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2009.12.24

グイン・サーガ(130):見知らぬ明日

見知らぬ明日―グイン・サーガ〈130〉 (ハヤカワ文庫JA)  栗本 薫 2009 ハヤカワ文庫

サブタイトルからして切なくなるなぁ。
明日を見知ることは決してできない。
明日が今日になるからではなく、決してその明日は来ないから。
誰も未来を見知らぬまま、物語は途絶える。

学生時代に友達から10巻ぐらいまでは借りて読んだ。
海外の異世界ファンタジーで読書癖を育てたような私は、はまりそうでいて、はまらないままになってしまった。
そのうち、有名ではあるが、最初から集めるには気が引けるような巻数になっていた。

途中はすっ飛ばして、この130巻だけを読んでみたのであるが、どの登場人物も大人になって、それぞれの立場を得ていることが感慨深かった。
親戚の子どもと久しぶりに会ったような気分だ。成長の詳細は知らなくても、成長したことを見て取ることはできる。そこに時間の流れを感じる。

と、同時に、全体に濃厚な死の気配が満ち溢れているのを感じた。台詞の一つ一つに、
たとえば、p.25のリンダの台詞。それに答えるモースの台詞は象徴的だ。既に死者の世界に身をおいた人が現世を見るような、そういう隔たりを感じさせる台詞である。
リンダ、ヴァレリウス、マルコといった人物達は、これまでとはまったく違うものが押し寄せてくる予感におののいている。影が差す。黒い波に飲み込まれそうだ。
そして、p.139からの最後の3ページは、病という得体の知れないものに身体を襲われた著者の入院生活を彷彿とする。
作者の死を知って読むから感じるのかもしれないが、なんとも言えない切ない気分になった。

著者とは価値観が違うんだろうなぁ。実は今回もそう思った。
面白いんだけど、文章も読みやすいんだけど、なんとなくキャラクターにのめりこめない。
相性の悪さと言えばよいだろうか。感覚的なことであるが、なにかがフィットしない。非常に残念だけど。
それでもなお、この物語の楽しさは感じるし、それぞれ複雑な背景や内面を持った人物達の人間臭さに魅力を感じるのも頷く。
型にはまらない彼らが、これからどんな未曾有の事態に巻き込まれていくのか。これまでに撒かれた謎は、どういった仕掛けになっていたのか。
この世界に何度も遊んだ人たちにとって、この喪失はたまらないものがあるだろう。

歴史を記述する時、記述には始まりと終わりがあるが、歴史には始まりも終わりもない。
だから、この在り様こそが、もしかしたら「サーガ」と名乗ることにふさわしいのかもしれない。

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