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2009.08.15

発達障害:境界に立つ若者たち

発達障害 境界に立つ若者たち (平凡社新書)  山下成司 2009 平凡社新書

障害を個性として丸ごと、受け止める。
そうできたら、どれだけよいことだろう。

専門書ではなく、解説書でもない。
今はもうなくなってしまった学校に通っていた生徒たちのインタビューで構成されている。
かつてはフリースクールと言われていた形態の無認可学校がある。学校であるとしても、無認可であるため、高卒などの資格としては認められなかった。
現在は、高校レベルの学校は多様化している。広域通信制とそのサポート校、単位制高校などなど。予備校で高卒認定試験の準備を提供することもあるし、ビデオなどを見ながら授業を受ける場合もある。
そういう制度と状況の変化の波に飲み込まれて消えてしまった学校の紹介が第一部。
第二部が生徒だった人たちの中から6人、生き生きとした様子が描き出されている。

LD(学習障害)、アスペルガー障害、軽度知的発達障害、ディスクレシア(難読症)など。
DSM-4の基準では、IQ70以下を精神遅滞と分類するが、それ以上ならall O.K. no problemかというと、そうではない。
精神医学的に問題があるかどうかではなく、こういった発達に関わる領域は、一人ひとりが困っているかどうか、その人自身が問題なく生活や人生をやっていけているかどうかが、問題なのだと思う。
IQは70以上であって、しかし困難を感じている人たちの問題を分類していくならば、境界知能などと表現したりもするけれども全般的に能力がやや低めであることだったり、発達障害、アスペルガー、ADHD、LD、療育の不十分による二次的な障害(虐待被害など)など、多様な状態像が立ち現れてくる。
障害の種類を知識として身につけることは大事ではあるが、この本では障害の名づけは横に置き、彼らが何を感じ、何を考え、どのように生きているのか、実際の様子が見えてくる。
一生懸命に生きているのに、どうしても不遇をかこつ現実が見えてくる。

誰が、どんな苦手を抱えているのか。
博物学的に分類して分類して、障害の名前は増えたけれども、個性として受け入れられる「普通」の幅が狭くなっているような気がしてならない。
アスペルガーの診断基準も読んでいて微妙な気分になるが、ADHDの不注意のあたりは全項目、自分にあてはまる自信があるもの。
そう思うと、障害と名づけはするが、それは何が苦手かを示しているだけに過ぎず、その人の特徴として、個性として受け止められるようになってほしい気持ちが強まる。
かといって、困っている人の困難は、どんなに頑張っても乗り越えようのないものとして厳然としてそこにあるからこそ、障害を障害として、困難を困難として、問題を問題として、認めないこともしてはならないと思うのだ。
そこで戦っている人と出会った時には、特に。

 ***

少なくなっていく子どもについて、かつてより手をかける余裕が生まれたことで、子ども自体はより手がかかるようになり、やがて手に負えなくなるに至った、という皮肉めいた現象が起きているように思えるのです。(p.48)

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