝えする老人。
古典的な道具仕立てをしておきながら、とことん現代の物語である。
一族で一番の権力者の雪子伯母さんには「最後のお姫さま」と銘打たれるし、ひそかに寝巻きはジャージだったり。
主人公と家族は携帯電話で連絡を取り合うし、学校給食はとても美味しそうだ。
謎解きそのものは、私でも途中からだいたい読めちゃうけれども、だからと言って興を殺がれるものではない。
謎という呪いをかけられて一族の、呪いが晴れた後の姿が微笑ましい。
孫娘と祖母世代の年配女性との交流には、梨木香歩の初期の作品群を連想した。

ところで、作中のわらべうたには、何か謎があったのだろうか?
恐怖感を盛り上げるための小道具に過ぎなかったのかな。
そこが絡んでこないのがちょっと残念でもあり、やっぱりとても現実的な気がする。
謎なんて、何もないのだ。あるのは、人の想い。それだけだ。

祖父の法事、祖母の法事と、この近年、祖父母の家に何度も通った。
子どもの頃は廊下を走り回り、居間を跳ね回り、何度や押入れに潜り込んでみたり、その古い家は探検し放題の場所だったイメージが残っている。
それほど大きな家ではない。しかし、子どもにとって古い家屋は不思議な場所だった。
今になると、シロアリ被害ですっかり傾いた居間、みしみしという廊下の上を走るのも跳ねるのも怖い。
荷物もあらかた処分され、ふと気づけば、記憶のなかよりも部屋数も少なく、ずっと狭くて、ボロ家になった。
昔々、その辺りがまだ松林だった頃、祖父が開墾して自分で建てたという家も、住む人がいなくなり、やがて取り壊されることになるだろう。
その家、祖父母らのいた頃の親戚の在り様、夏休みや冬休みの帰省のときの景色。郷愁に駆られた。

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コメント

香桑さん、こんばんは(^^)。
真夜中の屋根裏部屋探検なんてワクワクするシチュエーションだけど、不気味な言い伝えもあって、どういうまとめ方になるのか、ちょっと不安になったりもしましたが、ほっとする終わり方でよかったな~と思いました。
小さな女の子が頑張る話・・・というジャンルでは、とっても良いと思います♪

水無月・Rさん、こんばんは☆
夜中で屋根裏って、かなりの難易度ですよね。
埃が手足に着くぞー。ネズミやコウモリに気をつけろー。と、どきどきしました。(^^;;;
いやぁ、度胸のある女の子たちでした。

この本は私の知っているなっちゃんという女の子にあげようと思います。
なっちゃんのように強くなってほしいという気持ちを込めて。

こんにちは^^
大崎さんの作品、最近こういう本屋以外のミステリも増えてきましたよね。
この作品は、古風で心温まる可愛らしい作品だと思ったんですけども、微妙に筆者さんが手探りっぽいかも・・・と思わなくもない作品で^^;
ラストは良かったなって思うんですけど、過程で気になるところがちょっとありました。
私はここまで古い家屋で寝泊りした事はないですね。
私が子供の頃にそういうところへいったら、怖くて自分の部屋以外は行かないと思います^^;

もっとドロドロな内容かと思いきや、そこまではなくってちょっと肩透かし感も味わった作品でした。

お彼岸だからか、このレビューを読んでいたら、祖父母が健在だった頃のことを色々と思い出して、しんみりしちゃいました^^;もうすでに残っていない古い家屋や、優しかった祖母、比例するように気難しかった祖父・・・。


>苗坊さん
コメント、遅くなりました。すみません。
大崎さんの本はミステリだと思わずに読んだほうが、感想がプラス評価になるかも。
本屋さんシリーズからどう抜け出すか、作風を広げるのか、確かに手探りされていらっしゃる印象を、私も受けました。一緒ですね♪
こういうお宅で、一夜限りのお化け屋敷とか企画したら、本気で怖いだろうなぁ……。

>すずなちゃん
遅くなって、すみません。
子どもの頃の記憶に触れますよねー。
ドロドロにならないところが、大崎作品らしかったです。
今のご時世、「老婆のお告げ」は認知症扱いされるんだなぁと、世知辛くて切なくて印象的でした(^^;;;

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