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2009.02.03

きみの背中で、僕は溺れる

きみの背中で、僕は溺れる (MF文庫ダ・ヴィンチ)  沢木まひろ 2008 MF文庫

うっとりと目を閉じた若い男性の寝顔を見て、タイトルを見て、帯を読んで、首をかしげた。
「祐司が恋に落ちたのは、姉の婚約者」……ということは、どちらも男性同士になる、よねぇ?
それはなかなか修羅場の予感と思いながら、なんとなく手に取った本。設定だけで、ずきずきと痛みそうになる胸を抑えて。

「But Beautiful」は、帯にあった、主人公と、その姉の婚約者の物語。
おちてしまった恋の、その始末の悪さ。まったく困ったことに、恋というものは落ちる先を選んでくれない。
わがままで強引でとてもエッチで、情けないぐらいとても弱い男性。夢にまで見た恋人との逢瀬は、しかし、長く続くわけがない。

片想いのつらさと、成就してからのつらさは、ベクトルが大きく違う。手に入れたときから、失うことが怖くなる。
おまけに、愛からなされたことだとしても、これはきっと罪になる。自分で自分に許せないような恋を、著者は簡潔な言葉で鮮烈に描き出す。
大学時代だからの仲間達。そのあやふやな立ち位置からの卒業。祐司の若さが瑞々しく感じられ、清潔感のある恋愛小説だった。

もう一つの短編「What's New?」も、主人公は同じだが、6年が経過している。
時間の経過、主人公の変化を感じさせる違和感は、「But Beautiful」が一人称で書かれていたのに対して、「What's New?」が三人称で書かれているところからも生じる。
あれから、片時も忘れなかった恋の記憶。恋とともに失った自分の一部。喪失は、罪悪感によって埋められている。
大事な姉を傷つけてまで恋した人を、忘れてはいけない。そのほかの人と幸せになることはできない。自分は幸せになってはならない。
どこかで心を閉じながら、なんとか毎日をやり過ごしてきた祐司を、しかし、世界は放っておきはしないのだ。

誰もが幸せになっていい。
いろんな後悔や、いろんな罪悪感や、いろんな不都合をまるごと抱えて、それでも年を重ねていくことができる。
純粋さを失うことであるかもしれないが、この年を重ねて得られる力強さが、私は好きだ。
この6年後の物語、私が今の恋人と別れた後に読み返してみたいと思った。

それにしても、睫毛が触れ合うかなあ。意識したことがなかったや。
相手の鼻先が頬にあたる感触ばかり気にしていたけど、今度は睫毛を気にしてみよう。
次はいつ溺れることができるかなぁ。

 ***

実験結果として、睫毛は触れ合わなかったです。笑

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