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2009.09.09

レインツリーの国(文庫本)

レインツリーの国 (新潮文庫 あ 62-1) 有川 浩 2009 新潮文庫

単行本は発売されてすぐに飛びつくように読んだ。
その時のレビューを見返すと、かなりのダメージを受けていた模様。
うぅむ。すっかり忘れていた。
というわけで、文庫化されて読み直しをはかったが、自分の体験を忘れていただけに、今回のほうが純粋に物語を楽しめたような気がする。

一冊の本のレビューを通じて、ネットで知り合った二人。
文字情報だけで成り立つ互いの印象は、メールを交わすほどに好感度が高まる。
だが、文字だけではわからなかったこと、隠せていたことが、障害になる。

耳が聞こえない。その体験を、私がそっくり理解することは難しい。
知識として知っているだけでも、配慮の幅は広げられるかもしれない。
少しは想像することなら、できるかもしれない。
たとえば、聴覚障害があるだけで、ひとみや毬江が主人公になれないなんて、理不尽なことがあるってこと、想像することもなかった。
このあとがきは、図書館戦争のアニメ化の時点で情報を追いかけていた人なら知っていることだと思うが、今後、この作品と出会う人にも一緒に考えてもらいたいことだ。

差別と区別をわけることは難しい。特別を作らずにいることも難しい。
実際に現にあるものをないものとしてユートピアを描くのではなく、今あるものを乗り越えていく姿勢を示すからこそ、ラストがとてもすがすがしくて気持ちよい。

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