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2009.05.27

コミュニケーション不全症候群

中島 梓 1991 筑摩書房

この本に出会ったのは大学生の頃だ。図書館で借りたことを憶えている。

高校生ぐらいの頃から栗本薫の小説を読み始めていたが、結局、どれも途中で投げ出してしまった気がする。
『グイン・サーガ』も『魔界水滸伝』も、高校の頃は買っている友達から借りていたものであるが、大学に入るとそのネットワークが使えなくなったのも一因。
いつかまとめて読みあげたいと思ううちに巻数が増えすぎて、手も足も出なくなったり。
今も『グイン・サーガ』を読み続けているという友人が二人いるが、それだけで尊敬に値すると思える。

そんなわけで、著者の小説よりも、私にはこの本が一番印象に根強い。
オタク第一世代の発生について語っている本であり、同時代を知っている人が現に見て書いているところが希少のような気がする。
とはいえ、正直なところ、内容の詳細を憶えているわけではない。ただ、ここで取り上げられているコミュニケーション不全こそが、ひきこもりなど、現代的な問題を説明する大きなキーワードとして現在も生きているように思うのだ。
言い換えれば、出版から18年が経ち、今現在の解説として読むことは難しくなろうとも、現在の社会の抱えるものの現れ出る一過程として読むことで、今なお活きる評論ではないだろうか。

その後、コミュニケーション不全という言葉は、なんとなく一般化していったような気がする。
オタクは以前よりも市民権を得たのか、腐女子という概念も出現してすっかり定着してきた感がある。
ダイエットは極端な拒食や過食を含みつつ、摂食障害として低年齢化・高年齢化が同時に進み、男女比も男性がやや増えつつある。
いじめはネットを用いて多角的に展開するようになり、不登校も一時期よりは減ったとは言われるが教室で当たり前の光景となり、高校中退は増えている。
「モンスター」と冠されるペアレントやペーショントも一種のコミュニケーション不全かもしれないが、職場におけるコミュニケーション不全がモラールの低下やうつ病による休職をもたらすとも論じられる。
そして、増え続ける自殺者。

作家の慧眼、詩人の直観を感じる、忘れられない一冊である。
今の私を形作っている本の一冊であり、今の仕事に通じている本の一冊である。
心からの冥福をお祈り申し上げます。

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