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2009年3月

2009.03.14

プリンセス・トヨトミ

プリンセス・トヨトミ  万城目学 2009 文藝春秋

お好み焼きが食べたいーーーーっ。
と、読みながら何度も叫ぶこと請け合い。
京都、奈良に続いて、舞台は大阪。三都物語、これで勢ぞろいだ。
これは5月までに、いやが5月末日を迎えるまでに読むことができたら、幸いである。

今までで一番分厚いこの本では、大阪に「仕掛け」が施されており、その緻密さと大がかりなところが大阪城の城壁を彷彿とさせる……かどうかはさておき。
やはり、この「仕掛け」というところが、万城目の面白さであり、一番の特徴であるように思う。
何気ない日常の中に、実は大きな仕掛けが隠されてており、歴史の陰で連綿と受け継がれてきた。それは、ホルモーというオニを鎮める儀式であったり、サンカクを用いた大ナマズを鎮める儀式であったり。仕掛けに支障が出ると、おそらく日常生活もままならなくなるような、ばかばかしく見えるんだけれども実は偉大な仕掛けである。
発売日の少し未来であるという設定のほかに、『鹿男あをによし』とはもう一つ共通項があって、始まりは一人の伝説的な女性である。

雑誌で読んだのは第二章だったと思うが、最初はとっつきにくさを感じたものの、なんとか読んでみると面白くなって、発売を待っていた。
仕掛けが大掛かり過ぎ、全体像が見えてくるまでに時間がかかる。そのため、物語にひきこまれるまで時間がかかった。
もちろん、文章そのものが読みやすく、非常に整った日本語であり、読んでいて危なげない。この筆力、読みやすさは万城目さんらしいが、少し遊びが少ないのかな。硬質な印象すら受ける。
しかし、三章以降、仕掛けが見えてき始めてから、俄然、物語は面白くなる。そこからは本を置くことが難しくなった。
派手な演出があるわけでもないけれど、地味というには語弊があるし、やっぱり奇想天外なんだよなぁ。
破壊と再生のドラマチックな展開があるわけじゃないけれど、胸にじーんと静かに残るような温もりがいい。
これこそ、ヴィジュアル化に向いている作品のような気がする。実写にすると面白そうなのだが。

『群雲、関ヶ原へ』を読んでいる途中でよかった。おかげで、登場人物の名前に見覚えがあって、そこも気持ちが盛り上がった。
真田とくれば幸村、後藤とくれば又兵衛、島とくれば左近、宇喜多、大谷、小西、加藤、蜂須賀、長宗我部、前田、黒田、石田、福島、長束、増田、竹中……楽しすぎる。
豊臣家ゆかりの武将たちの子孫か?と想像すればますます楽しい。対する東軍ならぬ会計検査院からは、松平、鳥居、旭。
当人たちの知らぬ間に、歴史が繰り返されようとしている。そういう物語である。
たとえ名前の由来にぴんと来なくても、主人公大輔の父親の真田幸一のお好み焼き職人としての朴訥とした誠実さ、鬼の松平と異名をとる副長の容赦のない公正さなど、中年男性らの魅力が褪せることはない。両雄引けを取らぬいい男である。
そして、女性たちは実に懐深く、大物である。大阪の女性を甘く見てはいけないのである。ある意味、ルソーが思い描いたような社会である……。

この先、何かが変わるかもしれないし、何も変わらないかもしれない。
仕掛けを取り巻く社会は、男性だ女性だという枠組みを少しだけ変えてきている。仕掛けも、時代に合わせて変わりゆくものかもしれないが。
父から息子へ、母から娘へ。数百年間、受け継がれたのは、仕掛けの秘密ではない。秘密に託された気持ちである。
親から子へ受け継がれていく気持ちは、変わらず未来に繋いでもらいたい。誇りと共に。きれいな、力強い眼をして。

お好み焼きは食べたくなるし、大阪城には行きたくなるし。明治期の建築物は大好きだーっ。
ちなみに、ネズミは出てきませんが、大阪女学館高等学校の体育教師南場先生は出てきました。
やはり三都物語はセットでどうぞ。

2009.03.12

図書館戦争LOVE&WAR(3)

買ったきっかけ:
やっと本屋さんに行けましたーっ。
本屋さんが開いている時間に帰れましたーっっ。

感想:
帯を見るのが好きです。このシリーズ。
なまはげ隊長がちゃんと出てきたのも嬉しかったです。
あと、手塚がますます可愛くなっちゃって、小牧ならずともにやにやしてしまいました。
この巻のあたりから原作とは少し違う演出の仕方が目立つような気がします。
が、それはそれで楽しく、甘く、もひとつ甘ーく、これでもかってぐらいに甘ーく、世界を再現。その上で、冗長にならずにさくっと読ませることに成功していると思いました。

