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2009.05.28

死にぞこないの青

死にぞこないの青 (幻冬舎文庫)  乙一 2001 幻冬社文庫

息ができなくなる。
思わず、手で胸を押さえた。そのまま服を握り締めながら、ページをめくるのももどかしく読み進んだ。
苦しい。息苦しい。息詰まる。一息つくことを許されない。
このままではどうなってしまうのか、最悪の結果にはなってほしくない、しかし、このまま続いては主人公が壊れてしまう。
息が止まるほどの緊迫感を感じた。多分、私の記憶のどこかが重なったからだろう。

小学校5年生の男の子。成績はよいが体育は苦手、少し人見知り傾向があるが友人関係を保つことはできる、ごく普通の男の子、マサオ。
5年生に進級して、担任が新任の男性教師になったところから、マサオの周囲が異質なものに転じていく。
教師が教室を把握するためにとった方法の卑劣さは、胸が悪くなる。それがまた、実際にどこかで行われていそうで、今もどこかにマサオと同じように言葉を奪われている子どもがいるであろうことに、胸が苦しくて苦しくてたまらなくなるのだ。

あとがきで作者が触れるとおり、言葉遣いは小学生らしからぬところがあるが、小学生が感じているであろうことを、大人にわかるように翻訳した小説だと受け止めてみる。読んでいて違和感はない。
アオを別人格として、解離性障害を援用して解説することはいささか蛇足の感もあった。が、そういう自分の中のネガティブな部分を自分の一部として受け容れていく作業は、成長に大いに必要なことである。主人公の成長物語としてはずせないのかもしれないが、読者が想像してそこにたどりつくのでもいいかな、と思ったり。

最後の最後にマサオが見せた結末。
担任を抜いて、マサオのほうが大人に近づくことができたことに、私はようやく方に入っていた緊張をゆるませ、息を大きく吐くことができた。
自分の怒りに気づき、認め、受け入れ、だけど、拳は振り上げるのではなく、収めどころを見つけることができたら、いい。
相手をそれなりに認めたり、許したり、哀れんだり、できたのなら十分ではないか。たとえ、愛するとまでは至らなくても。

なんで、人は犠牲を求めるのか。
犠牲の羊を求めてしまうのか。
犠牲となり、復活した奇跡の人は救世主となった。
犠牲を求める心は、救済を求める心と、実は紙一重である。

相変わらず見事なストーリーだった。これってホラーになるのかなぁ? よくわからないけれども。
緊張のあまり、とっても疲れちゃった……。ああ、無事でほんとによかった。

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