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2009.07.17

ガン病棟のピーターラビット

ガン病棟のピーターラビット (ポプラ文庫)  中島 梓 2008 ポプラ文庫

この本の著者は亡くなっている。
それが、不思議な感慨をもたらした。
読み進めるにつれて、著者が生と死を受け入れていく過程が見えてくる。
心が澄んで落ち着いていく過程が見えてくる。
切なくて、目を閉じた。

正直なところ、途中で読んでいて口がへの字になったところもあった。私は彼女のファンというわけではないから、何を聞かされても許されるというような広い心持ちにはなれないのだ。
見送った伯父のことや、その時に通った緩和ケア病棟の様子が思い浮かばれて、持てる者と持たざる者を違いを思うとき、「わがまま言うなー」と思ってしまった。
でも、その半面で、なるべくQOL(Quality of Life:生活=人生の質)を落とさずにいたいというのもわかる。それができるなら、そうしてほしい。
なぜなら、命には必ず限りがあるから。

と言っても、食や入院環境について、自論を書くときの著者は「わがままだけど」と必ず前置きしている。
だから、読まれてどう思われるかをわかっていて、それでもなるべく正直に、一人のがん患者の体験記を著わそうとしたのだと思う。
それに、伯母も死期が近づいてからは肌に触れるものすべてを刺激に感じて「ふわふわしたもの」に安らぎを求めようとしていた。伯母も伯父達も消化器系がんの術後は食べるものに本当に苦労した。
そんな私の知っている人たちの様子が思い出されて、そうだったそうだったと頷く面も多く、想像されるだけに著者の訴えを痛々しく感じた。

その上、最終章からあとがきまで読んでしまうと、著者に感じたささやかなわだかまりも消えうせた。
この人が、じたばたしたかもしれないけれど、心残りもあったかもしれないけれど、少しでも穏やかに豊かにその後の時間を過ごされたのだったらいいなぁ。
わからないけど、心からそう祈りたくなった。冥福と共に。

がんは私にはとても身近な病気だ。
だから、とても無視できない。
と、同時に改めて本を読むのは、ためらわれたりもした。
今も知り合いや親戚の誰ががんで闘病中であるか、家族が闘病中であるか、数えてみると一人ではない。
同じ範囲の中でこの一年以内に亡くなった人も、一人ではない。
いつか自分が罹患するパーセンテージも高いのだろう。私の家系なら、消化器系になるか、婦人科系になるか。

でも、私は見知っているから、まだいい。
切り取られた臓器を見せてもらい、転移に侵された臓器のMRI画像を見せてもらい、人が死にゆくまでの闘いを見せてもらっている。一度ならず。
怖いけど、いい。そうなることは怖いけど、見せてもらっているから、いい。私も同じ道をゆくかもしれないことを知っているから。
だけど、世の中には、現代社会は死を覆い隠しているという批判があったりして、死をどこか遠いもののように感じている人も確かに多いのだろう。
それならば、こんな手記も他人事のように読まれるかもしれないが、それでも死が自分の隣にある実はとても身近なものだと少しでも感じてもらえたらいいな。

死はその人が最後に行える教育である。人がよりよく生きるために。

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2009年5月に逝去された作家の死の原因となったガンの闘病記。小説は栗本薫名義で発表。 [続きを読む]

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