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2009.02.28

よくわかる自閉症:「関係発達」からのアプローチ

よくわかる自閉症―「関係発達」からのアプローチ  小林隆児 2008 法研

発達障害関連の本を数冊読んでみたが、コアとなる自閉症を理解するには、この本がわかりやすかった。
自閉症および発達障害の病因論には歴史的な変遷があるが、医療にエヴィデンスが求められる昨今、わかりやすいエヴィデンスとして脳の研究を中心に進められている感がある。
しかし、著者はあえて母子間の関係発達から自閉症および発達障害を捉え、コミュニケーションの特徴に注目する。

精神疾患の診断基準の一つであるDSMで用いられているdisorderという言葉を「障害」と訳すことで、いくらかの偏見や誤解がもたらされやすくなったように思われる。
発達障害もそうで、障害と名づけられ、しかも脳機能に起因づけられるとしたら、なんだか永久に変わらないもののような印象を受けはしまいか。
しかし実際には、発達に偏りがあろうと、そこから発達を促すような適切な関わりを得ることで、偏りは緩和され、より適応の度合いもよくなる。杉山登志郎『発達障害の子どもたち』を読んで、その可能性をずいぶんと考えさせられた。
本書の著者である小林も、その点を鑑みて、あえて「発達障碍」と表記する。また、母子関係で困難が生じていることが多いことを指摘し、それをより良好な愛着関係に変化するようサポートすることで、症状の緩和を図る経路を見出している。

注意が必要なのは、小林が旧来のような子育て病として自閉症を考えているわけではない、ということである。
もともと、刺激に過敏であるために愛着の対象にアンビバレントな反応をしめしやすい子どもたちがおり、その過敏さのために母親が関わりづらく、コミュニケーションがすれ違うところから母子間に悪循環が生じてしまう。
悪循環が症状や問題を大きくするのであれば、循環を逆転させればどうなるか。
そのためのアプローチは本書には詳しくないが、援助者も二人以上のチームで関わるところは興味深い。

このような時には、職員であれ援助者であれ、誰しも同じような悪循環に陥るのであって、私がこのようなことを冷静に指摘できたのは、当事者でないからという理由が大きいのです。正に「傍目八目」と言うことができましょう。(p.171)

密接に母子が二人で関わる時に冷静でいられなくなるのは当然であると、著者は受け止めている。対応の難しさを知っているからこその言葉だと思う。
母子間のコミュニケーションに注目するからといっても、決して母親を責める本ではない。このことは、何度も繰り返しておきたいなぁ。
自分の子どもに発達障害ではないかと疑問を感じていたり、すでに診断を受けたことがあるというお母さんたちには、第三者の専門家の援助を求めてほしいと思った。
孤立しては冷静でいられなくなる。煮詰まる前に、あきらめる前に、母子双方のために援助を受け入れてほしいと思った。

事例が数多く紹介されており、貴重な情報が多い。多くの事例は乳幼児であることから、小児に関わる仕事をしている人には、お勧めである。
確かにわかりやすい本であるが、一般に膾炙するほどわかりやすいかと問われれば少し困る。けれども、仕事として関わる人には知っていてもらいたい。
また、学童期、思春期以降の自閉症および発達障害に関わる人にとっても、問題の傾向と対応の方針は共通であるため、参考になることであろう。

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