2017年10月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

著者名索引

香桑の近況

  • 2017.1.4
    2016年 合計50冊
    2015年 合計32冊
    2014年 合計26冊
    2013年 合計32冊
    2012年 合計54冊
    2011年 合計63冊
    2010年 合計59冊
    2009年 合計71冊

    合計323冊
無料ブログはココログ

« 三匹のおっさん | トップページ | 恋文の技術 »

2009.05.10

イスカリオテ

イスカリオテ (電撃文庫)  三田 誠 2008 アスキー・メディアワークス電撃文庫

イザヤ。
旧約聖書における最も偉大な預言者の名前の一つ。
その名は、神は救いであることを意味する。

イスカリオテと聞くと、どうしても「イスカリオテのユダ」と続けたくなる。
イエスの十二弟子のひとり、イエスを裏切った会計係。その罪の大きさに首を吊り、イエスを売った代価で買われた土地に埋葬された。
映画にもなったミュージカル『ジーザス・クライスト・スーパースター』の解釈が好きなので、ユダは気の毒な常識人のイメージを持っている。
その裏切り者という犠牲がなければ、イエスが十字架にかけられるという犠牲もなされなかったかもしれないわけで、聖書を読んでいたら、うーむむむと眉間にしわがよりそうになる。

さて、このイスカリオテという単語に断罪衣という意味を与え、黙示録を解題して、聖人たちの伝説を突っ込んで、新たなファンタジーにしたのが、三田の小説。
『レンタルマギカ』シリーズはキリスト教に駆逐された西洋的な魔術の世界だが、この小説の中の聖霊教なる宗教はカトリックっぽいものである。赤い服の女であるとか、手のひらと脇腹の傷とか、塩の柱とか、聖書の中のモチーフがあちこちに使われていることに、にやり。
ルターの宗教改革も一種の原理主義運動であるが、繰り返しそういう運動が起きるほどに、長い歴史の中でキリスト教も多様な要素を吸収合併してきているのだ。
そういう意味で、プロテスタントよりもカトリックのほうが、多様で多層で多重な世界を持っているかもしれないし、だからこそファンタジーに親和性があるのかも。

滅びた聖都。失われた英雄。
一年間、その英雄の身代わりとしてイザヤを名乗ることを引き受けた主人公。
そんな取引を持ちかけた枢機卿代行。英雄のために開発された、盾となり武器となる人形。
襲い来る脅威「獣(ベスティア)」達と、彼らが欲してやまないバビロニアの大淫婦。
風呂敷が大きく広げられ、今後への期待が高まるような一冊だ。さあ、お楽しみはこれからだ。

この作者流の魔法の動かし方、非現実的な現象への理屈の与え方というものがあって、そのあたりのロジックが面白い。
個人的に最も興奮したのは、竜殺しの聖人の名前。イングランドの守護者ですねー。いい人選だー。ふっふっふ。

« 三匹のおっさん | トップページ | 恋文の技術 »

# ここでないどこかで」カテゴリの記事

小説(日本)」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/183237/29552941

この記事へのトラックバック一覧です: イスカリオテ:

« 三匹のおっさん | トップページ | 恋文の技術 »

Here is something you can do.

  • ボランティア・寄付ならプラン・ジャパン
    子どもとともに途上国の地域開発を進める国際NGO

最近のトラックバック