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2010.02.24

三千世界の鴉を殺し(15)

三千世界の鴉を殺し (15) (新書館ウィングス文庫)  津守時生 2010 新書館ウィングス文庫

そろそろ続きは読めないんじゃないかとあきらめつつあった頃に見つけた新刊情報。
気付けば、前巻の感想を書いてないですね。私。ありゃ。

本編はあまり進んでいないが、その代わりにワルターとメリッサのその後を描いた中編が書き下ろされている。
外伝とあれば、がはは笑いできるものと決め込んで読んだら、思いがけず涙腺を刺激されてしまった。
近頃滅法、涙もろくなったみたいである。いや、もとから涙もろい自覚はあったが、傷つきから立ち直る人の涙にはつられやすいのよ~。あうあう。

このシリーズの隠れテーマは、親子関係の葛藤と超克。
ルシファードとその両親は、どこをとっても規格外だから置いておき。
以前もライラの父子葛藤があったし、ニコラルーンの持つものも父子葛藤に近い。先に読んだ「やさしい竜の殺し方」も親子関係の桎梏はしばしば出てきていた。
しかし、それは隠れテーマと言えるぐらいの登場人物の造詣の味付けであり、物語の主題としてがっつりと扱われてきたわけではない。

そこが、今回の「幸せはスミレの香り クマの形」は一味違った。
ワルターの母子葛藤とメリッサの父子葛藤が、夫婦関係という現在の関係(現在は元夫婦であるが……)に及ぼす影響という視点で描かれる。
子ども時代の傷つきは、とても大きな体験として、その人の人格形成に寄与する。
多くの過去を扱う心理療法では、子どもの頃に体験した交流が、その後もその人の人生の中で繰り返されるシナリオあるいはパターンを成していないか、振り返る。
自分の持っているシナリオに気付けば、それを書き換えていくこともできるかもしれない。
同じことを繰り返したいのか、それとも、違う結末を迎えたいのか。
選び、決め、行うのは、自分自身しかない。

自分で幸せになろうとすること。
人は容易に忘れるけれども、自分から不幸せにとどまろうとしている限り、幸せを感じることなど難しい。
自分が幸せになることを許すこと。
赦しとは神の奇跡であるかもしれないが、しかし、人もまた赦す力があるのではないか。
作者は「小説だからこそ描けるハッピー・エンド」と書いているが、それでもなお、ワルターやメリッサに、ルシファやマルっちに、救われる人がいてほしいと願う。

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