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2009.01.20

映画と恋と遺伝子と:映画にみる遺伝子と疾患

安東由喜雄 2006 マネージドケア・ジャパン

ある意味、とてもマニアックな本。
映画の面では、私も観たことがある、タイトルは知っているというものが多く、とっつきやすいコラムになっている。「ファインディング・ニモ」に始まり、「エデンの東」や「王様と私」「ローマの休日」といった名画から、「解夏」や「東京タワー」「Always 三丁目の夕日」など日本の作品、「私の頭の中の消しゴム」「ダ・ヴィンチ・コード」「ミリオンダラー・ベイビー」といった比較的新しい作品まで様々だ。
ああ、最近、映画を観ていないな。新しい作品ほど、タイトルしか知らないもの。

が、そこに付随された遺伝性の疾患の描写の点では、マニアックだと思う。そこに出てくる蛋白の種類だとか染色体の位置だとかは、私の守備範囲外だったのである。
気管支喘息や肺がんや大腸がん、ダウン症やアルツハイマー病など、認知度の高いであろう病気もよく紹介されている。
スティル病やモルキオ病、アミロイド・アンギオパチーというと、病名だけではなんのことだか……。
いろんな病気が遺伝によって左右されるらしい、ということはわかった。
そして、いろんな病気や障害と遺伝の関連は、ずいぶんと研究されているのだ、ということも。

しかし、映画の中では様々な疾患や障害が登場するものである。著者は医師の目から見て、病気の紹介や描写の適切さをも問う。
レントゲン写真が裏表になっていないか、今となっては医学的常識が覆されてはいないか、病気があれば感動があると勘違いしたチープな作りをしていないか。
病者の描写は、病気があるから感動的なのではない。その病者が、病気を抱えながらもいかに生き、いかに死んでいったか、その戦いが感動に繋がることを指摘している。
そういった目線に、著者がどのように患者に接してきたのか、うかがい知れるようだ。多くの苦労を見てきた人の目線である。

映画の見方、病気の見方として面白い箇所も多かったが、遺伝子診断によって、将来の病気の可能性が予見できるようになるのは、少し恐ろしいと思った。
遺伝負因なら、私もきっとある。高脂血症と消化器系のガンおよび婦人科系の疾患の家族歴がある。
家族歴だけを見ていても憂鬱になるのだ。遺伝子レベルで診断されると、ちょっとつらいなあ。
わかるとしたら知りたいと思うかもしれないけれど、知ったことを受け留めるのはつらいこともある。かといって、インフォームされないことは、更に嫌だ。
そのあたりを心理的に援助する遺伝カウンセリングは、まだそんなに確立されたとは言えない領域である。
また、遺伝子レベルで問題ないことを重視する優生学的な思想に偏らないよう、社会自体も成熟しなければならない。

最後に、後書きで医学部の窮状というか惨状というか、そういう事態に言及されていた。海堂尊も繰り返し小説の中で書いていることであるが、どこもかしこも、やはり大変らしい。
本書の内容は興味深かったし、観たい映画、観なおしたい映画もあるけれど、なんだかその後書きがひっかかってならない。

 ***

医学部は教員の定数削減で研究力の弱体化が懸念され、医学部附属病院でも高度先進医療より利潤追求が優先されるようになり、医療の質の劣化が心配されはじめている。一方、教育は今までの講義中心の押し売り型から全員参加型の実習形式が求められ、これは学生の理解力を上げ、考える医師を育てるためには大変よいことだと思うのだが、教員の負担はさらに重たくなり、授業に振り回されるような状況が起こりはじめている。このような状況のなかで大学医学部のスタッフの多くが余裕をもてなくなり、無力感が漂いはじめているかにみえる。(pp.194-915)

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