おすすめポイント:
堂上ファンへのサービスショット?があります。笑
短編もいいですよー。郁も可愛いですが、堂上はもっと可愛い。
RPG風の堂上が好きー♪ 思わずときめいてしまいました。うふふふふ。
こういうのも読んでみたいな。短編でやってくれないかな。

図書館戦争LOVE&WAR 3 (3) (花とゆめCOMICS)

著者:弓 きいろ,有川 浩

図書館戦争LOVE&WAR 3 (3) (花とゆめCOMICS)

2009.03.08

僕の妻はエイリアン:「高機能自閉症」との不思議な結婚生活

僕の妻はエイリアン―「高機能自閉症」との不思議な結婚生活 (新潮文庫)  泉 流星 2008 新潮文庫

もしかして、私も異星人系?
こんなこともあんなことも、異星人の特徴というより、私にとって当り前のことなんですが……。

高機能自閉症(知的障害を伴わない自閉症)あるいはアスペルガー障害(言語発達の遅れがない自閉症)は、発達障害の中のひとつである。
この本の中で大人の発達障害を診る医師は少ないことが語られるが、それも当然。発達障害は18歳までに診断されることが前提となっている。
詳しいことは、杉本登志郎『発達障害のこどもたち』などに任せることして、本書に戻ろう。

最近の興味の延長で手にとってみた一冊。あとがきを読むと、これを読んで、「私もエイリアン系?」という感想が多かったそうだ。
異星人(エイリアン)と呼ばれているのは、ここでは、自閉症スペクトラムあるいは発達障害の特徴を持つ「妻」である。
「夫」は地球人。発達障害ではない、いわゆる普通の日本人。この夫にとっては、妻はまるで異星人。
二人の夫婦生活のありようを通じて、夫の目線から見た妻を描写する、というのが、本書の設定である。設定なんだよなぁ、これが。

夫婦になるということは、それぞれ別々の文化を背負った人間同士の異文化交流である。
お互いに相手が異星人に見えてくるときがあってしかり。自分にとっての「当たり前」が通じないとき、好奇心が働けば楽しめるが、いらいらしたり、混乱することもあるかもしれない。
そういううまくいかない感じに困った経験の、ちょっと極端なヴァージョンとして、この本は楽しむのもいいかもしれない。
妻は異星人だったと診断が出たところから、それを踏まえて工夫を重ねていくことで、夫婦の感じていた問題は少しずつ減りつつあるようだ。
障害という言葉の用法の難しさには、このブログでもしばしば触れている。
妻の「単に心身のどこかに不具合があるために、何らかの形で生活に支障をきたしている人っていうだけのこと」(p.185)という定義は、上手いなぁと思った。
障害かどうかはさておき、自分の特徴を知ることは、工夫を考えるために役立つ。相手との違いを知ることが、対策を考えるために役立つ。
妻の前向きさは、この本を最後までコミカルなまでに明るくしている。健気で可愛く一生懸命。過ぎると惚気っぽくて、あてられちゃった。

私は言葉にこだわる。言葉の意味にこだわる。
特に、本の中の夫婦喧嘩のあたり、赤面する思いで読んだ。似たようなことをやらかしていた気がする。
人の顔を憶えるのは苦手だ。恋人と街中で待ち合わせすることは、かなり不安になる。見分けられなかったらどうしよう?と、何年もつきあっていた相手にだって感じていた。
旅行の前に情報を集めて同行者を楽しませようとしすぎて途中で自分が疲れてきれてしまったり。
スーパーやレストランのB.G.M.でイントロクイズなんていうのも、毎日のことだ。いつどこで憶えたか分からないメロディが頭の中をぐるぐる回りだして止まらなくなることも。
恋人の研究にあわせて資料を読み込み、議論の挙句に単なる喧嘩になってしまったり。
音への過敏さではスウォッチがある部屋では眠れないぐらいで済んでいるし、年をとって感覚が少し衰え、記憶力が落ちつつあることで、私は情報管理が楽になった気がしている。
そう。もしかしたら、私が子どもの頃は、そこそこ偏りのあるプロフィールを出していたんじゃないか、と思うことがある。わかんないけどね。

数年前に別れた恋人にこの本を読ませたら、私が何にこだわっていたか、少しはわかってくれるだろうか。
むしろ、私の目から見たら夫のほうが異星人。それって普通か?一般的か?とツッコミたくなることがしばしばだったのだが、後書きを読んで違和感の理由が少しわかった気がする。
いやほんと、これは書くのは大変だったと思う。

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