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2009.03.08

僕の妻はエイリアン:「高機能自閉症」との不思議な結婚生活

僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)  泉 流星 2008 新潮文庫

もしかして、私も異星人系?
こんなこともあんなことも、異星人の特徴というより、私にとって当り前のことなんですが……。

高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)あるいはアスペルガー障害(言語発達の遅れがない自閉症)は、発達障害の中のひとつである。
この本の中で大人の発達障害を診る医師は少ないことが語られるが、それも当然。発達障害は18歳までに診断されることが前提となっている。
詳しいことは、杉本登志郎『発達障害のこどもたち』などに任せることして、本書に戻ろう。

最近の興味の延長で手にとってみた一冊。あとがきを読むと、これを読んで、「私もエイリアン系?」という感想が多かったそうだ。
異星人(エイリアン)と呼ばれているのは、ここでは、自閉症スペクトラムあるいは発達障害の特徴を持つ「妻」である。
「夫」は地球人。発達障害ではない、いわゆる普通の日本人。この夫にとっては、妻はまるで異星人。
二人の夫婦生活のありようを通じて、夫の目線から見た妻を描写する、というのが、本書の設定である。設定なんだよなぁ、これが。

夫婦になるということは、それぞれ別々の文化を背負った人間同士の異文化交流である。
お互いに相手が異星人に見えてくるときがあってしかり。自分にとっての「当たり前」が通じないとき、好奇心が働けば楽しめるが、いらいらしたり、混乱することもあるかもしれない。
そういううまくいかない感じに困った経験の、ちょっと極端なヴァージョンとして、この本は楽しむのもいいかもしれない。
妻は異星人だったと診断が出たところから、それを踏まえて工夫を重ねていくことで、夫婦の感じていた問題は少しずつ減りつつあるようだ。
障害という言葉の用法の難しさには、このブログでもしばしば触れている。
妻の「単に心身のどこかに不具合があるために、何らかの形で生活に支障をきたしている人っていうだけのこと」(p.185)という定義は、上手いなぁと思った。
障害かどうかはさておき、自分の特徴を知ることは、工夫を考えるために役立つ。相手との違いを知ることが、対策を考えるために役立つ。
妻の前向きさは、この本を最後までコミカルなまでに明るくしている。健気で可愛く一生懸命。過ぎると惚気っぽくて、あてられちゃった。

私は言葉にこだわる。言葉の意味にこだわる。
特に、本の中の夫婦喧嘩のあたり、赤面する思いで読んだ。似たようなことをやらかしていた気がする。
人の顔を憶えるのは苦手だ。恋人と街中で待ち合わせすることは、かなり不安になる。見分けられなかったらどうしよう?と、何年もつきあっていた相手にだって感じていた。
旅行の前に情報を集めて同行者を楽しませようとしすぎて途中で自分が疲れてきれてしまったり。
スーパーやレストランのB.G.M.でイントロクイズなんていうのも、毎日のことだ。いつどこで憶えたか分からないメロディが頭の中をぐるぐる回りだして止まらなくなることも。
恋人の研究にあわせて資料を読み込み、議論の挙句に単なる喧嘩になってしまったり。
音への過敏さではスウォッチがある部屋では眠れないぐらいで済んでいるし、年をとって感覚が少し衰え、記憶力が落ちつつあることで、私は情報管理が楽になった気がしている。
そう。もしかしたら、私が子どもの頃は、そこそこ偏りのあるプロフィールを出していたんじゃないか、と思うことがある。わかんないけどね。

数年前に別れた恋人にこの本を読ませたら、私が何にこだわっていたか、少しはわかってくれるだろうか。
むしろ、私の目から見たら夫のほうが異星人。それって普通か?一般的か?とツッコミたくなることがしばしばだったのだが、後書きを読んで違和感の理由が少しわかった気がする。
いやほんと、これは書くのは大変だったと思う。

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コメント

こんばんは。
この本、前に読んだのですが、なんだか感想が書きにくくて、そのままになってました。
興味深い本でしたね。
高機能自閉症、見た目では分からない障害、なかなか人には理解してもらえなくて苦労するということがこの本を読んでわかりました。

牛くんの母さん、コメントありがとうございます。
確かに、一見しただけではわからない障害には、理解してもらえないという苦労がありますものね。
特別支援学級などの取り組みが進む中、発達障害関連書籍はかなり出版されていますが、まだまだ、情報が錯綜している印象です。
現に困っている人たちが、適切な援助を受けられるような体制が整っていくといいなぁと思いました。

こんばんわ。TBさせていただきました。
この作品、私も読みました~。
旦那さん目線だけど、書いているのはご本人って言うのが凄いですよね。
書くのは本当に大変だったと思います。
喧嘩になるのも分かる気がします^^;
自閉症って、自分の身体に閉じこもっているっていうメンタルが弱い人っていうイメージが先行していますが、実際は先天性の脳障害なんですよね。
こういう偏見があり続けると、障害を持っている方に対しての蟠りは変わらないですよね。
でも、著者はきっと多くの努力をされた方なんだろうなと思いました。
旦那様も素敵ですよね。
福祉の授業でいろんな資料を読みましたが、この作品が最もわかりやすく、リアルで理解できたと思います。

苗坊さん、こんばんは。TB&コメント、ありがとうございます。

自閉症を取り扱った映画として「レインマン」が有名ですね。
精神症状としての無為自閉状態と、コミュニケーションの成り立ちにくさは別物ですものね。確かに自閉症という名称は誤解を招きやすいものであるかもしれませんが、その名称自体に、疾患の概念成立の歴史がこめられているようにも思います。
この本でも「スペクトラム」という表現が出てくるよう、自閉症・発達障害は苦手の程度にグラデーションがあると考えられていますし、現にあると思います。そういうきめ細かな理解は、近年ようやくなされているものです。ここから先の課題がまだまだ沢山です。

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