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2009.04.08

今日もやっぱり処女でした

今日もやっぱり処女でした  夏石鈴子 2008 角川学芸出版

ちょっと、どきっとしてしまうようなタイトル。
「やっぱり」のあたりのニュアンスが気になって、手に取った本だ。
読み終えてから、巻末の広告を見ていると、『バイブを買いに』の文字。
ああ、同じ作者だったんだ。そっちは書評が気になっていたけれど、本屋さんでうまくめぐりあえず、未読のままの本だった。

健康な、のんびり女。
主人公あおばのセルフイメージだ。
恋愛はしていない。就職したが、くたびれて退職した。やりたいことはあるが、やれるかどうかはわからない。
派手な事件が何一つあるわけではない。けれども、きっと多くの人が過ごしていそうな何事もない生活。
その中で、そのままでいいのか、迷っている。

先日まで観ていた「母さんに角がはえた」という韓国ドラマを思い出した。
韓国ドラマといっても美男美女が売りのものではなくて、橋田壽賀子が韓国にもいるんじゃないかと思われるようなホームドラマだ。
そのドラマの中では、子ども達がそれぞれ成人して家庭を持った頃、更年期を迎える頃の母親が「一年間の休みが欲しい」と家を出る。
この小説の中で家を出たのは父親のほうだったけど、家を出るのって流行なのかな。社会の閉塞感が言われて久しいけれど、家庭や家族にも閉塞感があるんじゃないか。
「昔の人」って、それが当り前だからという一言で、生活を、人生を、どうやって割り切ることができていたのだろう。
それしかなかったら? そうするほかになかっただけ?

あおばの人生に対する戸惑いに、いつか来た道を見出す思いだ。
当り前のように勉強し、当り前のように就職し、当り前のように家庭を持つ。
その前に、当り前のように恋愛して、人生に波乱万丈の語るべき物語を満ち溢れさせることからできていない。
果たして、そのような何事かは、自分の人生に送るのだろうか?

いや、逆だ。どうして、当り前のことを当り前だと割り切って受け容れたり、その当たり前のことさえも当り前にやり続けることができなくなっているのだろうか。
そもそも、私達は当り前に家庭を営むための教育を受けていない。学校教育という狭い意味ではなく、社会的なメッセージとして。
その断絶を軽々と乗り越えられる人もいるけど、勝ち組と負け犬と大別されたときに自己実現という教育目標の提示する矛盾に戸惑ってしまう人もいるのだ。
だって、どっちもうまくやれるほど、器用じゃないし。欲張りじゃないし。そんなにガツガツできないよ。なれないよ。

でも、時間は流れるわけです。
私はあおばの戸惑いの時期は通り過ぎたんだと思う。福貴子さんのように人生を変える出会いに既に会っているもの。それは結婚ではないけれど。
人生は捨てたものじゃないのよと誰かに語って聞かせる立場のほうが近くなった気がする。
下を向いて歩きたい気分の年下の誰かのために、心をこめて『ドナドナ』を歌ってあげたい。これはいいアイデアだ。

続編があってもいいかな、と思えるような、24歳の女性の日常を切り取った作品。
古きよき東京の言葉の残る、あおばの口調も愛しい。温かみがあって、穏やかで、私はこの小説が好きだな。
私の人生こんなものなのかな? これでいいのかな?と思ったことがある人、思っている人に勧めたい。

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コメント

こんばんわ。先日オススメしてくださったこの本を読みました。
ものすごくあおばに共感して読んでました。
でも、あおばは仕事を辞めるっていう勇気があるのが凄いと思いましたし、ちゃんと夢に向かって努力しているのも凄いなと思います。
私はただ言ってるだけですから^^;
私もあおばのように戸惑いの時期を通り過ぎる事が出来るのかなと、思いました。
親子の関係も何だかんだで良くて素敵でした。
ちゃんと見てくれる人もいるし、恵まれてるなとも。
でも、それは私だって同じで、ちょっと前に一歩進んでみたいとこの作品を読んで思いました。
文章の言葉遣いも好きでしたし、読んだ後、少し前を向こうと思いました。
下を向かずに^^;私も福貴子さんに突っ込まれるかもしれないです。
教えてくださってありがとうございました。

苗坊さん、こんばんは。あなたが楽しんでくれたのなら嬉しいです。よかった。
願い事は言ってみるところから、です。自分の気持ちを言葉にできるって、大事なことなんですよ。自分に嘘をつかず、建前で覆い隠さず、素直に言っているところが、あなたは偉い!
戸惑いの季節もまた尊いものです。戸惑っていたっていいじゃない。大丈夫。人生は長くて短い。気づいたら季節は変わっています。
あなたが下を向いたときのために、心をこめて『ドナドナ』を歌ってさしあげましょう♪ 応援しています。

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今日もやっぱり処女でした 「人生って、何歳ぐらいまで迷っていていいのかな?」山口あおば、24歳。イラストレーターになる夢を追いかけて、派遣社員をしながらイラストを勉強しているけれど、自分の居場所と将来に自信がもてない…。ほっとして、じんわり元気が出る「あ....... [続きを読む]

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